登校〜シンジ〜
「……いってきます」
シンジは早くその場を逃げ出したく急いで外に出た。顔はまだ真っ赤である。エレベータを降り学校に遅刻しそうなので、急ぎ足になる。
「はあ、はあ、はあ」
シンジは走った。遅刻になる、アスカに謝らなければならないと思いながら。
「アスカ、許してくれるかな?」
アスカの朝のビンタを思い出し、許してくれる?そんなことあるのか?と感じたが、とりあえず走った。
「はあ、はあ、うーきついな」
体力が無いシンジは疲れていたが、全力で走る。角にさしかかった時…。
ゴッツン!!
一瞬、眼に星がはしり、シンジはしりもちをつく。頭をさすりながら、謝る。
「いったー。すっすいません」
「……痛い…グスン」
「あっ綾波じゃないか!大丈夫?」
「あっ碇クン、うん大丈夫」 (ズキ、ズキ)
シンジは立ちあがったが、レイは頭をさすりながらまだ座り込んでいる。
「綾波、立てる?」
「う、うん」
しかし、レイは立てない。偶然シンジに出会い、ぶつかり腰をぬかしたのだ。
「手、貸そうか?」
「うん」
レイに手をさしのべ、手を握ると、レイは顔が赤くなる。
「あっありがとう」 (ドキ、ドキ)
レイは立ちあがったが、手を離さない。シンジは困っている。
「あのー綾波、手を離して…」
「ごめんなさい、碇クン。歩けないの」
「えーー?」
戸惑うシンジ、レイはしっかり握っている、赤くなりながら。
「どっどうしよう」
「…このまま、行きましょう」
「えー?」
大胆なレイに、暑くもないのに汗がでる。
「私、一人じゃ歩けない…」
「そっそう?それじゃ校門までだよ」
「うん」
シンジは承諾したが、校門までなのは、誰かに見られたらどうなることかと、考えてのことだった。
「綾波、走れる?」
「無理みたい」
レイの手を取り遅刻が気になるが状態を見て、もはや遅刻だ!と心で泣いた。
(はー、遅刻か。まあ仕方ないか)
(ドキ、ドキ、碇クンと手をつないでいる。ウレシイ)
シンジはレイの速度に合わせ、しっかり手をつないで学校に向かう。
「珍しいね、綾波が遅刻しそうになるなんて、どうしたの?」
「えっ、それは…」
質問に戸惑いうつむくレイ。
「… … …」
「?何」
「…… ……」
「小さくて聞こえないよ」
レイは顔を赤くしながら、聞こえる様に言った。
「碇クンの事を考えていたら、その…遅くなって……」 (ポッ)
こちら朝〜レイ〜編を読めばわかります。
「え?あ?そっそうなの」
「……」
「……」
「……」
「……」
二人は顔がトマトのようになり、一言も喋らなくなった。手をつないだまま…。
授業開始まで、あと五分…学校では。
…
…
…
…
…
…
(遅い!あのバカシンジは、なにしてんのかしら)
とっくに学校に着いていたアスカはシンジの到着に、まだかといらだっていた。
(私の裸を見た上に、口ごたえして、遅れるなんて地獄行きね)
…恐ろしいことを考えているアスカに、トウジがちょっかいをだした。
「なんや、惣流!愛しのシンジがおらんで、寂しいんか?」
ダン!
机を叩き今朝の怒りと今の怒りがアスカを刺激する。
「何ですって?私がバカシンジを寂しいですって?」
「おっおおう」
トウジを殺意のこもった瞳で睨むアスカ。トウジはヤバイと感じ、からかうのをやめた。
(コッコワ、こりゃあ相手にしてたらどうなるか、わかったもんやない。シンジなにしたんや?)
トウジは退散し、シンジの身を哀れに思った。
(シンジーーー!)
