リツコおかあさんシリーズ
遅れて・・・
「おかあさんまだかなあ・・・」
「もうすぐ帰ってくると思うから待っていようね」
「うん・・・」
葛城家、レイはリツコを待っていた。今日は三月三十一日、昨日三十日がレイの誕生日であったがリツコは出張でシンジ達でしか祝う事ができなかった。
「ほらレイ、そんな顔してると可愛い顔が台無しよ」
「うん・・・」
レイのションボリする姿に心が痛むシンジとアスカは元気付けようとするがなかなか無理である。
「まったく碇司令もどうして出張させたのかしら」
「しょうがないよ、リツコさんしかできない仕事だからね」
ゲンドウもレイの誕生日をしっており三十日はリツコを公休させるつもりであったが、重要な任務の為に仕方なく出張させたのであった。
「リツコも楽しみにしていたのにねえ」
「そうだね、仕事が終わったらすぐ来るって行っていたからもうすぐ来るよ」
「おかあさん、まだかなあ・・・」
リツコを待つ三人、しかし玄関から音はしない。
「レイちゃん眠たくない?」
「ううん大丈夫、おかあさんが来るまで起きているもん」
現在午後二時、レイにとってはお昼寝の時間である、目をこすりながら必死に起きているが瞼が閉じてしまう。
・・・
「あっおかあさんだ!」
シンジ達には聞こえない玄関から聞こえる微かな足音にレイは瞳を輝かせると玄関に走った。
「あらレイ、出迎えてくれたの」
そこに居たのはリツコではなくミサトであった。
「な〜〜んだミサトお姉ちゃんか」
「むっ失礼しちゃうわね」
ミサトの姿にがっかり、回れ右をするとリビングに戻った。
「はあ〜〜おかあさんまだかなあ・・・zzz」
リツコが来る気配は無い、レイの瞼は次第に重くなり静かな吐息を立て始めた。
「あら眠ったわね」
「仕方ないよ、ずっと待っていて疲れちゃったんだよ」
シンジは毛布を持ってくると眠っているレイに風邪を引かないようにかけてあげた。
ピンポーン
「きっとリツコさんだ」
呼び鈴にシンジは玄関に向かった。
「あっシンジ君、遅れてごめんなさいね。レイはどうしているかしら?」
玄関には走ってきて息を切らしたリツコが居た。
「さっきまで起きていて待っていたんですけど、疲れて眠っていますよ」
「そう・・・寂しい思いさせちゃったわね」
「あがってください、疲れたでしょう」
「ええ、そうさせてもらうわ」
二人はリビングに向かった。
「あっレイ」
「し〜〜〜眠っているから大きな声だしたらダメよ」
アスカは人差し指を口に当てると注意した、レイは心地よさそうに眠っていた。
「そうね、疲れるまで待っていてくれるなんて嬉しいわね」
リツコはレイの頭を撫でると安らかな寝顔に微笑んだ。
「お茶を入れますからゆっくりしてください」
「ありがとう」
眠っているレイの隣にすわると安らかな寝顔を見ているだけで出張の疲れが取れるのであった。
一日遅れのレイちゃんの誕生日SSです。
当日に祝ってやれなかったリツコさん残念でしたが、レイちゃんのずっと待っていた事に嬉しさを感じますね。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ 遅れて・・・