休日

「・・・」

「・・・」

 朝早く、シンジとアスカは物音を立てない様に家を出る。エレベータのボタンを押し一階に下りる。

「はあー、ミサトさんに気づかれなくてよかったね」

「そうね、今日も付き合わされたら体が持たないわ」

 一昨日にシンジがミサトのドライブ?に付き合わされ、昨日はアスカが犠牲になった。その教訓で二人は朝早くから外に外出、逃げたのだ。

「さてと、どこに行きましょうか?」

「ん、どこでも良いけど」

「アンタねえ、どこでもいいって、ゴールデンウィークなんだから楽しい所に行くのが相場よ」

「どこに行くの?」

「どこに行こうか?」

 アスカはシンジの答えに呆れる。

「そんなこと、アンタが考えなさい」

「そんな事いっても・・・」

「はあー優柔不断ね、いいわじゃあ遊園地に行きましょう!」

 シンジの答えが出ないのでアスカが決める。しかしアスカは遊園地に行きたかった。

「遊園地?」

「そうよ、アンタのおごりでね!」

「えー!」

「なに驚いてるのよ!昨日私をおいていった罰よ」

 アスカは昨日のせいにして、自分はお金を出さない事にしている。

「でも・・・」

「でもじゃ、ない!さあ行くわよ」

 シンジの手を握り強引に駅に向かう。

「まっ待ってよ!」

「なによ!」

「そんなにお金を持ってないんだ」

「へ?」

「ほら」

「・・・・」

 シンジは財布の中身を見せた。少ない・・・それは一昨日、逃げ出した時使ったからだ。アスカもこれには呆然とした。

「アンタねえ」

「ごめん」

「どうするのよ?遊園地に行けないじゃない」

 せっかくのデートなのに遊びに行けない。アスカは当然怒る。

「アスカ、悪いけどお金貸してよ」

「え?・・・」

「いやよ、どうして貸さなくちゃいけないのよ!」

「でも、そうしないと行けないよ。今度返すから」

「いやよ!」

「行けないじゃないか!」

「他の場所、考えなさい」

 アスカは貸したくなかった。イヤ貸せなかった、先日洋服を買いこみすぎたのだ。

「わかったよ、考えればいいんだろ!」

「そうよ」

 シンジは怒った。アスカは心の中で謝りながら、考える。

「そうだ!」

 アスカのひらめき。

「丘の公園に行きましょう」

「公園?」

 アスカにしては珍しい場所を選んだ。シンジもその場所に驚いた。

「雑誌に載っていたのよ!お花が咲いていて、見晴らしが良いって」

「そうだね」

 シンジは同意する。お金がかからなくていい。

「お昼を買って行きましょう」

「それじゃあ、行こうか」

 シンジとアスカは駅とは反対方向に歩き出す。途中で食べ物、飲み物を買い、公園をめざす。

「シンジ!一昨日のミサトのドライブどうだった?」

「ミサトさん、ドライブって行ったのに峠を走るんだよ。アスカはどうだったの」

「海岸線を走ったわ、まったくミサトはドライブを勘違いしてるわね」

「そうだね、でも今日はどうするんだろう?」

「さあね、昨日誘われたから今日も行くつもりだったのよ」

「よかった!早く家をでて」

「そうね、せっかくの休みが台無しよ」

 二人はドライブでの事を話しながら、30分は歩いた。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

 そして、公園に到着した。

「やっとついたわね!凄いシンジ見て、あんなに花が咲いているわよ」

 アスカは見事に咲きそろっている花々を見て感激していた。

「そうだね!それにとても眺めがいいよ」

 シンジも眺めのよさに、感激した。

「シンジあっちに行ってみましょう!」

 アスカはシンジの手をとり、走り出す。

「うわーすごーい!」

 池があり、貸しボートがおいてある。人はまばら混雑していない。

「シンジ、乗りましょう」

「うっうん」

 シンジは手を握られて、緊張していたがアスカは気がついていなかった。

「さっ乗りましょう」

 お金を払い、乗り込む。当然シンジが漕ぐ。

「シンジ!頑張りなさいよ」

「わかったよ」

 シンジは一生懸命オールを漕いだ。

「ほら、左がお留守よ!曲がっているわ」

「うっうん」

 しかし、運動不足。息があがりオールが止る。

「ゼイ、ゼイ、ゼイ」

「もう、だらしないわね」

「しょうがないよ、馴れていないから」

「まあ、シンジにしては頑張ったわね」

「うん、ありがとう」

 暫く、ボートで休憩、五月の風が気持ちよい。

「気持ちいいー!」

 アスカは手を水につける。まだ少し冷たいが、満足している。

「たまには、こんな静かな所もいいね」

「そうね、遊園地も捨てがたいけどお金をかけずに、楽しめるわ」

・・・

・・・

・・・

・・・

「もうすぐ、時間だよ。戻ろうか」

「そうね」

 ボートに時間がせまり、シンジはボート着場に漕ぎ出した。

「シンジ、お疲れ!」

 ボートからおり時計を見る。

「ちょっと早いけど、お昼にしましょう」

「そうだね、お腹すいちゃったよ」

 ベンチを見つけ来る途中に買った食べ物、飲み物を広げる。

「「いただきまーす!」」

「おいしい!」

「そとで食べるから、一段とおいしいね」

 二人は満足、綺麗な花々、見晴らしがいい丘にこれたことを。

