リツコおかあさんシリーズ

チーズケーキ

「オヤツにしましょうね」

「わ〜い、オヤツオヤツ〜〜〜今日のオヤツはなあに?」

 リツコは仕事の手を止めると立ち上がりレイに話しかけた。

「今日のオヤツはチーズケーキよ」

「わお〜〜チーズケーキ、美味しい美味しいチーズケーキ」

 レイは大好物のチーズケーキが食べられるので手放しで喜んだ。

「準備するわね」

「うんっ」

 リツコが用意をする為に奥の部屋に以降とした瞬間、扉が開いた。

「やっほ〜〜」

「アスカお姉ちゃん!」

 アスカがやって来た、感が良いのかオヤツの時間帯に必ずやってくる。

「あら、シンジ君は?」

 リツコはシンジの姿が見えないのに気付いた。

「シンジ〜?遅いから置いてきちゃったわ」

「シンジお兄ちゃん可哀想」

「い〜のよ、放っておいても来るわ、それより今日のオヤツはなあに?」

 アスカは椅子に腰掛けるとまだ見ぬオヤツに心ときめかせた。

「アスカ〜そんな事じゃあシンジ君に嫌われちゃうわよ」

「なっどうして嫌われなくちゃいけないのよ、尊敬してもらいたいものだわ」

「アスカは知らないと思うけど、シンジ君はクラスの女の子達に人気があるそうよ」

 リツコは以前ミサトから聞いた話を思い出した。

「何ですって〜?シンジが人気〜?」

「さっすがシンジお兄ちゃんだね」

「そうよ、だからいつもイヂワルしているアスカじゃなくて優しくしてくれるクラスの女の子達にときめいちゃうかもしれないわよ」

「と、とととととととときめくもんですか、もしときめいたならアタシが鉄拳で沈黙させてやるわよ」

 アスカは握りこぶしに力を込めた。

「うふふ、慌てちゃってシンジ君がやってきたら優しくしてあげなさい」

「あ、慌ててなんかないわよ」

「あっシンジお兄ちゃんだ!」

「えっ!」

 アスカは扉に振り向いた。

「うっそ〜〜〜」

 しかしそこにシンジの姿は無かった。

「レ〜〜イ、この〜〜」

 ぎゅう〜〜〜〜〜

 アスカは顔を真っ赤にさせながらレイの両頬をつねった。

「いひゃひゃ〜」

「アスカ、少しは落ち着きなさい。そんな事では本当に嫌われちゃうわよ」

「うん・・・」

 リツコの冷静な言葉にアスカは力なく頷いた。




「はあはあはあ〜こんにちは〜」

 アスカが落ち着いた時、シンジが息を切らせてやって来た。

「いらっしゃいシンジお兄ちゃん」

「やあレイちゃん、いつも元気だね」

「うん、いっつも元気〜〜」

 レイはシンジの手を引いて椅子に座らせ自分はシンジの膝に座った。

「アスカ〜置いていくなんて酷いよ」

「ごめん・・・」

「あ、うん」

 アスカの意外な返事にシンジは一瞬言葉につまり頷いた。

「さあ、みんな揃ったところでオヤツにしましょうね」

 リツコはチーズケーキを持ってくると切り、皿に取り分けた。

「美味しそうなチーズケーキですね。どこで買ったんですか?」

「買ったように見えるかしら、私が作ったのよ」

「えっリツコさんが作ったんですか?」

 シンジは驚いた、皿に取り分けられたチーズケーキは店で売ってあるのと変わらないくらい上手に作られていた。

「うわっ美味しい〜〜そこら辺のケーキ屋より美味しいじゃないの」

 アスカも一口食べると驚きの声をあげた。

「おかあさんのチーズケーキは最高〜〜」

 レイも大満足である。

「嬉しいわね、作ったかいがあったわ」

「リツコさん、チーズケーキの作り方を教えてください。僕も作ってみたいです」

 主夫シンジの血が騒ぎ始めた。

「ごめんなさい、シンジ君には教えてあげられないわ」

「えっどうしてです?」

「それはシンジ君が男の子だからよ」

「?」

 シンジは首を傾げた。

「ケーキを作るのはやっぱり女の子でなくちゃね、アスカになら教えてあげるわよ」

「えっアタシ?」

 突然自分の名前を呼ばれ顔をあげた。

「ええっ教えてあげるから挑戦してみなさい」

「アスカお姉ちゃん作るんだ、すご〜〜い」

「ア、アタシは・・・」

「アスカ、作ってシンジ君に食べさせてあげなさい」

「でも〜」

 作るのに自信が無いアスカは躊躇った。

「作ってよ、アスカの作ったチーズケーキを食べてみたいよ」

「食べたいの?」

「うん、食べたい」

 シンジは微笑んだ。

「ほらシンジ君も食べたいって言っている事だし、どうする?」

「わかったわ、作るわ」

「アスカお姉ちゃん頑張って」

「うふふ、決まりね。これがレシピよ」

 リツコは作り方が書かれた紙をアスカに手渡し小声で呟いた。

「これでシンジ君は嫌いにならないわよ」

「バ、バカ」

 アスカはリツコの言葉に耳まで真っ赤になるのであった。


 オヤツはリツコさん特製のチーズケーキ、その美味しさにシンジ君達は驚きです。

 主夫として作りたくなったシンジ君は作り方を聞きますが、残念ながら教わることはできませんでした。そのかわりアスカちゃんが教えてもらいました(^^)

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ チーズケーキ