リツコおかあさんシリーズ
にがくて
「リツコさん、手伝いますよ」
「いいのよ、座ってゆっくりしていてちょうだい」
「でも」
「今日は招待したんだから手伝わせるわけにはいかないわ」
「それじゃあ、お言葉にあまえさせてもらいます」
シンジとアスカはリツコ宅に招待されていた。
「シンジお兄ちゃん遊ぼう〜」
台所にレイがやって来た、シンジ達が来ているので嬉しいのである。
「うん、いいよ。何して遊ぼうか?」
「ええとね〜〜おままごと〜〜」
レイはシンジの手を握ってリビングに連れて行った。
「あ、シンジ君」
「はい、なんですか?」
「アスカに来るように言ってちょうだい」
「はい、わかりました」
リビングではシンジと共に呼ばれたアスカが寝転がってテレビを見ていた。
「アスカ〜リツコさんが呼んでいるよ」
「はあ〜何でよ?」
「さあ、行ってみればわかるんじゃない」
「面倒くさいわね〜」
アスカはため息をつきながら立ち上がり台所に向かった。
「さあレイちゃん遊ぼうか」
「うんっ!」
「リツコ〜なに〜?」
台所にやって来たアスカは髪をかき上げてリツコに尋ねた。
「トマトを切ってくれないかしら」
「へえ?」
「サラダを作るからトマトを切ってちょうだい」
アスカはトマトを包丁を渡された。
「どうしたの?切り方知らないの?」
「知っているけど、どうしてアタシがしなくちゃなんないのよ」
お呼ばれしているのに手伝わされるとは納得いかない。
「家では家事をしていないんでしょう、いい機会だからしていきなさい」
「し、しているわよ」
「本当かしら?」
リツコはアスカの瞳をじっと見つめた。
「ほ、本当よ・・・」
しかしリツコの瞳に耐え切れず目線をそらしてしまった。
「してないのね?」
「してないって言うか、少しはしているわ」
「少しってどのくらい?」
「ほんの少し・・・」
アスカは指をモジモジさせて声が小さくなっていった。
「シンジ君ばかりに負担かけたらダメよ」
「うん」
「家事ができないと嫌われちゃうわよ」
「シ、シンジに嫌われるわけないじゃない!」
「あら〜〜私はシンジ君って言ってないんだけどなあ」
「なっ・・・」
リツコの微笑みにアスカは耳まで赤くなった。
「さあ早く作ってシンジ君がお腹を空かせているわよ」
「バカ!」
まだ耳まで真っ赤なアスカはトマトを切り始めた。
「あら上手ね」
「バカにしないでよ、このくらいできるわよ」
アスカは自信満々に胸を張った。
「次はキュウリを切ればいいのね」
「ええ、お願いするわ。そのあとコーンとシーチキンを入れてマヨネーズを混ぜてね」
「わかったわ」
アスカの見事な包丁捌きにリツコは素直に感心した。
「あら、それは何?」
隣で炒め物をしているフライパンに見たこと無い野菜が入っているのに気がついた。
「これはゴーヤよ」
「ゴーヤ?」
聞いたことが無い野菜であった。
「沖縄の野菜で今作っているのはゴーヤチャンプルって言うのよ。夏バテに効くのよ」
「ふ〜〜ん、そうなんだ。でもアタシは夏バテしてないから意味がないわね」
「ふふそうね、今日はミサトの為に作ったんですからね」
今日のお呼ばれのメインは夏バテ気味のミサトであるが仕事でまだ来ていなかった。
「美味しそうね、食べていい?」
フライパンからはいい香りが漂っており、アスカのお腹を刺激した。
「ミサトがもう少しで来るはずだから我慢してね」
「う〜〜待ちきれないわね」
「ふふ、そろそろできるから準備してちょうだい」
「わかったわ」
アスカは食器を人数分出すとリビングへ持っていった。
「ほらほら、アンタ達片付けなさい」
リビングではシンジとレイがおままごとをしており散らかっていた。
「レイちゃん、そろそろご飯のようだから片付けようか」
「うん、アスカお姉ちゃんも手伝ってね」
「えっ、どうしてアタシが?」
「だってアスカお姉ちゃんがおかあさんって設定だもん、おとうさんはシンジお兄ちゃん」
