リツコおかあさんシリーズ

お家でプール

「シンジ君お願いするわね」

「はい、わかりました」

「お母さん頑張ってね〜〜」

「ええ、行ってきます」

 葛城家玄関前、この日リツコは出張、レイを連れて行きたいが忙しくなるので一緒に居る事ができない。そこでちょくちょくシンジに預かってもらっているのだ。家長のミサトではなくシンジに預けるのは、ミサトよりシンジを信用しているからである。

 リツコはレイの頭を名残惜しそうに撫でると、時間を確認し家を出た。

「お母さん・・・・」

 玄関が閉まっても立ちすくむレイ、出張は一日で明日には帰ってくるがレイにとっては長い時間恋しくなってまう。

「レイちゃんリビングに行こうね」

「うん・・・」

 シンジはレイが寂しくならないように手を握ってリビングに向かった。

 

「何して遊ぼうか?」

「ええとね・・・」

 シンジは保護者としてレイを寂しくさせないように行動に移る、それは一緒に遊ぶ事である。

「あれ〜〜〜」

 レイはベランダのビニールプールを指差した、そこにはペンペンが水に浮んで太陽の光をUV使用のサングラスで目を覆い気持ちよさそうに日光浴をしていた。

「プールかい?」

「うん、水着持ってきたの」

 大きく頷くとお泊まり用バックから水着を取り出した。

「へえ〜可愛い水着だね」

「この前お母さんと買いに行ったの、着替えてくるから覗かないでね」

 レイは小走りで着替える為にシンジの部屋に向かった。シンジはレイの一言に苦笑しながらプールに水を追加するために洗面所に向かった。

 

 

「クエクエクエクエ〜〜〜♪」

 ペンペンは水に体を任せ心地よく歌っていた、陽射しの暑さと水の冷たさがちょうど良い。

「ペンペンちょっとごめん」

「クエ?」

 シンジの声と共にペンペンの体が中に浮き床に置かれた。

「レイちゃんが入るんだ、ペンペン遊んでやってね」

「クエエ・・・」

 バケツに入れてきた水をプールに入れる。ペンペンはせっかくの時間を邪魔され気乗りがしていないようだ。

「じゃ〜〜〜ん!シンジお兄ちゃん、似合う〜?」

 着替えを終えたレイは両手を広げその場で1回転しシンジにフリルのついたピンクのワンピースタイプの水着を見せた。

「ふふ、可愛いよ」

「ありがとう!」

 レイの無邪気さにシンジは心和み微笑んだ。

 ジャボ〜〜ン!!

「わっ!飛びこんじゃダメだよ」

 水飛沫がシンジの全身にかかりびしょ濡れとまでにはいかなかったが、Tシャツは水で肌に貼り付いた。

「大丈夫!大丈夫!冷たくて気持ち良い〜〜〜」

 水の冷たさにプルプル全身が震えたが、外の気温ですぐになれた。

「クエクエクエ〜〜」

 ジャボ〜〜ン!!

 先ほどレイの飛び込みによって全身に水がかかったペンペンが、お返しの如くプールに飛び込みレイの全身を濡らす。

「こら!ペンペンまで」

 またもやシンジは水飛沫によって濡れた。

「やったな〜〜〜えいえい!」

「クエクエ〜〜!」

 レイとペンペンの水の掛け合い、しかし手が小さいのでそんなに水は飛ばす被害が小さい。シンジは一人と一匹が遊んでいる間、濡れた体を拭く為にタオルを取りに行った。

 

 

「ただいま〜〜ふう、あちいわね〜〜」

 シンジ達が遊んでいるとアスカが帰ってきた、手でうちわを作りTシャツの胸元を伸ばしパタパタと風を送るが効果は少ない。

「アスカお帰り〜」

「アスカお姉ちゃん、お帰りなさい」

「あらレイ?来てたの」

「うん、今日はお泊りなの」

「そうなの〜って気持ちよさそうね」

 アスカは水に浸かっているレイを見て体がうずきだした、今まで暑い外を歩いてきており体は汗でベタベタ、次にする行動は一つしかない。

 タッタッタッタ!

 駆け足で部屋に戻り数分後、扉が壊れるくらい強く開いた。

ジャ〜〜〜ン!

 赤と白のストライプのビキニに着替えてベランダのプールにダッシュ!

「アスカまで・・・」

 シンジはアスカの水着に多少顔を赤くしながら、世話をするのが二人に増えため息をついた。

 ジャボ〜〜ン!!

 勢い良く飛びこむと当然水飛沫が上がる、それも半端な量ではないプールの水は半分以下に減りリビングも水浸し、当然シンジもずぶ濡れになった。

「うへ〜〜お顔にかかった〜〜〜」

 モロ顔に水がかかり一瞬息ができなくなった、顔をごしごしとこすり水気を取りながらプールの水の減りに驚いた。

「ふふふ、ごめんね」

 アスカはレイの水分で重くなった髪を優しく撫でると水分を取った。

「アスカ〜〜飛びこんじゃダメだよ、水浸しじゃないか」

 髪、顎、Tシャツ、体全体から水が滴り落ちるシンジ、自分がかかってもしょうがないのだがリビングまでびしょ濡れ、拭くのは当然シンジなので注意したくもなる。

「ごめんごめん〜♪ちゃんと拭いておくのよ、水が少なくなったからくんできて〜」

「・・・・・」

 謝るが誠意が無い、毎回の事なので怒るのもバカらしい、イヤ怒ったら逆キレされて数秒後にはお花畑をスキップする事になるので言わない。怒るのを諦めると水をくむ為に洗面所に向かった。

 

 

「ふい〜〜天国天国〜♪」

 ビニールプールの縁に足を乗せて体を水に沈め体温を冷やしご満悦なアスカ。

「アスカお姉ちゃん遊んで〜〜」

「良いわよ、ほれほれ〜」

「うわっぷっ!」

 手で水鉄砲を作るとレイの顔目掛けて水を飛ばした。

「やったな〜〜えい!」

「うっぷ!」

 水鉄砲が作れないレイの攻撃は手で水をかける事、同じ目線にいたのでアスカの顔にヒットする。

「やったわね〜〜〜」

 レイの可愛い攻撃に微笑みながらシッカリとお返しをする。

「わっ、反撃だ〜〜〜」

「アスカストライクスよ」

 バシャバシャビャシャビャシャ!!

「う、うわ二人とも」 

 激しい水の掛け合いに水を運んできたシンジが巻き込まれた、全身ずぶ濡れ、パンツまで濡れた。

 バシャバシャビャシャビャシャ!!

「レイやるわね〜〜〜」

「アスカお姉ちゃんこそ」

「当然よ、アタシはアスカさまよ」

「それなら私はレイちゃんなの」

 二人の掛け合いは止まらない。

 

 

「ふう〜〜休憩しましょう」

「うん!」

 全力で掛け合いをしていたので息が切れてきた、二人は体を拭かずにリビングに戻り腰を下ろした。

「シンジ〜〜ジュースお願いね」

「シンジお兄ちゃん、おやつもお願い〜〜」

「・・・・・・」

 リビング中水浸しで呆然と立ち尽くすシンジ、ジュースやおやつの事よりもどうやって後片付けをしようと頭の中がいっぱいであった。 


 レイちゃん、シンジ君家(家長は多分ミサトさん)でプールです。リツコさんは残念ながら出張で冒頭しか出てきません。

 アスカちゃんはシンジ君をこき使い(笑)レイちゃんには優しいのです。でもシンジ君、水着が見れたから良かったかな?

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ お家でプール