リツコおかあさんシリーズ
雨の日
「つまんな〜〜い」
レイは自宅の窓から降り続ける雨を見続け、呟くと頬をふくらました。
「しょうがないわよ。今日は一日雨だって言っていたわよ」
リツコもレイと同じ気持ちであった。久しぶりの休みなのに残念ながら雨でどこにも出かけられない。
「お出かけしたかったのに・・・」
レイはテーブルに戻りクッションに座ると、飲みかけのミルクを飲み干した。
「ぷはぁ〜〜何か面白いことないかなあ〜」
寝転がるとお気に入りの猫のぬいぐるみを抱いて転がり始めた。
「ごろごろごろごろ〜〜」
「レイ〜何もすることなかったら手伝ってちょうだい」
「は〜〜い」
リツコは先ほど乾燥が終わった洗濯物を持ってきた。
「よ〜〜し、たたんじゃうぞ〜〜」
レイは腕まくりをするとホカホカの洗濯物をたたみ始めた。
「う〜〜ん、タオルが気持ちいい〜〜」
タオルの肌触りがフカフカである。ほお擦りしてたたんで行く。
「お洋服はちゃんとたたんで〜〜」
小さな手で洋服を綺麗に慎重にたたんで行った。
「おわり〜〜おかあさ〜〜ん、おわったよ〜〜」
「は〜〜い」
レイの声に台所からリツコの返事が聞こえた。
「ありがとうね、おやつよ」
「わ〜〜い」
リツコは台所からお茶とタイヤキを持ってきた。
「タイヤキ、タイヤキ〜〜どこから食べようかな」
熱々のタイヤキ、レイは手を焼けどしないように端っこを持つと頭からかぶりついた。
「あま〜〜い」
「ふふ美味しいかしら。最近は便利よね。レンジで温めればいいんですからね」
タイヤキは昨日買っておいた冷凍ものである。
ピ〜〜ンポ〜〜ン
「お客さんだ」
「はい、どなた・・・」
リツコはインターホンのモニタで相手を確認するとため息をついた。
「やっほ〜〜〜私よ、遊びに来たわよん」
カメラに向かってピースサインをしているのはミサトであった。
「はいはい、今開けるわよ」
リツコはミサトを迎える為に玄関に向かった。
「雨の日なのに何のようなの?」
「ちょ〜〜ちタイヤキが食べたくなったのよ」
「それなら買いに行けばいいでしょう」
ミサトの発言に不思議に思いながらも返事をした。
「それがね〜〜金欠で持ち合わせがないのよ。そんでもってどうしようかなって考えていたら、銀行強盗を思いついたわけよ。でも本当にやったら捕まるじゃない。それでまた考えていたらタイヤキの香りが私の鼻についたってわけよ」
「犬以上ね・・・」
ミサトの嗅覚に呆れを通り越して驚愕した。
「んじゃ、私はお茶よりビールでいいわよん」
遠慮なしにあがってリビングに向かう。
「ビールはないわよ」
ミサトの図々しさに怒ると、しょうがなくお茶を出すためにリビングに向かう。
「やっほ〜〜レイ、元気〜」
「わあ〜ミサトお姉ちゃんいらっしゃい」
突然の来客に嬉しがるレイである。
「美味しそうなの食べているわね〜〜」
ミサトの目的の品である。
「食べる?」
「ええいただくわよん」
タイヤキはミサトの大きな口に一口で消えた。
「わお〜〜すご〜い」
「ふぉがふぉがふが」
「ミサト、お茶を飲みなさい」
リツコがお茶を持ってきた。ミサトの大口に呆れている。
「ふ〜〜美味しかった〜〜タイヤキはいいわよね〜〜心が洗われるような甘さだわ。満足満足ぅ〜〜」
ミサトはお腹を満たすと立ち上がり玄関に向かった。
「あらもう帰るの?」
「ええ、今度はホットケーキを食べたくなっちゃったのよ。マヤちゃんちに行ってくるわ」
「え?」
どうしてマヤの家なのだろうか疑問に思った。
「クンクン、今焼き始めたわ。じゃあね〜〜」
「・・・犬以上ね」
「ミサトお姉ちゃんって時々凄い能力を発揮するね」
二人はミサトの異常な能力に呆れと驚きを覚えるのであった。
リツコさんのたまのお休みは二人でお出かけ。でも雨でどこにもいけません。しかたないですからお手伝い。
洗濯物をたたんだら、ご褒美にタイヤキ。そこへ凄い嗅覚をもったミサトさんがたかりにやって来ました(笑)
金欠時のミサトさんは隠された能力を発揮します。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ 雨の日