「「ごちそうさま」」

「おいしかったわね」

「そうだね」

「シンジ!あっちで休憩しましょう」

 アスカは芝の斜面を指差す。綺麗に刈りそろえてあり、立ち入り禁止の看板もない。出入り自由だ。

「じゃあ、いこうか」

「太陽が気持ちいいわ」

 二人はねっころがり、太陽がふりそそぐ。

「ふうー」

「アスカ、来てよかったね」

「そうね」

「またこようよ?」

「いいけど、今度は遊園地ね。それもシンジのおごり!」

「それはないよ」

「ダメよ!今日行けなかったバツ」

「えー、ひどいな!アスカ」

「ふふふ、冗談よ!ワリカンでいいわよ」

「よかった!それじゃあ、今度行こうね」

「うん」

 デートの約束。アスカは嬉しかった。

「ふあああ!それにしても、眠くなるわ」

「僕も眠くなってきたよ」

 ここちよい風、食後なので眠気がくる。

「それじゃ、お昼寝しようか?」

「そうだね、じゃあおやすみアスカ」

「おやすみシンジ」

「すやすや」

「グウグウ」

「すやすや」

「グウグウ」

「すやすや」

「グウグウ」

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

「ん、うーん」

 西日になってきた。アスカが目覚める。シンジはまだ寝ている。

「よく寝たわね」

 背伸びをしシンジを見るが気持ちよさそうに寝ている。

「ふふ、つんつん」

 アスカはシンジのほっぺを軽くつつく。 (うーん、お約束)

「うっうーん・・・」

「よく寝ているわね。このこの」

 調子に乗ってつつく。ぷにぷに!

「うーん、たすけて・・・」

「どんな夢かしら」

 面白がってつつく。くにくに!

「助けて!綾波ー」

 ドゴッ!シンジの顔面に炸裂、沈黙。

「・・・」

「なにが、ファーストよ!」

「・・・あれアスカ、どうしたの?」

「バカシンジ!」

「?」

 シンジはいきなりバカ呼ばわりされたがわからない。アスカは怒っている。

「どうしたんだよ」

「ふん、どんな夢をみてたのよ」

「夢?・・・」

 シンジは思い出したが言いたくない。

(アスカが僕を襲っていて、それを綾波が助けたなんて言えないよ」)

「わっわすれちゃったよ!」

「嘘ばっかし!」

「本当だよ!」

 実は嘘。言ったら地獄。

「本当に?」

「本当!」

 アスカは疑いの目をシンジに向けるが、やめた。

「まあ、いいわ!こんなことでデートを台無しにしたくないから」

「え!これってデートなの?」

 シンジの言葉にアスカはおもわずこけた。

「あんたねえ・・・まあいいわ、そうよ」(シンジの鈍感はものすごいわ)

「そうなんだ・・・」

「嬉しくないの」

「そっそんなことないよ!」

 シンジの顔が赤くなる。

「ふふ、それじゃあ帰りましょうか」

 アスカは素早くシンジの手を握る。

「アッアスカ!」

 アスカの行動に驚きふためく。

「当然でしょ、デートなんだから」

「そっそうだね」

「そうよ!」

 二人はテレながらも、ミサトから逃れた休日を楽しんだのだった。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

「「ただいま」」

 ドアをくぐる。もう手は離していた。ミサトに見られては何を言われるかわからない。

「おかえりー」

 ミサトは上機嫌、二人は不思議に思う。

「ミサトさん、ご機嫌ですね」

「ふふ、わかるー?今日もいってきたのよ」

「なによ!一人でも楽しいんじゃない」

 アスカは昨日のことでご立腹。

「悲しかったわよ、二人共居ないから一人で出かけたの、そしたらね!途中でレイがいたの」

「綾波が?」

「そう、シンジ君に会いたいって家にくる途中だったけど居なかったじゃない。それだからね、レイも暇そうだったからさそったのよ」

「・・・・」

 2人共言葉がでなかった。

「そっそれで、どうだったんですか綾波は?」

「楽しんでいたわよ」

 当然、ウソである。

「ひそひそ、アスカ、ホントかな?」

「ひそひそ、ウソに決まっているでしょ!」

「ひそひそ、そうだよね」

 当然、当たっている

「ちょっと、何こそこそ話しているの?」

「「なんでもないです(ないわ)」」

「それでね、今日シンジ君が居なかったから明日レイが来るわよ」

「えっファーストがくるの?」

「綾波が?わかりました」

「シンジ!お腹すいちゃったわ、早く作って」

「わかったよ!なにがいい」

「ハンバーグ!」

「じゃあ支度するよ」

 シンジはエプロンをつけ作り始める。アスカは上機嫌でテレビを見ている。

「できたよー」

「「「いただきます!!!」」」

 その夜、シンジ、アスカはデート。ミサトはドライブで上機嫌だった。


 HEAVEN'S DRIVE 1.2の続編にあたります。

 もうGWは終わりましたがシンジとアスカのGWの一日です。

 遊園地は定番?なのでお金がかからない公園にしました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


HEAVEN'S DRIVE 2 HEAVEN'S DRIVE 3

NEON GENESIS: EVANGELION 休日