jun16HP 60000HIT記念

作戦名:砂の嵐

脱出

 学校、ペンペンはシンジの元にたどりついた。

「クエ!」

「ペンペン!それは?」

 ペンペンは背中のリュックサックから、二つのお弁当を取りだした。

「クエ」

「僕が今朝忘れた弁当じゃないか。持ってきてくれたのかい」

 シンジはお弁当を受け取ると、止め処無く涙を流した。

「ありがとうペンペン、これでアスカに殺されなくてすむよ」

 ガシッ!

「クエ!」

 抱き合う一人と一匹、シンジは涙を流しつづけ、ペンペンはそんなシンジの肩をポンポンと叩いてなだめた。

「う、うう・・・本当にありがとう。今日の夕食はペンペンの好きな魚のフルコ〜スにするよ」

「クエエ!」 

 喜び羽をバタバタさせ飛び跳ねるペンペン。

「それじゃあ僕は戻るよ。気をつけて帰ってね」

「クエ」

 シンジは涙を拭くとアスカの待つ教室に走って戻った。ペンペンは喜んで見送ると学校を出た・・・・・

「クエエエ?」

 突然体が動かなくなり地面に倒れた。立ちあがろうとするが体が動かない。

「ク・・エエエ・・・・」

 ブロロロロ〜

 そこへ車の音が聞こえ、こちらに走ってくる。そして・・・・・

「クエエエエエッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クエッ!

 ガバッと眼を覚まし体を起こした、どうやら夢を見ていたようだ。

「ク・・・クエエエ・・・」

 額の汗を羽で拭い、周囲を見回す。どうやら自宅のようである。

「クエ?」

 そして自分の首に違和感を感じ、羽を首に持っていき確かめた。

 ジャラ!

「クワ!」

 なんと自分の首に輪がかけられており、そこから一本の鎖が伸びていた。

「ペンペンやっと起きたのね」

「クエエ」

 声がした方を見るとミサトが首輪から伸びた鎖を持ってビールを飲んでいた。

「クワクエクワ!」

(ミサトサンこれはどういうことですか?)

 首輪を指差しジェスチャーで理由を聞く。

「あれほど勝手に外に出たらダメって言ったのに、どうして約束を破るの?一人で出るときはちゃんと行き先を告げて行きなさいって言っているのに、私はアナタをそんな子に育てた覚えはありません」

「クエエ・・・」

 告げようにも喋れない、育てられた覚えがないペンペンは困った。

「っというわけでバツとして風呂の掃除と部屋の掃除、洗濯をしてもらいます」

「クエエエエエ!?」

 驚いて瞳を丸める。そしてなぜそんな事をさせられるのか疑問に思った。

「クエッ!」

 思い出したようだ。今日は料理以外はミサトの当番であった。だがミサトが守るはずが無い、そんな時にペンペンが無断外出、悪知恵が働いたのである。

「クエ!クワワワワワッ!」

(できるわけが無いよ。だいだいミサトサン当番でしょ。いつもサボっているんだから、たまにはやらないと太りますよ)

 羽をばたつかせ懸命に喋るが伝わるわけが無い・・・ペンギン語なので。

「許してねペンペン。アナタに人生の道を踏み外して欲しくないから、心を鬼にしてやってるのよ」

 涙を流してないのに目をハンカチで拭き、鼻をかむ。ペンペンはそこをつっこむがわからない。

「だからまた出ないように鎖をつなげたのよ。許してね」

「クエクワクエ」

 一生懸命首輪を外そうとするがカギがかかっている。

「それじゃあ、お風呂掃除お願いね」

「クエエ」

 首を掴むとそのまま風呂場につれて行かれ、ブラシと浴槽洗剤を渡された。

「それじゃあお願いね〜」

 ミサトはニコニコ顔でリビングに戻った。

「クエエ」

 一匹風呂場にたたずむペンペンは考えた。

(む、むむむ〜ミサトサンズルイ!僕にさせるなんて・・・首輪にカギがかかってとれないしどうしよう・・・・)

 腕を組み目をつぶり、眉間にシワをよせ考える。

(そうだ!カギを外せばいいんだ。カギはミサトサンが持っているだろう。正面から取りにいったら返り討ちにあうし・・・・・不意打ちだ)

 答えを出すと洗剤を浴槽にまき掃除を始めた。

(油断させるために時間をおかないと)

 すぐに行くと怪しまれるので時間を置いた。なかなか頭の良いペンペン。ただボ〜としているだけで無く、自分も入る浴槽なので洗っておく。

 ゴシゴシ、ゴシゴシ!

(ふう〜)

 額の汗を拭い、浴槽はピカピカ終わりである。

(よし!ただいまより首輪のカギ奪取をおこなう。作戦名:ビ〜ル腹に気をつけろ。開始)

 ゆっくりと風呂場のドアを開き、忍び足でリビングへ。なおミサトの元へ行くさいに鎖を持つのも忘れない。引きずったら音がするからである。

 そろり、そろり!

 リビングの入り口でひとまず身を隠し、様子を確認する。

(よし!気づいていない)

 ミサトは寝転がりビ〜ルを飲んでテレビを見ていた。

 ドキンドキン

 ここからが一番危険な場所、隠れるものが何も無く相手は仮にも作戦部長、気配に気づく事も十分にありえる。

(うっ流石ミサトサン隙が無い)

 テレビを見て笑っているミサト、誰が見ても隙だらけに見えるのだが動物の本能だろうか?緊張してる。

(はあはあ、返り討ちにあうかも・・・・でも倒さなければシンジクンがアスカチャンに殺される)

 極度の緊張で息遣いが荒い。

(ええい!ままよ)

 意を決してペンペンは走った、そして・・・・

必〜〜〜殺!ミサトサン少しは家事をしろ〜そうしないと嫁には行けないよ!キック!!

 ドゴ〜〜ン!

 ジャンプしてそのままミサトの後頭部に両足がめり込む。

はぎゃあ〜〜!!

 ミサト不意をつかれそのまま沈黙。隙だらけのネルフ作戦部長。

「ク、クエエ」

(手ごわかった、流石はミサトサン)

 ・・・違う。

 そしてミサトのポケットを物色しカギを見つけた。

(よし、これで)

 カチャ

 首輪を外し、もうダッシュで家を出た。

クエエエエエエ!

(今行くよ〜〜〜〜!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予告

クエクエクワクワクワワ

クワクエエエ

クワクワ〜〜〜

クエエエエ!

 

なによペンペン、これを読めって?

クエ!

はいはい

次回もサ〜ビスサ〜ビス!


 60000HITありがとうございます(^^)

 記念連載SS、作戦名:砂の嵐、第参弾です。

 なんとかミサトのお仕置きから抜け出しました。さてペンペンは間に合うのか?

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


第弐弾 不覚 第四弾 救出

NEON GENESIS: EVANGELION 脱出