リツコおかあさんシリーズ

おーみそか

「今年も今日で終わりかあ〜〜」

 アスカは新聞紙の日付を見て呟いた、長いようで短く感じられた一年が今日で終わる。

「今年も色々とあったわね〜〜〜シンジのご飯が美味しかった、シンジのお弁当が美味しかった、シンジの・・・ってどうしてシンジの事しかでてこないのよ!?」

 首を左右に大きく振りシンジの姿を消そうとした。

「ええと仕切りなおしよ、今年も色々とあったわね〜〜〜シンジをいぢめた、シンジを馬鹿にした、シンジを・・・って〜〜〜アタシの一年はシンジしか出てこないの!?」

「クエクエ」

 隣でパソコン雑誌を読んでいたペンペンが大きく頷いた。

「どうしてそこで首を縦に振るのよ?アタシの一年は華麗だったのよ、それをシンジが邪魔しているのよ許せないわ」

 こぶしを握り締め怒りに燃えるアスカ、シンジはいい迷惑である。

「帰ってきたら鉄拳制裁よ」

「クエ〜〜」

 現在買い物に出かけているシンジ、ペンペンは帰ってきたときの惨劇を想像して鳥肌が立った。

「アスカ、アスカ〜〜〜」

「何よ?」

 ミサトが部屋からやって来た。

「今日が何の日か知ってる?」

「知っているって12月31日でしょう」

「それがね・・・」

 ミサトはアスカの耳元に近づいてささやき始めた。























「ただいま〜〜」

 シンジの帰宅である。両手に大きな買い物袋を持ち額には汗、これから蕎麦におせちにと作るので休む暇は無い。

「ねえシンジ、味噌は買ってきた?」

 アスカが玄関にやってきた先ほどの怒りはすでに忘れている。

「味噌?買ってきてないよ」

「え〜〜〜どうしてよ?年が越せないじゃないの」

「?買ってこなくてもまだ有るし味噌が無くても年は越せるよ」

 シンジは言っている意味がわからない。

「アンタ知らないの?今日はおーみそかって言って味噌を食べなければいけないのよ」

「はあ?」

「そんな事も知らないなんてアンタ似非日本人ね」

 ビシッと指をシンジの鼻先に突きつけるアスカ、そのアスカを柱の隅から見つめる瞳があった。

「似非日本人って大晦日の意味が違うよ、普通は蕎麦を食べて年を越すんだよ」

「え?味噌は食べないの、だってミサトが」

「ミサトさんにからかわれたんだよ」

「何ですって〜〜!?あんのミサトが〜〜〜」

 怒りに燃えるアスカ、シンジは声を殺して笑った。

「ぷわははは〜〜〜ごめんごめんアスカ」

「ミサト!!!アンタ嘘を教えたわね!!」

 玄関に笑いながらやって来たミサト、アスカは怒りが爆発した。

「嘘じゃないわよん、味噌を食べていたのは江戸時代まで明治時代から西洋の文化が入ってきて蕎麦に変わったのよ」

「へ〜〜そうなんだ」

「・・・」

 ミサトの博識に感心するアスカに呆れて言葉が出ないシンジ。



















「「こんにちわ〜〜」」

 玄関から聞こえるユニゾンした声、リツコとレイがやって来た。

「こんにちわ、いらっしゃい」

「ごめんなさいね、忙しいのに御呼ばれしてもらって」

「いいですよ、大勢のほうが楽しいですから」

 シンジの提案で年越しはみんなで迎えることになったのである。

「シンジお兄ちゃん、今年もお世話になりました」

 レイは小さな頭をペコリと下げて微笑んだ。

「こちらこそお世話になりました」

 シンジも頭を下げると微笑んでレイの頭を撫でた。

「さああがって下さい」

「お邪魔するわね」

「お邪魔しま〜〜す」




 リビングに来た二人、そこには大晦日なのに動こうとしない同居人が二人寝転がっていた。

「やっほ〜〜よく来たわね」

 ミサトは起きもしないで二人を出迎えた。

「ミサト・・・あなたシンジ君を手伝おうとする気は無いの?」

 シンジは二人を出迎えた後、台所に向かい準備を始めている。

「じぇ〜〜んじぇん、ナッシングよん。だって手伝おうとするとしないくていいって言われるんだもん」

「た、確かにね」

 ミサトが料理を手伝ったら新年から死者がでるだろう、リツコは納得した。

「まったく、だらしない保護者ね」

 リツコは持ってきたバックからネコがプリントされたエプロンを身に着けると台所に向かった。



「レイ〜こっちいらっしゃい」

 寝転んでいたアスカはレイを手招きして横に寝転がせた。何を企んでいるのか少し顔がにやけている。

「は〜〜〜い、ごろんごろんごろん」

「レイ、今日はおーみそかって言ってね、味噌を食べないと歳を越せないのよ」

 自分一人騙されたのはしゃくだからレイを騙そうとするアスカ十四歳。

「え〜〜〜そうなの?」

「ええそうよ」

 目を真ん丸くして驚くレイ、アスカは騙して満足気だが・・・

「な〜〜〜んて、おーみそかに味噌なんか食べないよ〜〜〜食べるのは年越し蕎麦だよ。アスカお姉ちゃんそんな事も知らないなんてまだまだ子供だね〜〜〜」

「な・・・知っているの?」

「うん」

「あ〜〜〜はっはっはっは〜〜レイが一枚上手ね」

 驚くアスカ、ミサトはお腹を抱えて笑った。

「まったく〜〜アスカお姉ちゃんはやれやれだね」

「む〜〜言ったな、こうしてやる〜〜」

 こちょこちょこちょこちょこちょこちょ〜〜〜

「きゃ〜〜〜はっはっはっはっは〜〜くすぐったいよ〜〜」

 レイをくすぐりの刑にするアスカ、家中にレイの声が響く。

「ほれほれ〜〜〜アタシを騙した罰よ」

「あはははははは〜〜もう駄目〜〜〜」

 楽しげな二人、みんなにとって今年も良い歳であった。


 今年一年を振り返るアスカちゃん、思い出はシンジ君の事ばかりなので鉄拳制裁に決定(どうして?)

 企むミサトさんに何かを言われたアスカちゃんは先ほどの怒りを忘れてシンジ君をお出迎え、味噌の事を話しますが騙されていました。

 アスカちゃん、レイちゃんを騙そうとしましたが知っていましたね流石です(アスカちゃんがへっぽこなだけかな)

 今年も今日で終わりですね、来年を「jun16 Factory」をよろしく〜〜

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ おーみそか