リツコおかあさんシリーズ

Grandma4

「ねえ〜〜買ってよ」

「ダメダメ」

「良いじゃない買ってよ」

「お金ないから」

「買ってくれないと泣くわよ」

「泣いたって買わないよ」

「・・・買ってくれないと怒るわよ」

「怒ったって買わないよ」

「・・・買ってくれないと噛むわよ!」

「噛んだって買わないよ」

「じゃあ噛んでやる〜」

 がぶっ!

「い〜たたたたたたたた!」

 デパートのゲーム売り場でゲームソフトを買ってもらえないアスカは腹いせにシンジの腕を思いっきり噛んだ。

「いたたたたたた!か、噛むなよ〜」

「噛んだって買ってくれないんなら噛んでやるわよ!」

「うぎゃ〜〜」

 噛む力が強くなってくる、シンジの腕の皮が今にも噛み切られそうである。

「アスカちゃん、女の子がはしたないわよ」

「えっ・・・あ、ナオコさん」

 後ろから声が聞こえ振り返ってみるとナオコが立っていた。

「相変わらず仲が良いわね」

「そ、そんな事ないですよ」

 慌てて否定するシンジにアスカは少しムッとした。

「でもこんな所で噛んじゃみっともないわよ。二人っきりの場所なら思う存分噛みなさい」

「ふ、二人っきりの場所って」

「噛む場所?」

 アスカは意味がわかり頬を赤らめたがシンジにはわからなかった。

「こんなところで会うなんて珍しいですね、一人なんですか?」

「ええ、レイちゃんへのプレゼントを買おうと思ってきたのよ。でも色々あってどれがいいか迷っちゃうわね。シンジ君達も買い物かしら?」

「いえ、ただ見に来ただけですよ」

「ゲームを買うの!」

「お金無いって」

 持っているゲームに飽きて新しいゲームソフトが欲しいアスカだがシンジの財布の紐は固い。

「お金が無いの?」

「無いっていうか、一応あるんですが買ったら今月が苦しくなるんですよ」

「そうなの・・・よし!アスカちゃん私が買ってあげるわよ」

「えっ本当ですか?」

 ナオコの言葉にアスカの眼が輝いた。

「本当よ、私からのプレゼントよ。好きなのを選んでちょうだい」

「はい、ありがとうございます」

 アスカはショーケースを食い入るように見つめ選び始めた。

「シンジ君も買っていいわよ」

「そ、そんな結構ですよ」

「ふふふ、遠慮しなくていいのよ」

「したいゲームが無いんで」

 シンジがプレーしたくなるようなゲームソフトは発売されてなかった。

「あらそうなの、じゃあオモチャを買ってあげるわよ。車が好きだったわねミニカーを選んできたらいいわ」

「でも・・・」

 買ってもらうのは気が引ける。

「いいの、いいの〜〜子供が遠慮したらダメよ、買ってきなさい」

「はい」

 シンジは一礼するとミニカー売り場に行くのであった。



「どれがいいかな〜〜?これもしたいけど、こっちも・・・やっぱりこっちかな」

 プレーしたいゲームソフトが何本もありどれにするか悩む。

「アスカちゃん決まったかしら?」

「それがしたいゲームがたくさんあって迷っているんですよ、これとこれとこれとこれ。迷っちゃうわ」

「ふふアスカちゃん、迷った時の決め方知っているかしら?」

「決め方?」

「ええ迷った時の決め方は・・・全部選ぶのよ」

「ええっ?」

「どれが欲しいんだったかしら?」

 ナオコにはゲームソフトはどれも同じに見えアスカが欲しいソフトがわからなくなった。

「悪いですから一本で良いですよ」

「子供は遠慮したらダメダメ〜〜全部買っちゃいましょう」

「ええ〜〜?」

 ショーケースに並んであるソフトは何十本もある。驚くアスカをよそにナオコは店員に購入する事を話した。




「はい、たっくさん遊んでね」

「あ、ありがとうございます」

