GW

 世間では、ゴールデンウィークは今日までだって言うのに、私は今日から遅めのゴールデンウィーク。

 まったくも〜うちの上司は何を考えているのかしら、世間と同じように休ませなさいよ!

 忙しくも無いのに、出勤させてイヤになっちゃうわ。まあ休日手当てがでるからいいかしら。

 休み初日は家でゆっくりとしたいんだけど、普通に連休だった弟と妹は明日から学校、どこへも連れて行ってやれなかったから、今日は温泉へ連れて行くわよ〜





「温泉って、年寄りじゃあるまいし、そんな所に行っても退屈でつまんないわよ」

 口では文句を言っていてもすでに行く用意が出来ているアスカ、楽しみで今日は早起きをしたみたいね。

「ミサトさん、疲れているのに大丈夫ですか?」

「大丈夫よん」

 私の身体を気遣ってくれるシンちゃん、ん〜〜〜〜〜やっさしいわね。チュ〜しちゃいそうよ。

「クエクエッ」

 温泉大好きのペンペンは当然大喜び、羽を思いっきりバタつかせているわ、もう少しで飛べそうね。

「それじゃあ行きましょうか」

「「お〜〜〜!」」

 移動手段は当然、私の愛車よん。

「さあ乗って乗って〜」

「ミサトさん、安全運転でお願いします」

「わかっているわよ。まっかせといてね」

「ペンペンは前に乗りたいでしょう、譲ってあげるわ」

「クエ?」

 あらアスカったら、シンちゃんと一緒に後ろに座りたいからペンペンを強引に前に座らせちゃったわ。

「アスカ、前じゃなくていいのかしら?」

「ペンペンが前に乗りたいから仕方ないでしょう」

「へえ〜アスカってペンペンの言葉がわかるんだ、凄いなあ〜」

「と、当然よ。アタシは大学出なのよ。ペンギン語なんて、ちょちょいのちょいでマスターしたわ」

「流石アスカだね、凄いなあ」

「まあね、褒めても宜しくてよ、お〜〜ほっほっほっほ〜〜」

 ふふ、大学出でもペンペンの言葉がわかるわけないでしょう、それを素直に信じているシンちゃんって良い子ねえ。

「忘れ物は無いかしら?行くわよ」

 行き先は箱根温泉、日帰りよ〜








 ふんふんふ〜〜ん

 良い天気だから、運転していると自然に鼻歌が出ちゃうわ。

「クエックエックエ〜」

 ふふ、ペンペンも隣で楽しそうに歌っているわ。

「ミサト〜ポッキー食べる?」

「ええ、貰うわ」

 アスカは後ろでオヤツタイム、たくさん買い込んでいるわね。

「はい、あ〜〜んして」

「サンキューあ〜ん」

 後部座席からポッキーを口に入れてくれたわ、あんがと。

「アスカ〜シンちゃんもポッキーを食べたいみたいよ」

「えっ僕はいいですよ」

「しょ、しょうがないわね。ほらシンジ、あ〜んしなさい」

「あ、うん」

 ふふ、青春しているわね。良いわよ、良いわよ〜〜









「クエックエックエ」

 ついた途端にペンペンが車から飛び出して温泉へ走って行っちゃったわ。待ち遠しかったのね。

 ここの温泉旅館はネルフの保養所で、安いからいいのよね。そして今日は司令にシンちゃん達を連れて行くって言ったらタダにしておくって言われたのよね。ラッキーだわ。

「ふ〜〜風が気持ちいいわね」

 部屋の窓から入ってくるそよ風が心地良いわね。

「ミサト、早速入りに行きましょう」

「ええ、いいわよ」

 ここは露天風呂なのよね、でもシンちゃんには残念だけど混浴じゃないのよ。

「シンジッ、覗いたらコロスからね」

「アスカなんか覗かないよ」

「なんですって〜〜!シンジ〜アンタ、温泉を真っ赤に染めたいようね」

「こ、怖いなあ〜じゃあ」

「あっ待ちなさいよ!」

 ふふ、シンちゃん。逃げるように男湯に行ったわ。

「アスカ、待ちなさい。そのまま男湯に入る気なの?」

「あっ・・・危ない危ない」

 まあ今日は私達以外は誰もいないから、入っていってもかまわないんだけどね。

 んふふふふ〜〜

 温泉の熱気が脱衣所まで伝わってくるわ、早く脱いで入ろうっと。

「お先に!」

「あ、ずるいわ。アスカ」

 アスカが、先に脱いで走って行ったわ、私も負けてられないわよ。湯船へダイブよ。

 ドッボ〜〜ン!!

