朝 〜アスカ〜
太陽が東から昇り、鳥たちがさえずり始め、街が目覚める。そして少女の一日が始まる。
ピ♪ピ♪ピ♪ピ♪……カチャ
「ん……ん、んー」
少女は目覚まし時計を止め、ベットからおり眠気を飛ばすように両手を上げ背伸びをする。そして鏡で自分を顔を確かめ、気合をいれる。
「今日も綺麗ね、アスカ!」
少女の名は、「惣流・アスカ・ラングレー」中学生ながらも卓越した美貌をもち、学校一の美人と評判である。これは彼女がクウォーターであることから、他の学生とくらべものにならなかった。
朝の日課であるシャワーを浴びにバスルームに向かう。途中の台所で朝食を作っている少年の後ろ姿が見える。
「おはよう、シンジ」
「おはよう、アスカ」
アスカが声をかけると少年は振り向き挨拶をする。彼の名は「碇シンジ」同級生兼同居人兼同僚兼主夫?兼下僕?である。挨拶がおわるとシャワーを浴びるためバスルームへいく。
ピシャ 脱衣所のドアをしめ、服を脱いでいく。
ガラ バスルームに入り、蛇口をひねり温度を確かめ、お湯を出し頭から浴びていき体の汗を流す。
ジャージャージャー
ジャージャージャー
ジャージャージャー
「あー、気持ちいー」
アスカは満足である。十分汗を流した後、愛用のシャンプーに手を伸ばしプッシュする。
スカ、スカ、スカ。
「?あれ」
もう一度押してみる。 スカ、スカ、スカ。やっぱり入っていない。
「買っておいてって言っていたのに、バカシンジ」
アスカは愚痴をこぼしたが、ちゃんと言っていたので買ってあると思い周囲を見まわした。が無い。
ガラ、脱衣所に行き、また見回す。すると洗面台のところに新しい袋が置いてある。
「ちゃんと買ってあるじゃない、さすがシンジね」
袋に手を伸ばし、中身を確認したとき眼を疑った。
「なによ!これ、違うじゃないの」
袋の中身は確かにシャンプーだったが、アスカが愛用しているシャンプーではなかった。
「ほんっとに一つぬけているわね、あのバカシンジ」
良い朝をむかえ、シャワーを浴び機嫌がよかったがシャンプーが違っていてアスカは、気分が壊れた。しかしそれを使えばいいのだがそれでは気が収まらない。濡れた頭をタオルで素早く拭いて巻きつけ、同様にバスタオルを身体に巻きつける。
「あのバカ!」
アスカの怒りは絶えない。
ピシャッ 脱衣所のドアを乱暴に扱い、台所へ急ぎ足で向かう。
ドタ ドタ ドタ !!!
足音にも怒りがこもっている。
「シンジッ!!!」
シンジが弁当の用意をし、ミサトが食べているとき激しい足音、声とともにアスカが濡れた頭にタオルを身体にバスタオルを巻いて台所に乗り込んできた。
ミサトとは「葛城ミサト」この家の住居主でnerv本部戦術作戦部作戦局第一課所属しアスカたちの上司にあたる。
「!…」
「どっどうしたんだよ?アスカ」
シンジはアスカの身体に驚いている。がアスカはそんなことはかんけいなかった。いまは怒りの方が上回っている。怒涛の攻撃が始まる。
「あんたねえ、シャンプー無いから買っておくように言ったのに、買ってないじゃない!!」
「え?ちゃんと買ってきたよ。洗面台に置いていただろ」
シンジに言われますます、熱が上がる。
「アンタ、バカァ?あんな安物のシャンプーじゃ私の髪は綺麗にならないわよ」
「それなら、ちゃんと言えばいいじゃないか!」
「フン、言わなくてもわかるでしょう。ホントッ気が利かないわ」
「シャンプーなんてどれもおなじだろ」
シンジの反撃にアスカはいらだっている。ミサトはこれはと面白そうに見ている。
「同じじゃないのよ!!いい?明日までには買っておきなさい」
買ってきたのにまた買いに行かされる、シンジは流石にきれた。
「アスカが自分で買いに行けばいいだろ。自分のこと何だから」
アスカはどんどん熱が上がる。
「なんですって?シンジの仕事でしょ、私がやる必要はないわ」
「なんでだよ?アスカが買いに行けよ」
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
二人とも熱くなっている。互いにただシャンプーを買うことだけなのに、もう十分は言い合っている。ミサトはただ酒の肴にと傍観を決め込んでいた。
言い争いは続く・・・・・その時。
ハラリ…、…、ポト…。
ミサトはビールを飲み干しながら
「あらまー、だいたん」
アスカを巻いていたバスタオルが床に落ちのた。 一瞬、時が止まる。
「H、変態、バカシンジッーー!!!」
バッチーーーン!!!
