ちょっちアスカちゃん、その3
「ぐっ!」
アスカは強烈な痛みに襲われた。
「はぐっ・・・うぐ・・・」
苦痛に歪むアスカの顔、額からは脂汗。
「うぐ・・・むむむ」
歯を食いしばるが息が荒い。
「ア、アスカ大丈夫?」
たまらずシンジが駆け寄るが、アスカは邪険にはらう。
「う、うるさい!平気よ。このくらい、使徒の攻撃なんて」
「・・・アスカ」
シンジは転げまわるアスカをただただ見ることしかできなかった。
「いたっ!ううう負けない!負けないわよ」
痛みは増していく、頑張るアスカ。見ることしかできないシンジ。
(・・・う、うう負けない、使徒になんか、私1人で、私1人で・・・)
「勝ってみせるわ!」
立ちあがり叫ぶアスカ、だが痛みに耐えきれずに片膝をつく。
「アスカ!」
シンジは手を差し伸べるが拒否する。
「さわらないで!」
だが・・・・・・
「ダメだよアスカ」
シンジはアスカの手を取った。
「イヤーーーー!!!」
絶叫がこだまする。
「ほら歯医者に行くよ」
「イヤよイヤ!平気だって」
アスカはリビングでTVにしがみ付き、頭を横に振る。シンジは呆れていた。
「ダメだよ、それになんだよ使徒って単なる虫歯なのに」
「うるさい!これは絶対に使徒よ。この痛みは・・・いたたた」
「お菓子ばかりたべるからだよ。行こう」
腕を取るがアスカはTVから離れようとしない。
「今治療しないともっと酷くなるよ」
「いいもん、それに私の力で治してみせるわ」
「・・・・・」(どうやって?)
アスカのダッダッコにシンジは頭を悩ます。そんな中やっと目を覚ましたミサトがやって来た。
「ん、どうしたの?」
「アスカ虫歯があるのに歯医者に行きたくないんですよ」
「これは使徒の攻撃よ」
「・・・・・あっそう」
アスカの答えに流石のミサトも呆れるだけであった。
「ミサトさん、アスカを歯医者に連れて行くので離すの手伝ってください」
「はいはい」
腕まくりの仕草をしてアスカの腰を掴み引っ張る。
「んーーーー、アスカなかなかやるわね」
アスカは力の限りしがみ付く、ミサトの力でも容易ではない。
「ふん、私を舐めないでほしいわね」
シンジは困った。ミサトでも引き剥がせないとなると、もっと人数が必要になるが恥ずかしくて呼べない。
(!そうだ!)
「ミサトさん、TVから剥がしてくれたら今夜のビール、サービスしますよ」
キラン!
その言葉にミサトの瞳が輝く。
「OK!シンちゃん。うおおおおおおおおお」
サービスの言葉に力は倍増、徐々にアスカがTVから引き離される。
「くっミサト、負けないわ・・・・ああああ」
だがアスカの健闘も空しく、TVから離れた。その瞬間シンジはロープをアスカの体にぐるぐると巻いていく。
「ペンペン手伝って」
「クエ」
「コッコラ!シンジ、ペンペン何するのよ」
「ごめん、暴れるといけないから」
「やめてー!!」
アスカの声もむなしく、シンジとペンペンにグルグル巻きにされ動けなくなった。
「ミサトさん、車お願いします!」
「OK、ビール忘れないでねん」
二人はアスカを肩に担ぐと家を出ていった。
「コラー!下ろせえ!ほどけえ!」
晴れた空の下、アスカの声が響く。
「こうでもしないと行かないだろ」
「ビールのためよ。アスカ観念しなさい」
車は一路歯医者へ。
「二人とも憶えておきなさいよ!」
歯医者についた三人は待合室で治療の順番を待っていた。アスカはグルグル巻き、周囲の注目を集める。
「はいはい、終わってから言ってね」
ツン!
ミサトははれている右頬をついた。
「いったあああああ、ミサトオオオオオ!」
涙を浮かべながら睨むアスカ、だがミサトは悠々と笑っていた。シンジは周囲の目線で恥ずかしかった。
(し、静かにしてよ・・・・)
10分ほどしてアスカの名前が呼ばれた。
「さ、アスカの番だよ」
「イヤよ。帰る!帰るのおおおおおおおおおお!!」
「「ふう・・・・」」
コクコク!
二人はため息をつくと無言でうなずきあい、アスカを抱えて診療室に運んだ。
「シンジ!ミサト!この怨み忘れないわよ!」
治療台にしっかりと固定され身動きができないアスカは、待合室に戻る二人に最後の怨念の言葉を投げつける。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
治療開始と同時に室内に絶叫が響き渡った。シンジとミサトの二人は耳を塞ぎ治療が終わるのを静かに待つのであった。
いやあ虫歯って本当にイヤなものですね。でもこれで虫歯もスッキリ!
結局アスカちゃんは歯医者に行きたくなく理由をつけてはシンジ君を困らせていましたが、皆の協力により無事?に行く事ができました。シンジ君も満足ですね(^^)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION ちょっちアスカちゃん、その3