リツコおかあさんシリーズ
優雅な目覚め
ちゅんちゅんちゅんちゅん・・・・・
鳥が囀り雲一つ無い空から陽射しがふりそそぐ超高級マンションの最上階の一室、一人の女性が目を覚ました。
「ん、ん〜〜〜〜ん・・・・今何時かしら?目覚ましがならなかったわね」
上半身だけベッドから起こしゆっくりと背伸びをして脳を目覚めさせる。
「時間は・・・・・!!」
時計を見た瞬間目を見開いた。
「た、大変!」
慌てて時計を置くとベッドから跳ね起き部屋を飛び出し、別の部屋に向かった。
「レイ、レイ!起きなさい」
まだ夢の世界だろう、寝顔が微笑んでいるレイと呼ばれた少女を揺さぶると強引に起こす。
「ん〜〜むにゃむにゃ・・・・・な〜におかあさん、おやつなの?」
半分は夢の世界のレイ、まぶたが半分閉じている。
「何を言っているの、朝よ!おかあさん寝坊しちゃったの」
「ふ〜〜ん、珍しいねおかあさんが寝坊するなんて・・・・すやすや」
レイは台詞を言い終わるとまた夢の世界へ旅立とうとした。
「こら起きなさい、不覚だわこの天才科学者赤木リツコが寝坊をするなんて」
自分の事を天才と言うこの女性はリツコ、ネルフ一のMAD・・・・・・もとい天才科学者である。ネルフのスーパーコンピュータMAGIのデータによると齢二十歳である。
「すやすやすやすや」
「レイ!レイ!ご飯を作るから、急いで着替えておくのよ」
「うん・・・」
レイは寝ぼけ眼で返事をしたが、理解したのだろうか?リツコは急いで台所に向かった。
「ええと何かあったかしら?」
冷蔵庫を物色し朝食になるような材料を取り出す。
「目玉焼きとトーストでいいわ」
手軽で簡単な目玉焼きとトーストに決定、寝癖でピンと立った髪の毛にパジャマのままエプロンをするとパンをトースターに入れフライパンを熱し油を引いた。
「どうして目覚まし鳴らなかったのかしら?」
首を傾げるリツコ。
じゅーじゅ
フライパンが熱せられ油が焦げる音がし始めた、卵を落すとさらに音が激しくなる。
たったったった
「おかあさん、大変!」
まだ着替えていないパジャマ姿のレイが走ってやって来た。
「どうしたの?」
「靴下さんの一つが無いの」
右手に握られた小さい赤の片方だけの靴下、お気に入りである。
「タンスに入っていなかったの?」
「無いの」
「よく探したの?」
「うん」
レイは小さく頷いた。
「探してくるから先にご飯食べておきなさい」
「うん」
リツコは目玉焼き、牛乳、トーストをテーブルに並べると走ってレイの部屋に向かった。
「・・・・レイったら」
リツコは部屋に入ると凄さに言葉を失った、タンスの引出しが全て開けられており中身が部屋中に散らかっていた。
「靴下は・・・・」
靴下を探しつつ散らかった衣類をたたんで片付けて行く。衣類をたたむ手際の良さ流石に主婦である。
「あるじゃない」
見つかった、Tシャツの下に隠れていた。探している時見落としたのだろう。タンスを綺麗にすると靴下を持って急いで台所に戻った。
「レイ、あったわよ」
「ありがとう〜♪」
レイは靴下を受け取るとニッコリ微笑んだ。
「部屋を散らかすまで探すなら別の靴下にしなさい」
「今日はこれを履きたい気分だったの」
「そうなの」
リツコは我が娘ながらため息をついた。そして朝食を取る為に席につく。
「レイ、用意をしておくのよ」
「うん、でもおかあさんどうしてそんなに急ぐの?」
「もう四十分過ぎているのよ、遅刻しちゃうのよ」
時刻は七時四十三分、パンを口に入れ牛乳で喉に流し込む。
「遅刻って今日は10時までに行けば良かったんじゃないの?」
「あっ・・・・・・」
リツコの動きが止まり額から汗が流れる。
「昨日言っていたじゃない、久しぶりに目覚ましをかけないで寝れるって」
「ふう〜〜私とした事が・・・・ふふ無様ね」
天井を見つめ黄昏るリツコ、目ははるか彼方を見ている。
「おかあさん・・・・また病気が」
その姿に呆れるレイであった。
記念小説や頂いたCGで好評?だった『リツコおかあさん』のお話です。MADじゃなくておかあさんなリツコさんが良いという方のSSです。
今までのリツコおかあさんSSとはちょっと設定が違います(多分^^;)
リツコさんは齢二十歳<MAGIのデータより抜粋
レイちゃんは五歳<明るい性格なのでリナレイ寄りです。
その他のキャラは原作の設定通りです(多分^^;)
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ 優雅な目覚め