リツコおかあさんシリーズ

Grandma6

「はあ〜」

 アスカはリビングで手帳を広げて内容を確認するとため息をついた。

「どうしたの、ため息なんかついて」

「お年玉が少ないのよね〜不景気かしら」

「そうだね、今年はくれる額が少なかったね」

 シンジは自分が貰った額を思い出し指折り数えた。

「欲しいもの買ったらすぐになくなっちゃうわ」

「無駄遣いしないで貯金しなよ」

「や〜〜よ、使わないとき使わないと後悔するわ」

「無くなったって貸さないよ」

「いいわよ、借りないわよ〜〜だ」

 アスカは舌を出すと手帳をしまい部屋に戻ろうとした。

 ピピピピ〜

「シンジ、電話よ」

「うん」

 シンジは席を立つと電話を取りに向かった。







「あ、はい、わかりました」

 電話の相手に返事をすると受話器を置きリビングに戻った。

「誰からだったの?」

「リツコさん、ナオコさんが来るからネルフにいらっしゃいって」

「ナオコさんが来るの!?」

 アスカの瞳が輝きだした。

「うん、今向かっているようだよ」

「シンジ!急いでネルフに行くわよ」

「あ、うん」

 アスカはシンジの手を引っ張ると光速でネルフへ向かった。







「シンジ早く走りなさいよ」

 ネルフに着いた二人、アスカは猛ダッシュでリツコの部屋へ走った。

「ま、待ってよ。急がなくていいじゃないか」

「ダメよ、ナオコさんが来るんだから待たせたらいけないわ。ほら早く」

「う、うん」

 疲れて歩き出したシンジの手を引くとスピードを落として部屋に向かった。









「到着〜ナオコさんは着てないようね」

「もうすぐ来るわよ」

 部屋に着いた二人、ナオコはまだ来ていないようである。居るのはリツコとレイだけであった。

「はあはあ、はあはあ」

「シンジお兄ちゃん汗が凄いね〜」

 レイはシンジの駆け寄るとポケットからハンカチを取り出し額の汗を拭いてあげた。

「ありがとうレイちゃん」





「ナ、ナオコさんはまだなの?」

 アスカはナオコが来るのを心待ちにしている。

「そんなに興奮しないの」

「興奮するわよ、ナオコさんが来るんだもの」

「お年玉が目当てでしょう」

「ド、ドキッ!ち、違うわよ。ナオコさんに会いたいのよ」

「ふふ、隠さなくてもいいわよ。でもね今年のお年玉はお金じゃなくて物をあげるって言ってたわよ」

「物なの?」

「ええ、お金じゃなくて残念ね」

「はあ〜」

 アスカは肩を落として、今まで走ってきた疲れたが一気にきた。




「あっけましておめでとう〜〜〜!」

 ジュラルミンケースが四つ乗った台車を押しながらナオコがやって来た。

「おばあちゃま、あけましておめでとう〜〜」

 レイはナオコに抱きついた。

「レイちゃん久しぶりね、暫く会わないうちに大きくなったわね」

「うん、ご飯いっぱい食べているの」

「あら〜偉いわね」

「うんっ!」

 ナオコはレイの頭を撫でると頬にキスをした。

「「おめでとうございます」」

「おめでとう、二人は相変わらずラヴラヴかしら〜?」

「そ、そんなんじゃないですよ。こんなバカとは」

「アスカ、ひど〜い。僕はバカじゃないよ」

「バカはバカシンジよ」

「違うよ」

「あらあら、仲がいいわね〜若さっていいわね」

 二人の会話にナオコは微笑むのであった。

「母さん、おめでとう」

「リッちゃん元気にしてた?病気しなかった?」

「ええ、問題ないわよ」

 ナオコはリツコに抱きつき、娘の健康を喜んだ。

「ナオコさん質問があるんですけど」

「何かしら?」

「その、ケースは何ですか?」

「おっきいケースだね」

「これはお年玉よ」

「これがお年玉なの?」

「そうよ、これがレイちゃんのよ」

「わあ〜ありがとう」

「重たいから気をつけてね」

 レイは自分の身体半分くらい大きいジュラルミンケースを受け取った。

「これはシンジ君の分」

「ありがとうございます」

「これがアスカちゃんの分よ」

「ありがとうございます」

 お年玉を貰ったがアスカの気分は落ち込んでいた。

(お金じゃないのね)

「うわ〜〜綺麗なのがいっぱい」

 ケースを開けたレイの瞳に飛び込んできたのはケースいっぱいに敷き詰められた真紅の輝き出会った。

「レイちゃんのはルビーよ」

「ル、ルビー?」

 アスカは振り返りレイのケースを見た。

「そうよ、ちなみにアスカちゃんのはダイアモンド、シンジ君のはサファイヤよ」

「うそ?」

 アスカは急いでケースを開けた。そこにはケースいっぱいに敷き詰められたダイアモンドが輝いていた。

「わおわおわお〜〜ダイアよダイア〜〜〜〜!」

 アスカの瞳が¥マークになっていた。

(これを売れば、うふ、うふふふふふ)

「母さん、これはお年玉じゃないでしょう」

「良いの良いよ。最近の若い子はこれくらいないと綺麗に着飾れないでしょう」

「無くても良いのよ」

「あった方がいいじゃな〜〜い」

「・・・」

 ナオコの常識はずれに呆れるリツコであった。

「ため息つかないでよ〜ちゃあんとリッちゃんのお年玉も用意してあるわよ」

「要らないわよ」

「あげたいのよ〜貰ってちょうだい」

「リツコのは何?エメラルド?オパール?」

 アスカはリツコがもらう宝石に興味があった。

「アスカちゃん、ざんね〜〜ん。リッちゃんにはこれよ、わかるかしら」

 ナオコはケースに貼ってあるアルファベットと番号を見せた。

「Pu-94?」

「か、母さん!何て物持ってくるのよ」

「あら〜最高の研究材料じゃない、高かったわよ」

「アスカ、それ何なの?」

「え〜〜と・・・シ、シンジ逃げるわよ」

 アスカはわかったのか、顔が真っ青になるとケースを脇に抱えてシンジとレイの手を引っ張って部屋から逃げ出した。








「遠くへ逃げるわよ」

「ど、どうして?」

「アスカお姉ちゃん手いた〜い」

「ケースに付いていた記号見なかったの」

「見たけど何?」

「元素記号Pu-94、プルトニウムよ」

「プ、プルトニウム?」

 シンジの顔も真っ青になった。

「ナオコさんなんて物を持ってきたのかしら」

「に、逃げよう。遠くへ逃げよう〜〜!」

「わあああ〜〜シンジお兄ちゃんはや〜〜い」

 シンジはレイを抱っこし、アスカの手を握ると速攻でネルフから逃げ出すのであった。


 ナオコさんのお年玉、最初アスカちゃんは現金じゃないと聞いていたのでガッカリした様子でしたが、貰ったのは(^^)現金より嬉しいかもしれないですね。

 娘のリツコさんにもお年玉、その正体は・・・(^^;)ナオコさん新年早々、飛ばしています(笑)

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ Grandma6