「アッアスカ!」
親友のヒカリも近寄りがたく、アスカの席の回りはATフィールドと化していた誰も止められない、クラスメイトは血の雨が降ると、予想した。
…
…
…
…
…
…
通学路、授業開始3分前。
「…」
「…」
「…」
「…」
二人は沈黙を守ったまま、まるで初々しいカップルの様に手をつないでいた。ふとレイはシンジの顔を見ると頬に、手形が付いていた。
「?碇クン、頬に手形がついてる。どうしたの?」
「あっこっこれは、そのー…」
シンジは言いにくそうだ。アスカ裸をみてビンタされたこと。
「どうしたの?」
レイの紅い瞳に見つめられ、シンジは見たことを省いて話す。
「はっはは、ちょっと今朝アスカに叩かれて」
「そうなの」
さすり、さすり
「これで大丈夫」 (ポッ)
「!!あっ綾波」
レイは赤くなりながらシンジの頬をさすり、シンジはレイの突然の行動に赤くなりながらに驚く。
キ―ンコーン カーンコーン
チャイムが鳴り響く。
(遅刻だ…)
シンジはチャイムに肩を落としたが、レイは落ち込んでいる姿を勘違いし頬をさする。
さすり、さすり、さすり
(碇クンが落ち込んでいる…アスカ…許せない…)
レイの紅い瞳が、一層深みを増す。
「あっ綾波!もういいよ。大丈夫だから」
「ダメ!」
さすり、さすり、さすり (ポッ)
シンジの頬をさすっていることで、レイは別の世界に飛びだっており3分間がたった。さすがのシンジも大きな声で。
「綾波!わかったから!!」
「はっ!碇クン。ごめんなさい」
シンジの声でようやく帰ってきたレイ。授業は始まっている。
「もう、授業が始まっているから、早く!」
「うっうん」
シンジはレイの手を握り、少しでも早くと学校へ走ることができないので、早歩きした。
(碇クンが私の手を…)
また世界が違うレイ。そんなことは気にしていないシンジ。
遅刻をし地獄が待ち受けているの知るよしはなかった。
…
…
…
…
…
…
シンジがまだ着いていない教室ではアスカが回りの席の生徒を怯えさせながら、到着を待っていた。
(シンジ、どうなるか楽しみにまっていなさいよ)
「ふふふふ」
不気味な笑いが、クラス中を震えあがらせる。
クラスメイトはシンジが何をしたのか知らないが最期の別れと思った。
…
…
…
…
…
…
やっと到着したシンジ達は校門でとまった。
「じゃあ綾波、ここまでだから」
「え?」
シンジはレイの手を離そうとする。がレイはいやがって離さない。
「綾波、まずいよ」
「…イヤ」
「そんな、こんなとこ誰かにみられたら…」
シンジは困っている。レイは涙を浮かべ。
「せめて下駄箱まで、…シクシク」
「えー?」 (どうしよう、こんなところをアスカに知られたら)
シンジは冷や汗をかいているが。レイの涙姿をみたら覚悟をきめて。
「わっわかったよ。下駄箱までだよ」
「うん」 (ウレシイ)
満面の笑みを浮かべ、握る手も次第に強くなる。シンジはそんなレイに赤くなる。
コソコソ、見つからない様に校庭を歩く。
「見つかりません様に」
(碇クンと…)
…
…
…
…
…
…
そんな中、一人の少年が。
(あーあ、退屈だな)
授業が退屈な少年は相田ケンスケ、あくびをしながら、ふと外を見ると。
「!!!!!!」(あれはシンジと綾波、手をつないでいる)
眠気が一気に吹っ飛び、歩く二人を観察している。
(シンジの奴、綾波と…しかしこんなとこ惣流に見つかったら地獄だぞ)
ケンスケはアスカを盗み見たが退屈そうで寝そべっている。
(ひとまず安心だな。シンジめ!惣流がいるのに綾波なんかと……!!)
何か思いついたのかケンスケの眼鏡が、妖しく光る。机からデジタルカメラを取り出し、二人の姿を盗みとる。
(そろそろ新しい機材がほしいとこだったからな、シンジに見せれば高くかってくれるだろう)
音がしないデジタルカメラで何枚もとっていく。眼鏡が妖しい。
(シンジ悪く思うなよ)
…
…
…
…
…
…
「じゃあここまで」
「うん」 (グス)
下駄箱につき、上履きに履き替える。
「僕は先に行っているから」
「え?」
「そうしないと、みんなに何を言われるかわからないよ」
「…わかった、碇クン。先に行って」
シンジは急いで、教室に走った。レイは少し間をあけて、教室に向かう。
シンジはこれから起こる不幸をまだ、知らない。
(シンジー、ふふふふ) ボキッボキッ
(シンジ、悪く思うなよ。小遣いがピンチなんだ)
シンジは教室のドアに手をかけた。
一応、朝〜シンジ〜の続編です。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
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NEON GENESIS: EVANGELION 登校 〜シンジ〜