jun16HP 50000HIT記念

作戦名:砂の嵐

開始

「シンちゃん、おはっよ」

「おはようございます。ミサトさん」

 かわらぬ葛城家の朝、主夫シンジは朝食の準備、ミサトはタンクトップに短パンと他人には見せられない格好で、冷蔵庫を開け寝起きの一杯。

くうーこの一杯の為に生きているのよね!

 毎度お決まりの台詞。いつもながら豪快な飲みっぷり、これが大会か何かだったら彼女は間違い無く絶賛を浴びるのだが、今は朝それも平日シンジは毎度の事ながら呆れる。

(ふう〜、ビ〜ル代減らそうかな)

 ドタドタドタ

シンジ!

 爽やかな朝の雰囲気をぶち壊すかのように、廊下が唸る。その音の人物が台所にやって来た。

「わっアスカ、なんだよその格好は?」

 アスカの格好に驚いた。それもそのはずバスタオル1枚というシンジにとってはうれしい・・・いや健康な中学生にとっては刺激的な格好である。

「シャンプ〜切れているじゃないの!それとお湯がぬるいわよ!」

「え?シャンプ〜ならちゃんと買ってきて置いておいたよ」

「あんな、安っぽいものが私のこの綺麗な髪に合うと思うの?」

「あれは以前アスカが使っていたものと同じじゃないか」

 アスカにムッとしたシンジは少し声が怒った。

「前は前!今は違うのよ!まったく気が利かないんだから」

「何だよそれ!言ってくれないとわからないじゃないか!」

「なんですって!」

「なんだよ!」

 二人はミサトの前で言い合い。

(うんうん・・・元気があって良いわね)

「それにお湯はぬるいし、ちゃんと確認しなさいよ!」

「お湯ぐらい自分ですれば良いじゃないか、大体アスカは!」

 スルリ

「「「」」」

 突如熱くなっていたアスカの体を巻いていたタオルが、床に落ちた。

「ア、アスカ・・・・・・」

 突然の事でシンジは対処ができない、固まっていた。

「・・・・キャ〜〜〜〜〜!この変態!スケベ!バカシンジ!

 バチ!ビチ!ボク!

あぎゃ、おぎゃ、がふっ・・・・・・・」

 ドテ!

 一瞬固まったアスカは我を取り戻し、叫びながらシンジに往復ビンタ、そしてボディーをコブシでHIT。バスタオルを巻きなおすと風呂場に戻っていった。後には屍と化したシンジが台所に横たわっていた。

(あら〜大胆)

 その後、シンジは復活するまで時間を要した。

 

 

 

「わっ遅刻しちゃう」

 アスカは体を見られた事から怒りがおさまらずに、シンジをそのままにして一人で学校に向かっていた。

 またここでミサトが起こすべきだが『シンちゃん楽しい夢を見ているのね。お姉さん優しいから起こさないわよん』とシンジの気絶した顔が幸福そうに見えたのでやめていたらしい。そして気絶している間に冷蔵庫のビールが何本か消えていたという。

「いってきます」

「いってらっしゃ〜〜い」

 シンジは慌てて家を出ていった。

「さあてっと、ワイドショ〜でも見よ!」

 今日休みのミサトはそのまま、おばさんと化す。

「クエ〜・・・」

 リビングに寝転がりテレビを見ているミサトに、隣で新聞を見ていたペンペンは呆れていた。

「クエクエクエ」(ミサトサン、たまには家事をしたほうがいいんじゃないんですか?太りますよ)

「ん?何ペンペン。ビ〜ル持ってきてくれるの?ありがと。それと戸棚におつまみも入っているからよろしく」

 言葉が伝わるはずも無く、ミサトの良いように解釈。

「クエ〜」

 ペチペチペチ

 仕方が無く、足音をさせて体を左右に振りながら冷蔵庫に向かった。

 ガチャ

 冷蔵庫を開け、ビ〜ルを手に取る、いや羽で取る。

「クエッ!」

 ピョン!ピョン!

「ク?」

 次に戸棚にあるおつまみを取るのだがペンペンの身長では当然とどかない。そこでイスに飛び乗り次にテーブルに乗り、そして戸棚にダイブといつも行っていた。

 テーブルに飛び乗るとこの時間にありえないモノが乗っていた。

「クエ」(これはシンジクンとアスカチャンのお弁当)

 そう青い袋と赤い袋、二人の弁当である。

「ク〜」(シンジクン慌てて忘れたんだな)

 朝の光景を思い出しシンジが慌てて、家を飛び出しているのを見ていたのである。

「クエ」(これは困るだろうな。それよりアスカチャンの怒りが心配だ)

 アスカが学校で怒り狂って、シンジをボコボコにしている光景が浮かんだ。

「クエエ!」(これは大変だ!シンジクンの生命が危ない)

 ピョ〜ン!

 テーブルから床に見事に着地、そして自分の冷蔵庫に入り何かを探し始めた。

「クッ!」(よし)

 ピョン!ピョン!

 そしてまたテーブルに戻り、手に持っていたマイリュックサックの口を開け、二人の弁当を入れる。

「ク!」(よし)

 シンジに作ってもらったリュックサックを背負うと、玄関に向かった。

「クエクエクエ」(シンジクン待っていてくれ!今からボクが届けるから、それまで死なないで)

 ピョン!

 ジャンプしてドアを開閉、外に出る。

「クワクエクワ!」(ようし、シンジクンにお弁当を届ける作戦、『砂の嵐』これより開始する!)

 心なしか顔が男らしい。シンジに弁当を届けるための作戦が今始まった。

 

 

 

「ペンペン、まだ〜〜?」

 リビングではミサトはテレビを見ながら呼んでいた。

 

 

 

 

 

 

予告

クエクエクワクエクワワ

クワクエエエ

クワクワ

クエエエエ!

 

なによペンペン、これを読めって?

クエ!

はいはい

次回もサ〜ビスサ〜ビス!


 50000HITありがとうございます(^^)記念連載SS、作戦名:砂の嵐、第壱弾です。

 今回の主役は皆の期待を裏切って?ペンペンです。描いてあるようにシンジにお弁当を届に行きます、つまりお使いです。

 何気ない道もペンペンにとってはとても危険な?旅になります。

 ペンペンの愛と悲しみ、出会いと別れ、そしてシンジ君の命は!ハラハラドキドキ涙を流してお楽しみください(←内容は異なります^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


第弐弾 不覚

NEON GENESIS: EVANGELION 開始