リツコおかあさんシリーズ

猫の手

「ねこぱ〜んち!」

「ぐえっ」

 シンジは後頭部に柔らかい衝撃を食らった。

「アスカ何するんだよ」

 振り向いたらアスカが腕を組んで笑っていた。

「痛いわけないでしょう、見てよこれ」

「な、なにそれ?」

 アスカの腕にはフサフサな毛が装着されていた。

「何って猫の手にきまっているでしょう」

「猫の手」

「そうよ、リツコに貰ったの」

「リツコさんに?」

「アタシのパンチが強力すぎてアンタが気絶するのが可哀想だからって作ったそうよ」

「そうなんだ」

 いつもアスカのパンチで傷ついているシンジはリツコに感謝した。

(そういえばさっきのパンチ、痛くなかったなあ。クッションが当たった感じだ)

「これで心置きなくパンチができるわよ」

 アスカの口元が歪み獲物を捕らえる眼にかわった。

「な、何でそういう考えなんだよ?」

「一日一回は殴らないと気がすまないのよ」

「え?その考え方ってジャイアンだよ」

「誰よそれ?アタシはアスカ様よ」

 ネズミを捕らえる猫の様にジリジリと壁に追い詰めていく。

「痛くないから何発でもいいわよね」

「よ、よくないよ〜〜」

「安心しなさい、骨なら拾ってあげるわよ」

「骨まで砕かれそうだよ〜〜」

 シンジは死を覚悟した。

「ちょっと待って〜〜」

 危機一髪、レイが走ってやってきた。

「アスカお姉ちゃん!シンジお兄ちゃんを叩いたらダメ〜」

「痛くないからいいのよ」

「手だけじゃ完成してないの、おかあさんから預かってきたの」

 レイは袋から耳を尻尾と取り出した。

「うわっコスプレ」

 アスカは精巧に作られている耳と尻尾に驚いた。

「これをつけるとパワーアップするっておかあさんが言ってたの」

「ふ〜〜ん、力が三倍になるわけね」

「それは知らないけど」

「よし、装着よ。あ、シンジッ」

 シンジは隙をついて逃げ出していた。

「このアタシから逃げ出すなんて百年早いわよ」

 装着完了、シンジを追う準備が出来た。

「逃がさにゃいわよ」

 四つんばいになり駆け出した。

「あ、あれ?どうしてにゃ?」

「アスカお姉ちゃんごめんなさい、こうするしかシンジお兄ちゃんも守る方法がないの」

「レ、レイ騙したわにぇ〜〜」

 レイはポケットからマタタビ取り出した。

「ふ、ふぎゃ〜〜、身体が勝手に〜〜」

 アスカはマタタビの上を転がりまわり始めた。

「暫くそうしていてね」

「こ、こら〜〜レイ〜〜まちにゃさ〜〜い」

 シンジを追いかけていくレイ。アスカは二人を追おうと立ち上がろうとするが意に反して身体はマタタビの上を転がり続けるのであった。

「ふにゃ〜〜〜〜〜、覚えてなさいよ〜〜〜!」


 アスカちゃんのパンチは岩をも砕きますからシンジ君助かりましたね(^^;)

 全てのパーツを着けて猫化したアスカちゃん、これなら恐くないですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


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