リツコおかあさんシリーズ

ゆっくり

「アッスカお姉ちゃん」

「わお〜ビックリしたわ」

 アスカがネルフの通路を歩いているとレイが背中に抱きついてきた。

「ネルフに用があるの?」

 ゴールデンウィーク中はネルフの職員はほぼ連休である、アスカも当然連休でネルフに来る必要はない。

「別に無いけど暇だから来たのよ」

「暇なの?若い乙女がゴールデンウィークなのに暇なんて泣けてきちゃうね」

「むうう〜〜美少女でも暇なときは暇なの」

「きゃっ」

 アスカはレイを抱きかかえるとお尻を軽くつねった。

「レイこそ、リツコとどっかへ行かないの?」

「おかあさん忙しいからお休みがないの」

「そうなの・・・」

 レイはアスカにしがみ付くと頬を膨らませて悲しそうな顔をした。

「よし!今日はアタシが遊んであげるわよ」

「本当?ありがとうアスカお姉ちゃん」

 チュ!

 レイはアスカに頬擦りしてキスをした。

「それじゃあ一応リツコに言ってから遊びましょうか」

「うん」

 二人は手を繋いでリツコの研究室へ向かった。







「リツコ〜」

「あらアスカ、どうしたの?」

 研究室に着いた二人、リツコはちょうど休憩中でコーヒーを飲んでいた。

「休みなのに大変ねえ」

「ぼちぼちやっているわよ」

「おかあさん、アスカお姉ちゃんが遊んでくれるの」

「あら、そうなの。アスカ悪いわね」

「レイが暇そうにしていたからね、アタシも暇だし」

「暇なの?シンジ君はどうしたの、一緒じゃないの?」

 いつもアスカと一緒にいるシンジの姿が見えない、リツコは不思議に思った。

「シンジ・・・あんのバカはニバカと遊びに行ったのよ、アタシをほったらかしにして」

「ア、アスカお姉ちゃんコワイ」

 アスカの背中から炎が燃え上がり拳が震えている。

「シンジ君かわいそうに」

 リツコはシンジが帰ってきてからの対応を想像して哀れんだ。

「まあバカシンジは半殺しにするから良いとして、遊びに行くからお小遣いちょ〜〜だい」

 二人で遊びに行くには軍資金が必要であるが、アスカの財布にはその余裕がなかった。

「どこ行っても多くて疲れるだけよ、丁度いいわ今からお茶にしましょう」

「え〜?お茶ぁ〜〜」

 アスカは軍資金がたくさん貰えると想像していたのでガッカリした。

「広場で飲むから美味しいわよ、オヤツもあるわよ」

「えっオヤツ?なになに?」

 オヤツと聞いて瞳が輝く。

「うふふ、それは後のお楽しみ、行きましょう」

「「うんっ」」

 リツコはポットとお茶一式、オヤツを持つと二人と一緒に広場へ向かった。









「うわ〜〜芝生がきれい〜〜」

 ネルフの広場は芝生が整備されていて太陽の光で青々と輝いていた。

「アスカ、シートを敷いてちょうだい」

「わかったわ」

 アスカはシートの両端を持ち空中で広げて静かに芝生に置いた。

「さあさあオヤツオヤツ〜〜」

「アスカお姉ちゃん、メインはお茶だよ」

「アタシのメインはオヤツなの、レイもオヤツがメインでしょ」

「私は大人だからお茶がメインだもん」

「ほっほ〜〜う、言ってくれますね。そんじゃリツコ〜レイにはしっぶ〜〜〜いお茶を入れてあげて」

「ええわかったわ、レイは渋いお茶が良いのね」

「あわあわ、うそうそ〜私もオヤツがメインなの、おかあさんやめて〜」

 リツコが急須に茶葉を多く入れようとしたので両手で急須の蓋を塞いだ。

「うふふ、お子ちゃまは正直が良いのよ」

「アスカお姉ちゃんもお子ちゃまなの?」

「アタシは大人よ、正直でも大人なのよ」

 アスカは胸を張って微笑んだ。

「さあお茶が入ったわよ」

「わお〜〜オヤツは〜?」

「はいこれよ」

 リツコはバックからオヤツを取り出し広げた。

「おおっ柏餅じゃない、いっただきま〜〜〜す」

 アスカはお茶を飲むより先に柏餅にかぶりついた。

「ん〜〜〜〜〜おいしい〜〜〜柏の葉の香りと餡子の甘さが絶妙にマッチしているわね」

「私も食べる〜〜」

 レイもお茶より先に柏餅を食べ始めた。

「んん〜〜〜ん、美味しい〜〜」

 満面の笑みである。

「うふふ、お茶より柏餅ね」

 リツコはお茶を飲むとほお張って食べている二人を見て微笑んだ。

「だって美味しいんだもん、もう一個貰うわよ」

「私も〜」

「二人とも慌てないでいいわよ、たくさんあるんだからね」

「う、うぐぐ・・・お、お茶を・・・」

 案の定アスカは柏餅を喉に詰まらせお茶を一気に飲み干し胸を叩いた。

「ふ・・・ふう〜〜〜死ぬかと思ったわ、柏餅で死んだらシャレになんないわ」

「アスカお姉ちゃん、ちゃんと上品に食べなきゃだめだよ。シンジお兄ちゃんに嫌われちゃうよ」

「き、嫌われるわけないでしょ、どうしてアタシが嫌われなきゃなんないのよ」

 強気な発言であるが、三つ目の柏餅はゆっくり柏の葉をむいて食べ始めた。

(うふふ、何だかんだ言ってシンジ君の事が気になるのね)

 リツコはアスカの行動に口を手で隠し声を殺して笑うのであった。

「どうかしら二人とも遊びに行くのも良いけど、こうやって静かにお茶を飲むのもいいでしょう」

「ええ最高ね」

「うん!サイコ〜〜」

 二人はすでに柏餅五個目に突入である。








「ふい〜〜お腹いっぱい、もう食べられないわ」

 アスカは足を伸ばしお腹をさすりお茶を飲んだ。

「私もお腹いっぱ〜い、アスカお姉ちゃんは何個食べたの?」

「アタシは・・・何個かしら?」

 憶えていないほど食べたようである。

「ふあああ〜お腹いっぱいになったら眠たくなってきちゃった」

 大あくびをして横になると瞼が重たくなってきた。

「アスカ」

「なに?」

「食べた後にすぐ横になると太るわよ」

 ガバッ!

 リツコの発言に速攻で眼が覚めた。

「おっと〜〜アタシとした事がうっかりしてたわ、食後の運動を忘れるなんてイケナイイケナイ。さあレイ行くわよ」

「え、どこへ行くの?」

「食後の運動、走るわよ」

「ええ?私は良いよ〜〜」

「ダメよ、太っちゃうわよ」

「私は太らないの〜〜って手引っ張らないで〜〜おかあさ〜〜ん」

 レイの叫びむなしく、靴を履かされ無理やり走らされるのであった。


 連休なのに暇なアスカちゃん、用がないのにネルフに来てしまいました(^^;)シンジ君はアスカちゃんをほったらかしにして遊びへ、帰ってきたら半殺しだそうです(^^;)

 女性陣だけでのお茶会は優雅・・・ではないですね、アスカちゃんとレイちゃんは柏餅に夢中、アスカちゃんは一体何個たべたのでしょうか(笑)

「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


リツコおかあさんシリーズ ゆっくり