子供の日

 今日は5月5日、晴れ。いつも仲良しシンジくんとアスカちゃんは仲良く手をつないで歩いていました。

 ふと空を見上げるアスカちゃん、何かを発見したようです。

「シンジ!あれなあに?」

 空に向かって指差すアスカちゃん、その先にはお空を飛んでいるお魚がいました。

「あれはね、鯉のぼりって、いうんだよ」

「こいのぼり?」

 アスカちゃんは首を傾げ不思議そうに鯉を見つめました。

「どうして、あんなことするの?」

「それはね、アスカ。今日5月5日は子供の日といって、男の子が丈夫にたくましく成長するように祝う日なんだよ。それで、男の子がいるお家はああやって鯉のぼりをあげるんだ」

「ふーん、そうなんだ」

 シンジくんの説明に納得したアスカちゃん、また一つおりこうになりました。

「それじゃあ、うちもあげないと」

「どうして?」

「アンタバカァ?シンジ、アンタがいるじゃない」

「えっ僕はいいよ」

「アンタも男の子でしょ!当然よ」

「恥ずかしいよ、もう中学生なんだよ」

 シンジくんは大きくなって、あげるのは恥ずかしいと思っていました。

「アンタはいつまでたっても子供なのよ」

「そんな・・・」

 アスカちゃんに子供呼ばわりされたシンジくん、いじけました。

「なに、いじけてんのよ!さあ帰るわよ」

 強引に引っ張っていくアスカちゃん、シンジくんはなすがまま。

「ちょっと待ってよ」

「なによ!」

「帰ってどうするの?」

「どうするのって、鯉のぼりをあげるのよ」

「でっでも」

「グダグダいわない!」

「家には鯉のぼり無いよ」

「・・・・・」

 一瞬止まるアスカちゃん。

「なっなんで無いのよ」

「だって、ミサトさんの家に僕が引っ越してきたんだよ。あるわけないよ」

 ガーン!

 ショックを受けたアスカちゃん、せっかくシンジくんを祝ってあげようとしたのに、残念です。

「買いにいくわよ」

「えー!無理だよ」

「どうしてよ」

「だって、高いんだよ」

「いくらぐらいするの?」

「えーと、このくらい」

「そっそんなにするの?」

「うん」

 値段にびっくり、さすがのアスカちゃんもそんなにお金をもっていませんでした。

「・・・・」

 アスカちゃんは考えました。

(どうしようかしら、鯉のぼりがそんなに高いなんて。でもシンジを祝いたいし・・・)

「・・・・」

「アスカ?」

「・・・・」

「・・・・」

 シンジくんの問いかけも気づかず、一生懸命考えていました。

「アスカ!」

「ちょっと黙っていて!」

「ゴッゴメン」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

 大学を卒業したアスカちゃんもさすがにこの問題を解決するには苦戦しました。

そうだ!

「うわっびっくりした」

 何かをひらめいたアスカちゃん、横にいたシンジくんはおもわずビックリ。

「シンジ、私はこれから帰るけどアンタは一人でどこかに行ってらっしゃい」

「えー!どうして」

 突然の発言にシンジくんは戸惑った。

「理由は聞かない!夕方には帰ってきてね。その前に帰ってきたらコロスからね」

「!」

 コロスの部分が妙に力が入っていてシンジくんは怯えました。

「わっわかったよ」

「ニコッよろしい。それじゃ時間つぶしてきてね」

 アスカちゃんは満面の笑みで家に走って帰りました。一方取り残されたシンジくんは呆然として後ろ姿を見送っていました。

「・・・アスカ、これからどうしよう・・・・」

 デートが台無しになり、何もする事が無いのでとりあえず、そこらへんの公園のベンチで時間をつぶす事にしました。

「なにするんだろう?」

・・・

・・・

・・・

 一方アスカちゃんは走っていました。

ドタドタドタドタ!!!

「ただいま」

 家につき、廊下を走り、急いで自分の部屋に向かいます。途中ミサトさんが休みだからと朝からビールを飲んで酔いつぶれて寝ていました。

「まったく、ミサトは」

 ミサトさんを横目に見ながら、部屋に戻ったアスカちゃんは急いで用意をしました。

「これで、いいわね!さあ頑張るわよ」

 張り切るアスカちゃん。

「こうして、こうして」

「ここはこう」

「あれ?こうでしょ」

「あーもう!」

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

「ここがこうで」

「それがここで」

「よし!完成」

 完成したものを見て満足なアスカちゃん。部屋はおもいっきり散らかっていた。

「あとはシンジが帰ってくるだけね」

 時計を見るともう5時を過ぎていた。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

 そのころシンジくんは、まだ公園にいた。

「どうしよう、そろそろ帰ろうかな。よいしょっと」

 ベンチから腰をあげ、家に向かって歩き出す。

「そうだ、忘れてた」

 何かを思い出したのか、逆の方向に向かって走り出す。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

「ただいま」

 シンジくん帰宅、アスカちゃんが出迎える。

「シンジおかえり!」

 アスカちゃんはシンジくんの声が聞こえると走って玄関に行った。

「ねえシンジ!こっちに来て」

「どうしたの?」

「いいから、いいから」

 手をとりベランダに向かう。そこには・・・

「さあ、シンジ!子供の日よ」

「うわーすごい!」

 そこにはアスカちゃん手作りの画用紙鯉のぼりが風に舞っていました。

「これアスカが?」

「そうよ、感謝しなさい」

「うん、うれしいよ!ありがとうアスカ」

 恥ずかしいと言っていたシンジくんはアスカちゃんの手作り鯉のぼりに大変嬉しく、ずっと眺めていました。

「シンジ、おなかがすいたわ」

「そうだね、何がいい」

「ハンバーグ!」

「うん、わかった」

 アスカちゃんはシンジくんの喜びに上機嫌。シンジくんはアスカちゃんの鯉のぼりに大変満足しました。

「アスカ、できたよ」

「うん」

「「いただきます!!」」

 2人は楽しく夕食の時間を過ごしました。なぜ2人かというと、ミサトさんはまだ爆睡していました。

「「ごちそうさま!!」」

 夕食が終わりシンジくんは袋につつんだ物をテーブルに置きました。

「これなあに?」

「これはね」

 シンジくんは袋を開け、中身を出しました。

「かしわ餅だよ」

「?」

「これは子供の日に食べるんだよ、元気になるように」

 シンジくんはお茶をいれて、アスカちゃんにかしわ餅をだしました。

「えっいいの、男の子の日なのよ?」

「いいんだよ、アスカにも元気になってもらいたいし」

 シンジくんは照れながら、アスカちゃんに告白?

「もう、ありがと!シンジ」

 アスカちゃんも顔は真っ赤っか。

「パク、おいしい!」

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

 こうしてシンジくんとアスカちゃんの楽しい子供の日は過ぎて行きました。

 ちなみにミサトさんは次の日まで起きませんでした。

おちまい


 とりあえず2頭身、子供の日バージョンです。

 2人共幼児化しています。こんなんですいません。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 子供の日