リツコおかあさんシリーズ
こたつ
「ただいま〜〜」
レイが家中に響く大きな声を出しながら帰ってきた。
リビングでは久しぶりの休みであるリツコがコタツに入ってコーヒーを飲んでいた。
「お帰りなさい寒かったのね、頬が真っ赤よ」
「あたたか〜〜い」
真っ赤になったレイの頬を温かい手で触ると冷たい感触が伝ってくる。
「うがいと手を洗ってきなさい、温かいミルクを用意しておくわよ」
「は〜い」
レイは上着を脱ぎ捨てると洗面所へ走っていった。
「もう脱ぎっぱなしにして」
リツコは脱ぎ捨てられた上着を折り畳むと立ち上がり台所へ向かおうとした。
「お邪魔するわよ」
「あらアスカ」
立ち上がって目に入ったのはアスカの姿であった。
「アスカお姉ちゃんに途中で会ったの」
「あら、そうなの。寒かったでしょう温もりなさい」
「サンキュー、体が冷えているからそうさせてもらうわ」
上着を脱いでコタツに入ろうとするアスカをレイが止めた。
「アスカお姉ちゃん、コタツに入る前にうがいと手洗いだよ」
「しっかりしているわね〜わかったわ、うがいと手洗いをしてくるわね」
「レイ、アスカの上着を見てみなさい。ちゃんと畳んだでしょう、レイは脱ぎっぱなしよ」
「は〜い」
二人の姿に微笑みながら洗面所へ向かうのであった。
「あ〜〜温まるわね」
「おいしい〜」
コタツに入りホットミルクを飲むアスカとレイ。
「寒いのにお土産がアイスだなんて風邪引くわよ」
アスカが買ってきたのは雪見大福であった。
「寒いから売れているのよ、暖かい室内で食べるのは最高よ」
「ちゅべたくて美味しい〜」
レイはホットミルクを飲みアイスを食べと交互に繰り返していた。
「本当ね、暖かい部屋で食べるアイスも美味しいわね」
「でしょう〜家では常時アイスはストックしてあるわよ」
満足気になって説明するアスカ、しかし口周りは片栗粉で真っ白である。
「アスカお姉ちゃん、口の周りにお髭生えてる〜」
「アタシとした事が、でもレイも真っ白よ」
アスカはティッシュを取ると、レイの口の周りを拭いて、自分の口の周りも拭いた。
「ふう〜アタシとした事がお髭を生やすとは失態だわ」
「シンジお兄ちゃんに見られなくてよかったね」
「そういえばシンジ君は一緒じゃないわね」
「あんなバカしらないわよ」
ソッポを向いて頬を膨らませた。
「また喧嘩したの?」
「喧嘩してないわよ。あんのバカ、バカ達とバカのように遊びに行ったのよ」
「アスカお姉ちゃんを置いて遊びに行ったんだよ。シンジお兄ちゃんひど〜〜い」
「レイ、アンタはアタシの気持ちをわかってくれるのね嬉しいわ」
レイを抱き寄せると頬ずりをした。
「ア、アスカお姉ちゃんくるしい〜」
「ふふ、シンジ君も大変ねえ〜」
「帰ってきたら半殺し、いいえ全殺しにしてやるわ」
アスカの拳に力が入る。
「そんな事したらシンジ君が逃げちゃうわよ、せっかくのお似合いのカップルなのに」
「あ、ア、アタシ達は別に恋人同士でも何でもないわよ」
「あら、ネルフではお似合いのカップルだって噂になっているし、ミサトは二人は熱々で家中が熱くて困るって言いふらしていたわよ」
「ミサトのやつ〜〜帰ってきたらしばいてやるわ」
拳に入る力がさらに篭る。
「そんな事言わないの、ミサトは二人の事を話している時は本当に幸せそうにしているわよ」
「そうなんだ・・・」
「ええ、だから多少の事は大目に見てやりなさい」
「うん」
アスカは静かに頷くとホットミルクを飲み干した。
「それとシンジ君の事も大目に見なさい」
「シンジは全殺しよ!」
「もうすぐアスカの誕生日でしょう、もしかしたら遊びに行った振りをしてプレゼントを探しに行ったのかもしれないわよ」
「・・・うん」
「誕生日前に喧嘩していたらお祝い事も台無しよ」
「・・・うん」
「アスカお姉ちゃん、シンジお兄ちゃんを許したの?」
「まあ今回だけは許してあげますか、プレゼント次第だけどね」
「ふふ、シンジ君プレッシャーね」
「アタシをほったらかしにしているんだから当然よ」
アスカは腕を腰に当て胸を張った。
「やっぱりアスカお姉ちゃんとシンジお兄ちゃんはラブラブだね」
「そうね、コタツの温度を下げないといけないかしら」
「アイスももっと食べないと暑くなっちゃう〜」
「な、何言ってんのよ〜〜そんなんじゃな〜〜い!」
二人の会話に顔を真っ赤にして反論するアスカであった。
寒い冬に必需品のコタツ、リツコさん宅でも大活躍。
シンジ君にご立腹なアスカちゃん、でもリツコさんのフォローで命拾いしました(^^;)
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ こたつ