 紙袋に入れられたゲームソフトを受け取った。何十本も買うナオコに半分感謝し半分呆れた。

「ナオコさんこれ」

 シンジが戻ってきた、手には決めたミニカーを持っている。

「それなの、一個でいいのかしら?」

「はい、これで良いです」

「一個・・・ん〜〜何か物足りないわね。ミニカー売り場に行ってみましょう」

「え?」

「ミニカー売り場はどこかしら?」

「あ、こっちです」

 シンジは言われるがままにミニカー売り場に案内した。




「あら沢山あるわね。シンジ君、一個と言わずに五十個買いなさい」

「ええっ?」

「一個買ってもつまんないじゃない、沢山買って並べて鑑賞するのが通よ」

「そうなんですか」

 通の意味がいまいちわからなかった。

「シンジ、買ってもらいなさいよ」

 アスカはシンジに耳打ちした。

「どうして?」

「ナオコさんは沢山買うのが楽しいみたいなのよ。アタシなんてゲームソフトこんなに買ってもらったのよ」

「うわっ凄い」

 紙袋の中身を見せられ驚いた。

「アタシも選んであげるから五十個選びましょう」

「う、うん」

 さっき迷った挙句に一個のミニカーを選んだのはなんだったんだろうと思うシンジであった。





「お、重い・・・」

 買ってもらったミニカー五十個は重かった、肩が落ちそうである。

「あら重かったわね、宅配で送ってもらいましょうか」

「「はい」」

 二人は素直に頷いた、持って帰るのは困難である。レジで宅配の手配をした。

「次はレイちゃんへのプレゼントね、何がいいのかしら?選んでくれないかしら?」

「はいわかりました」

 二人はレイへのプレゼントは何が良いか考えた。

「何がいいかな?」

「お人形なんかどうかしら?」

「お人形か・・・ブロックなんかどうだい?」

 シンジの眼にレゴブロックが見えた。

「ブロック、いいんじゃないかしら?創造力も鍛えられるしね」

「ナオコさん、ブロックがいいと思いますけど」

「ブロック、いいわね。そう言えばリっちゃんも昔遊んでいたわね」

 リツコが幼い頃に買い与えたのを思い出した。

「へ〜〜リツコさんも遊んでいたんですか」

「ブロック遊びは科学者をつくるのよ」

「ふ〜〜ん、それじゃあレイも将来は科学者になるのかしら。案外似合っているかもね」

 アスカはレイの白衣姿を想像した。

「そうと決まればブロックを買いましょう。これとこれとこれとこれと・・・・面倒ね全部買いましょう」

「「え〜〜」」

 二人はナオコの買いっぷりにまた驚いた。

「このくらい買わないと遊べないわ」

「一個でも十分遊べますよ」

「すぐ飽きたらレイちゃんが困るわ」

「困りませんよ」

「そうなのかしら?」

「そうですよ、なら二個ぐらいにしたらいいんじゃないですか」

 シンジは手ごろな大きさの箱を取った。

「これなんかどうです?ねえアスカこれいいよね」

「い、いいわね。これならレイ喜びますよ」

「そうなの。二人が選んでくれたからこれにするわ」

 二人はホッとした。

「あっ!ヌイグルミ可愛いわ」

 大きなヌイグルミがナオコの眼にとまった。

「あれも買いましょう!」

「ナ、ナオコさん。あれは今度にしましょう」

「そ、そうですよ、早く買いに行きましょう。シンジ連れて行くわよ」

「うん」

「良いと思うんだけどなあ」

 アスカとシンジは目移りするナオコを強引にレジに引っ張っていくのであった。


 ナオコさんの買い方は半端じゃありません(笑)

 ナオコさんの買い方に呆れるシンジ君とアスカちゃん。でも買ってもらえたのでよかったですね。

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ Grandma4