「や、やだ。何言ってんのよ」
アスカは真赤になると食器を素早く並べ一緒に片付け始めた。
「三人でやると早いね」
レイはニコニコしながら玩具を箱に入れ始めた。
「ほら、シンジもたもたしない」
「うん」
「ふふ、結婚したら絶対アスカお姉ちゃんに頭があがらないね」
「レ、レイちゃん!」
「レ、レイ!」
二人は真赤になってユニゾンした。
「おかあさんのお手伝いをしようっと」
レイは逃げるように台所に立ち去った。
「僕ってアスカに頭があがらないの?」
「バ、バカ」
アスカはお盆で真赤になった顔を隠しながら台所に立ち去った。
「あら、アスカどうしたの。顔が真赤よ」
「な、なんでもないわ」
「んふっふ〜〜おかあさん、アスカお姉ちゃんが真赤なのはね〜〜イタイタタ」
「レイ余計なこと言わない」
アスカはレイの頬をつねった。
「ひゃ、ひゃあ〜い」
「ふふ、なんとなく想像つくわね」
リツコは二人のやり取りに微笑んだ。
「さあできたから運びましょう」
料理は完成しており三人はリビングに運び始めた。
「うわ〜〜美味しそうだね」
リビングでは片づけが終わったシンジがお腹を空かせていた。
「当然よ、アタシが作ったんだからね」
アスカはサラダボールをシンジの目の前に置いた。
「サラダはアスカが作ったんだ」
「ぜ〜〜んぶ食べていいわよ」
「それはちょっと・・・」
全部食べたいのだが食べれる量ではない。
ピ〜〜ンポ〜〜ン
「あっミサトお姉ちゃんだ!」
呼び鈴が鳴りレイが玄関に走った。
「うい〜〜す、げんき〜〜?」
「元気だよ、ミサトお姉ちゃんは元気なさそうだね」
「ずえんずえんナシ!」
背中を丸め顔には生気が無かった。
「今日はミサトお姉ちゃんが元気になるものを作ったんだよ、た〜くさん食べてね」
「ありがと、うれしいわね」
レイはミサトの手を引くとリビングに連れて行った。
「みんな〜元気〜〜?」
「お疲れ様です、ミサトさん」
「あいっかわらず死んだ目をしているわね」
「無理は身体によくないわよ、これを食べでスタミナをつけなさい」
リツコはゴーヤチャンプルを人数分皿に取り分けた。
「「「「「いただきま〜す」」」」」
「にがっ!何これ?苦いじゃないのよ」
ゴーヤを口に入れて噛んだアスカは苦さに麦茶を飲み干した。
「この苦さがいいんだよ」
「おかあさん、にが〜い」
「あらレイにはまだ無理だったかしら、他の野菜を食べなさい」
「うん」
レイもアスカ同様に麦茶を飲み干した。
「アンタよく食べれるわね」
アスカはゴーヤを食べるのを諦めた。
「苦いけどこれがくせになるんだよね、あ〜〜にがい!」
「ふ〜〜ん、へんなの」
「お子様にはまだ無理かな」
「ムッ、むかつくわね。食べれるわよ」
子供扱いされたアスカは我慢して食べ始めた。
「うぐっにがっ、でも負けないわよ」
アスカは根性で食べ続けたが・・・
「ギ、ギブアップ〜〜」
力尽きて仰向けに倒れた。
「あらら、アスカ大丈夫?こんなに美味しいのに」
「ミサトは大丈夫なの?」
「だ〜〜いじょうぶ、めちゃくちゃ甘いじゃない」
「へ?」
「リツコ〜これ甘すぎるわよ、砂糖入れすぎなんじゃないの」
「そ、そうね・・・」
返事をするリツコ、しかし砂糖は使っていない。
「あまうまあうま、ビールが欲しいわね」
(かなり夏バテが進行しているわね。特製注射を打った方がいいわね)
リツコはゴーヤを食べながら、明日出勤して作るスペシャル注射のレシピを考えるのであった。
夏バテにはゴーヤチャンプル、苦いですけどシンジ君は食べていますね。
アスカちゃんはお子様ですから食べ切れませんでした(笑)レイちゃんにはまだ無理でしたね。
夏バテのミサトさんは味覚がおかしくなっていますね(^^;)リツコさんはスペシャル注射で治すことができるのでしょうか。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ にがくて