「ふう〜〜〜気持ちい〜〜〜!」

「ちょっと飛び込まないでよ、顔にかかったじゃないのよ」

「はは、ごめんごめん」

 温泉に来ると、ついつい飛び込んじゃうのよね。

「はあ〜〜疲れが取れるわね」

「これ以上、お肌がツヤツヤになったら困っちゃうわね」

「ふふ、それでシンちゃんを誘惑するわけね」

「な、なんでシンジなのよ」

「あら?シンちゃんじゃないの?やっぱり混浴の方が良かったかしら」

「い、いやよ。そんな事したら馬鹿シンジが暴走するじゃないのよ」

 ふふ、顔を真っ赤にして可愛いんだから。

「クエックエ」

「あらペンペン、こっちに入っていたの?」

 まあペンペンには男湯、女湯どっちでも問題ないけどね。

「クエクエ」

「ん?ここの温泉は柵の下が繋がっているの」

 ここの温泉の中央に柵を設けて男湯と女湯に分けているようね、湯船の中まで柵が入ってないようね。

「ちょ、ちょっとそれじゃあ、シンジも来れるじゃないのよ」

「クエ」

「クエじゃないわよ。ちょっとシンジ〜〜〜」

「なに〜〜?」

「こっちに来るんじゃ無いわよ」

「だ〜か〜ら〜来ないよ」

 アスカ、念を押しているけどシンちゃんが来るはずないわよね、危険を冒してまで。









「あ〜〜疲れが取れたわ〜」

 部屋に戻ると料理が準備されていたわ。豪華で美味しそうだわ。

「アタシ、ここに座ろうっと」

 じゃあ、私はアスカの正面に座ろうかしら、私の隣はペンペンね。そうなるとシンちゃんは当然アスカの隣ね。

「「「いただきま〜〜す」」」

 パンフレットより、豪華な品目ね。司令が注文してくれたのかしら。

「もぐもぐ、もぐもぐ・・・ん〜〜美味しいわ」

 山の幸、海の幸が新鮮ね。

「シンジ、これあげるわ」

「シイタケぐらい食べなよ」

「嫌いだもん、食べてよ。そのかわりアタシがエビを食べてあげるわよ」

「ダ、ダメだよ」

「冗談よ、冗談。お礼にアタシのエビを少しあげるわよ」

「あ、ありがとう」

「男の子なんだからたくさん食べなさいよ」

「うん」

 うんうん、シンちゃんは男の子なんだからたくさん食べるのよ。

「シンちゃん、私のエビあげるわよ」

「あ、ありがとうございます」

 ふふ、遠慮しちゃダメよん。








「ふ〜〜満腹満腹〜〜」

 美味しくて満足したわ〜

「クエクエ」

 ペンペンもお腹いっぱいのようね。お腹が膨れているわ。

「どっこいしょっと」

 ちょっと掛け声がおばさんくさかったかしら。

 ん〜窓から見る景色も最高ね、平和だわ。

「ミサト、何見ているの?」

「ん〜景色を見ているだけよ」

「山だらけね」

「自然が残っているのが素敵よね」

「素敵なの?」

「ええ、破壊されていない山々、使徒との戦いを忘れさせてくれるわ」

「・・・」

「私達はこの美しい景色を守っていかなければならないのよ」

「うん、わかっているわ」

 絶対に使徒になんか負けてられないわ。




「ミサトさん、お茶を入れましたよ」

「お、サンキュー」

「アタシのは?」

「アスカはジュースがいいだろ。はい100%オレンジジュースだよ」

「サンキュー」

 ん〜〜シンちゃんが入れてくれたお茶は美味しいわね。

「一日だけだったけど、満足してくれたかしら?」

「ええ、ミサトにしては、なかなかの温泉プランだったわ」

「ありがとうございました」

「これで明日からの学校が頑張れるわよね」

「あ〜〜明日から学校かぁ、休んじゃおうかな」

『アスカ、それはダメだよ」

「わかっているわよ、冗談よ」

 ふふ、喜んでもらってよかったわ。これで姉とししての面目が立ったわ。


 ミサトさんは遅めのゴールデンウィーク、シンジ君達を連れてお出かけです。

 近場の温泉ですけど、満足でしたね。でもアスカちゃんはちょっと混浴を期待していたのではないでしょうか(^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION GW