リツコおかあさんシリーズ

単純アスカちゃん

「暑いわね・・・」

「うん、暑いね」

 陽射しがもっとも強くなる昼下がり、アスカとレイはおそろいの麦藁帽子をかぶり手を繋いで歩いていた。

「どうしてこんなに暑いのかしら?」

「夏だからでしょ」

 暑さで目の焦点が合ってないアスカ、汗が滝のように流れている。

「んな事ことより、どうしてアタシが暑い中お使いに行かなくちゃならないのよ!」

 アスカの右手にはスーパーの袋が握られていた。シンジに頼まれたのである。

「暇だったんでしょ」

 レイはアイスを舐めながらアスカの家での行動を思い出した。毎日クーラーにあたり寝転がっている姿が頭に浮かぶ。

「暇じゃないわよ、折角勉強しようと思っていたのに、それをシンジが邪魔したのよ」

「思っているだけでしょ」

「うっ」

 レイの冷静な突っ込みに言葉が出ないアスカ、本当に思っていただけである。

「だからシンジお兄ちゃんはなアスカお姉ちゃんにお使いを頼んだんだよ」

「な、なんで暇だけ大きな声で言うのよ。アタシが毎日暇してるように聞こえるじゃないの」

「本当に暇してるんでしょ、『毎日毎日暇で死んじゃ〜〜〜う』ってシンジお兄ちゃんを困らせてたのに」

 ジト目なレイ。アスカは夏休みに入ってぐうたらな生活を送っており、駄々をこねてはシンジを困らせていたのである。

「ひ、暇じゃなかったわよ。アンタの遊び相手になってあげたでしょうが」

「私がアスカお姉ちゃんの遊び相手になったんだよ」

「く〜〜〜〜、暑いのにこの美少女アスカ様にお使いに行かせるなんて、シンジは死刑よ」

 これ以上レイと喋っていると自分の暇さが暴露されてしまうので矛先をシンジにかえた。

「シンジお兄ちゃんは悪くないよ」

「いいえ悪いわよ、見なさい!この額に光り輝きながら流れる汗、美少女のアタシにとっては絵になるけど、もんの凄く暑いのよ!」

「私だって暑いよ、ほら汗が凄いでしょ」

 レイの額からも汗が流れており太陽の光で反射していた。

「アンタはアイス食べてるから良いでしょうが、アタシは袋を持ってんのよ」

「お使い頼まれたからしょうがないでしょ、アイス食べたいなら少しあげるよ。はいあ〜〜〜ん」

「ん、あ〜〜〜ん・・・・・ん〜〜〜冷たいわね」

 アスカはレイからアイスを一口貰った。冷たいアイスが口の中に広がりパラダイスになる。

「よし!元気が出たわ、シンジ〜〜〜待ってなさいよ」

「わああ、変な元気が出ちゃった」

 アスカの目標は何故かシンジ。レイはシンジがびんたされている姿を想像し背中がゾッとした。





「「ただいま」」

「お帰り、暑かったね」

 二人の声と同時にエプロンを着けたシンジがやって来た。

「ふふふふ、シ〜〜ンジちゃあんとお使いしてきたわよ」

(あわわ、シンジお兄ちゃん殺されちゃう〜〜〜)

 アスカの隣にいるレイには殺気がヒシヒシと伝わってきた。シンジの死は数秒後であろう。

「ありがと、おやつを用意しているよ」

「えっ本当?」

 おやつと聞いた途端アスカの殺気は消え瞳が輝き始めた。

「うん、冷たいプリンをだよ」

「やった〜〜プリンプリン♪」

 シンジに買い物袋を渡すとスキップして台所に向かうアスカ。

「ん?レイちゃんどうしたの」

 スキップして行ったアスカの背中を呆然と見つめるレイ、先ほどの怒りはどこへやら。

「ううん何でも無いよ。それよりシンジお兄ちゃん命拾いしたね」

「命拾い?何が?」

 レイの言葉の意味がわからないシンジ、当然だろう家事をしていて命を落とす事は無いからである。

「アスカお姉ちゃんが単純なの」

「アスカが?」

「そっ、単純。私もプリン食べよっと」

 レイは帽子を脱ぐと台所に向かい、シンジはその場で腕を組み首を傾げるのであった。

「僕が命拾いしたのはアスカが単純だから?何なんだろう」


 暑さで単純になっているアスカちゃん(いつも単純ですね)それに対するレイちゃんは冷静ですね(ちょっと冷静すぎるかな)

 お使いを頼まれたアスカちゃん(レイちゃんは付き添い)でしたが、あまりの暑さに何故かシンジ君をしばく事に(シンジ君はいい迷惑ですね^^;)

 帰宅したアスカちゃん達に待っていたのはおやつのプリン。アスカちゃんプリンで怒りを忘れるなんて単純です。

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ 単純アスカちゃん