アスカの平手打ちがシンジを頬を捕らえる。シンジが宙を飛び床に倒れ気絶する。
バスタオルを拾い上げ、身体に巻きながら気絶し頬に手形のついたシンジを睨み付けるが、別の世界に飛びだっており意味が無い。アスカはバスルームに戻りもう一度シャワーを浴びなおした。
ジャージャージャー
ジャージャージャー
ジャージャージャー
「信じられない、あの変態」
アスカはまだ気が収まらない。シャワーを浴び終え着替える。そのころシンジは…
シンジは気絶している。
「………」 (……)
シンジは気絶している。
「………」 (……)
シンジは気絶している。
「………」 (……)
シンジは気絶している。
「………」 (……)
アスカは朝食をとりにやってきた。床に倒れ気絶しているシンジを蹴り飛ばす。
ボコッ
「フン」
ミサトは今朝2つ目のビールを飲みながら、二人を見ている。
「アスカ、シンジ君を起こしてあげれば、このままじゃ遅刻するわよ」
シンジは気絶している。
「………」 (……)
「いやよ!こんな変態、遅刻すれば!!」
「事故だったんでしょ」
「事故でも何でも、私の身体を見たんだから犯罪よ」
アスカは朝食をとりながらも、怒りが収まらない。
「またまたー、本当はみせたいんでしょ?シンちゃんに。恥ずかしがっちゃて」
「なっなっなんですってー、どうして私がこんなバカシンジに見せなくちゃいけないのよ!!」
アスカは顔をリンゴのように真っ赤にして箸を叩きつけた。ミサトはその光景を楽しんだ。
「何も言わなくてもわかるわよ。好きな人にしか見せたくないのに、私がいたからねえ」
今のことばで、アスカは顔を熟したリンゴのように真っ赤にして手を台に叩きつける。ミサトはその光景を楽しんだ。
「どっどっどうして私がバカシンジのことを好きなのよ!!」
アスカは声が大きくなってミサトを睨み付けるが、ミサトは動じないビールを飲みつづける。
「私はあなたたちの保護者なのよ。そのくらい判っているわよ。いいのよ恋愛は自由なんだからどんどんやっちゃいなさい」
にこやかな顔をしてアスカに言う。
「なっなにがやっちゃいなさいよ!!いやらしい!!万年発情期のミサトとは違うのよ!!」
アスカはミサトの言葉に赤くなりながら、指をつきさす。しかしミサトは笑いながら反撃する。
「あれー?やっちゃいなさいって、私は恋愛をたくさんしなさいって事なのに、万年発情期ってアスカは何を考えていたの?あんなことやこんなこと?」
ミサトは両手を組み口元にあてて薄笑いを浮かべアスカをみつめる。
「なによ、アンタがいやらしく言うからいけないのよ」
「えー?普通にいっているだけよ。アスカこそ万年発情期なんじゃないの?」
ミサトは笑いをこらえながら反撃する。酒の肴をからかうのが楽しくて仕方がない。
「くっ…フン」
アスカはこれ以上言っても言い返されると感じ、急ぎ足で自分の部屋に戻った。バチンふすまが乱暴に閉められ、プレートが揺れている。
ミサトはアスカの背中を見ながら2本目のビールを飲み干した。床には気絶したシンジか転がっておりペンペンが頬をたたき起こそうとしている。
「クワ クワ クワ」
部屋に戻ったアスカはいらっだったまま、学校に行く用意をしている。
「ミサトは…何考えてんだか、わからないわ」
愚痴が続く、朝から気分を害した。
バタン!アスカの部屋のふすまが乱暴に開けられ、閉められた。学校に行く準備を整えズシズシと玄関に向かった。
「どうして私がバカシンジのことを好きなのよ。ミサトも目がおかしいんじゃないの」
アスカは怒りで独り言を言いながら靴をはいた。
「あらー私は両目とも2.0よ」
その声に驚きアスカは後ろを見た。ミサトが笑いながら立っていた。
「フン、2.0なんて嘘なんじゃないの?人を見る目がないわ!」
「そうかしら?シンちゃんと一緒に行かないのまだ気絶しているけど」
「いいわよ!あんなスケベ、遅刻すればいいじゃない」
そう言うとアスカは走ってマンションを出ていった。ここを一時も早く抜け出したくて。
「んー、まだまだアスカも若いわね」
エレベータに着き下行きのボタンを押す。がなかなか来ない。一層怒りが込み上げる。
「あーもう、ほんっとにおそいわね!」
ドアを蹴り飛ばし、ボタンを連打する。エレベータにしては迷惑である。
チーン エレベータが止まりドアが開く。素早く乗り込み一階を押し、閉を押す。
イラ イラ イラ エレベータの速度が遅く感じる。
「何で、遅いのよ!」
アスカはエレベータに文句を言うが、別に速度は変わっていない。気持ちが遅く感じさせているのだ。またそれが一層腹に立つ。
チーン エレベータが一階に止まりドアが開く。アスカはマンションを出て学校に向かう。
「バカシンジなんか、口をきいてやるもんか」
つぶやくと、遅刻が気になり走っていくアスカであった。
シンジはまだ、気絶している。…
はっきり言ってゲーム版に少し足しただけでオチもありません。こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
これは 朝〜シンジ〜 朝〜ミサト〜と連動しています。
NEON GENESIS: EVANGELION 朝 〜アスカ〜