リツコおかあさんシリーズ
甘〜い
「リツコ、これで良いの?」
「ええ、手を切らない様にね」
葛城宅、珍しくリツコとアスカが台所に立っていた。正月用のお餅をぜんざいにする為にカビを削り取っていた。
「あとは食べやすい大きさに切るだけね、このくらいかな?」
アスカはまな板にお餅を置くと一口大に切っていった。
「うん、綺麗に切れたわね。上手よ」
「へっへ〜〜〜ん、当然よこのアスカ様にかかればお餅なんてちょちょいのちょいよ」
腰に手をやり大威張りのアスカ、しかしお餅を切る事ぐらい誰でもできる。
「う〜〜ん、良いなあ〜〜」
その様子をリビングから見ていたシンジは呟いた。
「ぜんざいまだかなあ〜?」
同じく横で見ていたレイは出来上がるのを心待ちにしていた。
「まだみたいだね、ゆっくりしておこう」
普段は自分が台所に立っているが今日はリツコとアスカが立っているのでゆっくりできるのが嬉しい。
「ねえシンジお兄ちゃん」
「ん?なんだい」
「アスカお姉ちゃんのエプロン姿って萌えるね」
「な、何を言うんだいレイちゃん」
レイの口から出た言葉にシンジは驚いた。
「こらっ!そこ五月蝿い!もうちょっとでできるから我慢しなさい」
「あ、うんっ」
振り向き叫ぶアスカ、エプロンの裾と長い髪の毛がなびく姿がシンジをドキリとさせる。
「まったく食いしん坊なんだから」
「ほんとシンジお兄ちゃんは食いしん坊だね」
再び調理に戻るアスカ、レイは頷いた。
「食いしん坊って・・・」
「まあまあおさえておさえて、今のアスカお姉ちゃんの姿にときめいたでしょ?」
「レ、レイちゃんっ」
「アスカお姉ちゃんも機嫌が良さそうだし、こういうのをえるえ〜えすって言うんでしょ」
「ど、どこでそんな言葉覚えたの?」
とても五歳児が言いそうもない言葉に驚いた。
「ミサトお姉ちゃんが言っていたの、二人はえるえ〜えすだとか、萌え〜〜だとかって」
「ミサトさん・・・」
ミサトの出鱈目な教育?に呆れるシンジ、もしリツコがこの事を知ったらなら激しく怒るであろう。
「ところでえるえ〜えすってなあに?萌え〜ってどういう意味?」
「知らないで言っていたの、いいかいレイちゃん、えるえ〜えすとか萌え〜とかもう言ったら駄目だよ」
「どうして?」
「どうしても、それとミサトさんが言っている事は酔っ払いのうわ言だから聞いちゃ駄目だよ」
ミサトとレイはネルフで会う時間が多いのでレイに変な言葉が伝わってしまう。
「そうなの、うんミサトお姉ちゃんの言う事は聞かないね」
「う〜〜んレイちゃんは良い子だね」
シンジはレイの素直さに感動し頭を撫でるのであった。
「お待たせ〜〜できたわよ」
完成したようである、アスカが鍋をリツコがお椀を持ってきた。
「わお〜〜甘そ〜〜」
鍋から立ち昇る甘い湯気にレイは生唾を飲んだ。
「はいシンジ」
「あ、ありがとう」
お椀にぜんざいを注いでいくアスカ、普段は見られない光景である。
「さあ食べましょう」
リツコがお茶を注ぎ終わり全員に行き渡った。
「甘〜〜〜〜い」
ぜんざいを頬張るレイ、甘さが口いっぱいに広がる。
「シンジ君、美味しいかしら?」
「ええ美味しいですよ、砂糖も絶妙の配分でしつこくない甘さです。流石リツコさんですね」
味覚によるチェック、主夫シンジは主婦リツコを絶賛した。
「ふふふ、作ったのはアスカなのよ」
「え?アスカが」
「そうよ作ったのはアタシ、リツコは見ていただけよ」
「ふふふ、そうよ私は見ていただけよ」
アドバイスはしたが作ったのはアスカだけである。
「へえ〜〜アスカ美味しいよ、意外と上手なんだね」
「なによ〜〜意外って失礼しちゃうわね」
「ごめんごめん」
「いっぱい作ったからおかわりするのよ」
鍋いっぱいにつくられたぜんざい、十人前はある。
「うんわかったよ、おかわり〜」
「私も〜アスカお姉ちゃんおかわり〜」
「はいはい」
おかわりを注いでいくアスカ、料理を作った者として嬉しい時でもあった。
ぜんざいを作るアスカちゃん、これはリツコさんによる花嫁修業?
エプロン姿のアスカちゃんに心ときめく?シンジ君(笑)レイちゃんからかっていますね。
アスカちゃんが作ったものならシンジ君いくらでも入ることでしょう。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ 甘〜い