リツコおかあさんシリーズ

お誕生日

「ふんふんふんふ〜〜ん」

 レイが鼻歌をうたいながら通路をスキップしている。

「おやレイちゃん、楽しそうだね。何かいいことでもあったのかな?」

 そこへ休憩をしているシンジが通りかかった。

「うん良い事あったの、とお〜〜てもいいことなの」

「そんなに良い事なんだ」

 レイの純粋な微笑みにシンジの心は潤される。

「うん、当ててみて」

「なんだろうね〜〜、レイちゃんの誕生日かな」

「ピ〜〜ンポ〜〜ン、シンジお兄ちゃん大正解」

 今日、三月三十日はレイの誕生日である。

「今日でまた一つ大人になっちゃった。どうしよう〜〜」

「はは、それはこまったね。はい、困ったときにはこれをどうぞ」

 シンジは持っていたバックからリボン付きのラッピングされた箱をレイに渡した。

「わあ〜〜」

「誕生日おめでとう」

「シンジお兄ちゃんありがとう〜〜」

 レイは嬉しさのあまりシンジに抱きついた。その光景を見ていた青い目が遠くから光っていた。









(レ、レイ・・・どうしてシンジからプレゼントを貰っているのよ?アタシは貰ってないのに)

 二人を見ていたのはアスカであった。ハンカチを握り締め悔しそうにしている。

(あっ抱きついた!こらバカシンジ離れなさいよ)

 ハンカチを握る手に力がこもる。

(い〜もん、アタシだって抱きついてやるんだから)

 誰に抱きつくのであろうか。

(それより気になるのはプレゼントよ。どうしてレイがプレゼントを貰っているのかしら?)

 アスカはレイが今日誕生日であることを忘れていた。




「アスカ〜〜何してんの?」

「きゃっ!」

 不意に背中から声をかけられたアスカは心臓がドキリと高鳴った。

「な、なんでもないわ。って、脅かさないでよ」

 声の主はミサトであった。リボンの付いた大きな包み紙を持っていた。

「ごみん、ごみん〜〜それよりレイ知らない?」

「レイなら向こうよ。ところでそれ何?」

 包み紙が気になる。

「レイへのプレゼントよ」

「プレゼント〜〜?」

 シンジのみならずミサトまでレイへのプレゼントにアスカは米神に怒りマークが入った。

(ミ、ミサトからも貰う気なの?あんのガギャァ〜しばいたろうかしら)

「アスカはもうあげたの?」

「へ?何を」

「プレゼントよ」

「誰に?」

「レイによ」

「どうしてレイにプレゼントやんなきゃならないのよ」

 誕生日であることを忘れている。

「どうしてって今日はレイの誕生日でしょう」

「・・・・・・あ!忘れてた」

 数秒してから今日がレイの誕生日である事を思い出した。

(な〜〜んだだからシンジからプレゼントを貰っていたのね、理解したわ)

 これでシンジが言われ無き理由でシバかれる事はなくなった。

「そうか〜〜レイの誕生日なのね。ってプレゼント買うの忘れてたわ」

「あらら、アスカらしかなる失敗ね」

「どうしよう〜〜今から買いに行く時間がないわ」

「しょうがないわね〜これをあげなさい」

 ミサトは包み紙をアスカに渡した。

「でもこれはミサトが・・・」

「いいのいいの〜可愛い妹のピンチに美人でスレンダーでナイスバディーで知的なミサトお姉さまが助けなくて誰が助けるのよ。さあ受け取りなさい」

「自分を美的化する所はちょっと気になるけどね。ありがとう、お言葉にあまえるわ」

 ミサトの心遣いにアスカは嬉しくなった。

「ところでこれは何なの?」

「くまのプーさんのヌイグルミよ」

「へ〜〜随分大きいわね」

 高さが一メートルはある。

「高かったでしょう、後で払うわ。いくらなの?」

「いいわよ、妹からお金を受け取るなんてできないわよ」

「そうはいかないわ、いつも金欠なんでしょう。このくらい払わないと罰が当たるわ」

「そう、アスカは優しいのね」

 ミサトは思わず瞳が潤んだ。

「ふふアタシはいつでも優しいわよ。それでいくら?」

「驚かないでね」

「う、うん」

「五万円よ」

「ご、五万円?」

 驚いた。

「大きさで高くなっちゃったのよ、大奮発しっちゃったの」

「大奮発ね、後からお金払うわ」

「悪いわね」

「こっちこそ助かったわよ、サンキュー」

 アスカはウインクするとプレゼントを持ってレイの元へ走っていった。

 その後姿を見ていたミサトはポケットから何か紙を取り出した。

「五万円かあ〜ラッキー」

 取り出した紙はプレゼントのレシートであった。その金額は・・・









 5,000








「儲かっちゃった〜〜〜ど〜〜んと飲んじゃおうっと」

 スキップしながらその場を立ち去るミサトであった。


 レイちゃんの誕生日ですね。すっかり忘れていたアスカちゃんはミサトさんの助けにより何とかなりました。

 でもミサトさんが買ったプレゼントの値段が(^^;)

 アスカちゃんが値段を知ったらミサトさんは生きていられるのでしょうか(笑)

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


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