リツコおかあさんシリーズ
おもち
「レイ、お餅を焼いたわよ」
「はーい」
リツコは焼きあがった餅をリビングに持ってきた。
「おもち、おもち〜」
こたつで丸まっていたレイはふっくら焼きあがった餅を指で突付いて楽しんだ。
「砂糖醤油でよかったかしら?」
「うん、いただきま〜〜す」
レイは箸で餅を掴むと砂糖醤油にたっぷりつけて口に運んだ。
「熱いから気をつけなさい」
「は、はわわ〜あつつ、あつつ」
「大丈夫?」
「うん、平気〜熱くて美味しい〜〜」
満面の笑み、箸が進む。
ピンポーン!
「シンジ君達ね」
「シンジお兄ちゃん達なの?」
「ええ」
先ほど電話しておき、来るように伝えていたのである。
「やあレイちゃん、こんにちは〜」
「いらっしゃ〜〜い」
「寒いのに元気良いわね」
アスカはマフラーに手袋、毛糸の帽子、大きなダッフルコートと重装備で登場した。
「うわっアスカお姉ちゃん、着込みすぎ」
「冷え性だから仕方ないじゃない」
「私は冷え性じゃないよ」
「レイちゃん、アスカは便秘だから冷え性になるんだよ」
ボカッ!
アスカの蹴りがシンジの背中に直撃した。
「あいたた〜」
「変なこと言うんじゃないわよ」
「本当の事じゃないか」
「死にたいわけね」
「遠慮しとくよ」
「ふ〜〜ん、便秘だと冷え性になるんだ。私は出ているから平気だね」
「出ているのか〜レイちゃんは健康だね」
シンジはレイの頭を撫でるのであった。
「フンッ成長したら苦しむわよ」
アスカは悪態をつくと、コートを脱ぎ、コタツに入るのであった。
「たくさん食べていってね」
リツコは先ほど焼いた餅を大皿に盛り付けてきた。
「うわ〜〜美味しそう〜〜。いっただきま〜〜す」
アスカは早速砂糖醤油をつけて餅をほお張った。
「一気に食べると詰まらすよ」
「へ、へ〜〜きよ。ぐっごほごほごほ〜〜〜!」
喉に詰まらせたようである。
「ほら、お茶飲みなよ」
シンジはアスカにお茶を渡すと一気に飲み干した。
「ふう〜〜〜死ぬかと思ったわ」
「慌てなくていいわよ、たくさんあるんだからね」
リツコは空になった湯飲みのお茶を注ぎながらアスカの大食に笑った。
「も〜〜、アスカったら大食いさんね〜〜恥ずかしいわよ」
「ミサトッ!」
いつの間にかアスカの隣に座っているミサトが居た。
「シンちゃんの前だからもう少しおしとやかにしなさい」
「それより、どうしてここにいんのよ?」
アスカのみならず皆驚いている。
「お餅のい〜〜香りがしたのよ、勝手に上がらせてもらったわよ」
「上がらせてもらったって、どうやって来たのよ。ここのセキュリティーは完璧なはずよ」
リツコが住んでいるマンションはセキュリティーが完璧でネコ一匹入ることができない。
「ふふ、あんくらいのセキュリティーなんてセキュリティーとは言わないわよ」
ミサトは餅を手で掴みかぶりついた。
「きょ、強化しないとね」
リツコは自分が手がけたセキュリティーなのでショックを受けた。
「あれ、おかあさんどこに行くの?」
「ちょっと用ができたから、シンジ君達はゆっくりしていってね」
「あ、はい」
リツコは部屋を出て行った。
「ん〜〜〜美味しい、美味しい」
ミサトは持参したビールを飲みながらご機嫌である。
「シンジ〜きな粉取って」
「うん」
「シンジお兄ちゃん、お茶入れるよ」
くつろぐ四人、そこへリツコが戻ってきた。
「あっお帰りなさい」
「ただいま、ミサト用があるわ」
「う、何〜?」
「マンションから出てちょうだい」
「はあ〜?」
「もう一回入ってきたら、ビール飲み放題よ」
「よっしゃ〜〜〜!まっかせなさい〜〜い!」
ミサトは速攻で部屋を出ていった。
「リツコさん、ビール飲み放題ってなんですか」
「いいのよ、絶対に飲めないから。これを見てみなさい」
リツコはテレビを点けた、そこにはマンションの入り口に居るミサトが映っていた。
「あ、ミサト」
「防犯カメラとテレビが連動しているのよ。今から忍び込もうとしているわ」
ミサトは腕まくりをするとマンションに侵入しようとした。
「あ、ミサトお姉ちゃんが」
テレビにはマシンガンに足元を撃たれダンスを踊っているミサトが映し出された。
「リツコさん、これって?」
「セキュリティーを強化したのよ、これで絶対侵入することはできないわ」
リツコの口元が不気味に歪んだ。
「あっ感電しているわ」
「うふふ、ミサト一匹入ることはできないわ」
「リツコあんた恐いわよ」
「レ、レイちゃん見ちゃダメだよ」
アスカは顔が引きつり、シンジはレイの目を押さえて見えなくするのであった。
「あ・・・な、なんなのよ〜〜」
マンションの庭では電撃で頭がアフロになったミサトが動かなくなっていた。
おもちを焼いたリツコさん、レイちゃん大喜びですね。シンジ君達もやって来て嬉しさ倍増。
そして呼んでもいないのに居るミサトさん、不法侵入です(笑)
セキュリティーが通用しなくてショックを受けたリツコさんでしたが、強化して満足でした。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ おもち