リツコおかあさんシリーズ

みかん

「レイ、みかんを食べなさい」

「は〜〜い」

 時刻は午後三時をまわった。リツコとレイは研究室の隣にある休憩室に用意されたコタツに入った。

「このみかん、甘くて美味しいね」

「ふふ、加持君からのもらい物なのよ」

「へ〜〜加持お兄ちゃんってみかんも作っているの?」

 レイはみかんを剥きながらリツコに尋ねた。

「買ってきたみたいよ」

「作るのはスイカだけなんだね」

「そのようね」

 リツコはレイにお茶を差し出すと、みかんを取り剥き始めた。

「甘いじゃないの」

 満足である。





「やっほ〜〜今日も来てあげたわよ」

「ア、アスカッ」

 アスカは仁王立ちで腰に手を当てて部屋に姿を現した。シンジはアスカの態度に申し訳なく、リツコに頭を下げた。

「今日のオヤツは何かしら?」

「みかんだよ、はいアスカお姉ちゃん」

「みかん〜?もっとマシなのはないの?」

「あら、いらないのかしら?加持君からのもらい物なのよ」

「食べる食べる〜〜〜」

 アスカは発言と同時にコタツに入っており、すでにミカンを剥いて食べ始めていた。

「は、早い」

 シンジはアスカの光速の動きに驚いた。

「シンジ君も立っていないで座りなさい」

「あ、はいお邪魔します」

 シンジはアスカの脱ぎ捨てられた靴を揃えると、一礼してコタツに入り込んだ。

「シンジお兄ちゃん、みかんだよ」

「ありがとう、レイちゃん」

 シンジはレイからみかんを受け取ると剥き始めた。

「シンジッ!加持さんのみかんよ。アンタなんかには勿体無いけど、心して食べなさいよ」

「はいはい」

 シンジはアスカの言葉を聞き流すと、みかんを口に入れた。

「うん、美味しいね」

「でしょう〜〜やっぱり加持さんの作ったみかんは最高ね」

 アスカはすでに四個目である。

「アスカお姉ちゃん、それは加持お兄ちゃんが作ったんじゃなくて買ってきたんだよ」

「あ、あらそうなの?さ、さっすが加持さんね、買ってくるものも最高だわ」

 リツコはアスカが顔を真っ赤にするのを見て、微笑むとシンジのお茶を注いだ。

「ははは、アスカ〜加持さんはスイカしか作っていないんだよ。ちゃんと畑を見ているの?」

 スイカ作りを時々手伝っているシンジはアスカの発言に笑った。

「うふっ、シンちゃんって〜〜人の失敗を笑うんだね〜〜〜誰にだって失敗があると思うんだけど〜〜」

「だって、アスカの最初のみかんの食べ方が面白いから笑っちゃうよ。ねえレイちゃん」

「あ、あ・・・う、うん・・・」

 レイはアスカの変化に気がついており、小声で返事をした。

「面白いから笑う、それは結構なことだわ。だがアタシのクリスタルのように繊細なハートが傷ついたわ。はあ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 ガシッ!

「ぐわっ!?アスカ、何をするの」

 アスカの社イニングフィンガーがシンジの顔面を捉えた。

「ふっアタシの、この心の悲しみを癒すのは、シンジッ!アンタの死しかないわ」

「ぐ、ぐええ・・・」

「お、おかあさん、アスカお姉ちゃん恐い・・・」

 レイはアスカの迫力に恐怖し、リツコの背中に隠れた。

「いつもの事よ。好きなようにやらせなさい」

 リツコはお茶をすすると、みかんを剥き始めた。

「あああ・・・アスカ・・・」

「ヒ〜〜〜トエンドッ〜〜〜〜〜〜〜!!」

 バシュッ!

 シンジの顔面から鈍い音がし、アスカが手を離すとその場に倒れこんだ。

「シ、シンジお兄ちゃん!」

「レイ、大丈夫よ。子一時間もすれば復活するわよ」

 心配するレイをよそにリツコは復活の時間を計算していた。

「まったく、腹立たしいわね。シンジの奴〜〜〜あっ、しまったわ、バカシンジに皮を剥かせれば良かった。こらバカシンジ!起きなさいよ、起きろ〜〜〜!!」

 胸倉を掴んでシンジを起こそうとするアスカだが、シンジがすぐに目を覚ます事はなかった。


 みかんが美味しい季節、ビタミンも豊富なので身体に良いです。

 リツコさんとレイちゃんの楽しい一時もアスカちゃんの登場で修羅場に?シンジ君、ビタミンを取らないと復活が遅れます(^^;)

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ みかん