リツコおかあさんシリーズ
父の日
「ふんふんふんふ〜〜ん」
リツコの研究室、レイはリツコのディスクで鼻歌を歌いながら何かを描いている。
「あら、レイ何を描いているの?」
そこへ用事から戻ってきたリツコ、レイの背中越しからのぞいて見ると画用紙にクレヨンで見覚えのある顔が描かれていた。
「これ、ゲンドウのおじちゃま」
サングラスに髭とネルフ職員なら誰が見てもゲンドウとわかる。顔の横には『ゲンドウおじちゃま レイ』と大きく描かれている。
「司令ね似ているわよ」
「へへ、今日は父の日でしょ、あげるの」
「そう今日は父の日なのね・・・」
元気一杯に言うレイにリツコは少し声が小さくなった。
「じゃあ、渡してくるね」
「司令喜ぶわよ」
元気よく出て行くレイ。リツコは椅子に座りコーヒーを一口飲むと消え入りそうな声で呟いた。
(レイ、ごめんなさい・・・)
「こ〜〜〜んこん!」
司令室の前、レイは擬音を口に出すとドアを叩いた。
ぷしゅ〜〜〜
「うむ、レイ君か」
ドアが開くと同時に中から声がしたゲンドウである。口元に手を当てお決まりのポーズだが頬が緩んでいる。
「これ〜〜〜今日は父の日でしょ、プレゼント」
画用紙を広げるとゲンドウに見せた。
「私にかね?」
ここにはレイとゲンドウしか居ないが、あえて聞いてみる。
「うん、ゲンドウのおじちゃまにプレゼント〜〜」
「うむ、そうかありがたく頂くとしよう」
冷静さを装っているが声は弾んでいる、よほど嬉しいらしい。
「じゃあ私行くね、お仕事頑張って」
「ちょっと待ちたまえ、プレゼントだ」
机の引き出しを開けると何かを取り出した。
「わあ〜〜キャンディー、ありがとう」
「うむ、気をつけて戻りなさい」
「は〜〜〜い」
ひとつ口に入れると甘い味が口いっぱいに広がった。手を振り別れを告げると司令室をあとにした。
「・・・」
レイが居なくなってゲンドウは無言のまま画用紙に描かれた自分を見つめていた。
「・・・うむ」
ニヤリとわらうゲンドウ、よほど嬉しいらしい。そして引き出しからおもむろにマイクを取り出すと・・・
「今日は父の日だ!レイ君が似顔絵を描いてくれたぞ!」
叫ぶゲンドウ、マイクにはスイッチが入っておりネルフ本部全域に響き渡った。
「ふっ問題ない」
マイクを置くと再びお決まりのポーズを決めるがずっと似顔絵を見続け口元が歪んでいた。
レイちゃんの父の日のプレゼントはゲンドウへの似顔絵。
謝るリツコさん、果たしてその理由はなんでしょうね?(レイちゃんのお父さんは?)
マイクを使って叫ぶゲンドウ・・・は、恥ずかしい(^^;)
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ 父の日