お礼

「シンジ君、悪いわね」

「いいですよ、暇でしたから」

 僕は今、リツコさんの研究室で掃除を手伝っている。

「これはどうしますか?」

「それは捨てちゃっていいわよ」

「はい」

 どれが必要か必要でないかは僕にはわからないから聞かないとね。

「シンジ君、一休みしましょうか」

「はい」

 かれこれ一時間以上、掃除をしていたよ疲れちゃった。

「シンジ君、どうぞ」

「ありがとうございます」

 リツコさんから普通のジュースを貰った、普通のジュースだ。

「散らかっていて見っとも無いでしょう」

「いえいえ、綺麗に片付いていますよ」

 多少は散らかっているけど、僕にしてみればこれは片付いている方だ。ミサトさんの部屋が凄いからね。

「ところでアスカはどこへ行ったのかしら?」

「さあ〜仮眠室で寝ているんじゃないんでしょうか」

 アスカも一緒に来たけど、すぐに居なくなったんだよね。一般的に掃除が嫌で逃げたって言うね。

「さあもう少しだから頑張ってね」

「はい」

 後三十分で終わるかな、頑張ろう〜〜








「終わった〜」

 綺麗になったぞ、満足だ。

「ありがとう助かったわ、これはお礼よ」

 リツコさんが白い封筒をくれたぞ、もしかしてこれは!

「い、いいえ。結構ですよ」

「そう言わないで、折角の休みを拘束したのよ。アルバイト代だから受け取って、アスカにはナイショよ」

「じゃ、じゃあ、ありがとうございます」

 僕は頭を下げてお礼を受け取った、ちょっと掃除を手伝っただけなのにリツコさんは優しいなあ。

「それじゃあ失礼します」

「お疲れ様」

 僕はリツコさんに頭を下げて研究所を出た・・・そしてすぐさま封筒の中身をチェックだ。


「うわっ二万円だ」

 封筒の中には二万円のピン札が、二時間ちょっとの掃除で二万円、良いアルバイトだったなあ。

「リツコさんが言ったとおりアスカにはナイショだな」

 この事を知られたら奪われちゃうよ、これでアッガイのプラモを買おうっと。

 プラモを買うと決まったら、今すぐプラモ屋へGOだ!



「あ、シンジ君ちょうど良かったわ」

「あっマヤさん」

 通路を歩いているとマヤさんが僕を呼び止めた、何だろう?

「ちょっと時間空いているかしら?」

「はい空いていますよ」

「悪いんだけど、部屋の掃除を手伝ってくれないかしら?」

「いいですよ」

 今すぐプラモを買わなくていいから、マヤさんの手伝いをしよう。

「ありがとうシンジ君」

 ようしマヤさんの部屋の掃除か、頑張るぞ〜〜




「散らかっているでしょう」

「いえいえ、散らかっていませんよ」

 リツコさんの研究室よりは散らかっていない、これはなら一時間くらいで終わりそうだな。腕まくりをして気合を入れるぞ〜

「マヤさん、これは要りますか?」

「それは必要ないわ」

「わかりました」

 これは燃えるゴミ、こっちは燃えないゴミだな。主夫をしているとゴミの分別が気になるぞ。ミサトさんやアスカには困るんだよね、分けないでゴミを捨てるから分ける僕が面倒だよ。

「シンジ君、これも要らないわ」

「はい」

 マヤさんも掃除が慣れているからもうすぐ終わるぞ。




「終わった〜〜」

「シンジ君、ありがとう助かったわ。はいジュースよ」

「ありがとうございます」

 マヤさんからジュースを受け取った、100%果汁ジュースだ。

「これはアルバイト代よ」

 可愛い封筒を差し出したぞ。

「い、いいですよ」

「受け取って、大した金額じゃないから」

「そ、そうですか、ありがとうございます」

 表情はクールに装っているが、気を抜くと微笑がこぼれそうだ。

「それじゃあ失礼します」

「ありがとうシンジ君」

 僕はマヤさんの部屋を出た、そして速攻で中身をチェックだ!


「わお〜一万円!」

 ゲームソフトも買えちゃうぞ、今日はラッキデーだぞ。掃除だけで高価なアルバイト代、幸せだぞ。

「さあプラモを買いに行こう」





「シ〜ンちゃん」

「うわっミサトさん」

 ビックリした〜背後からミサトさんがいきなり現れたよ。

「ちょ〜〜ち、悪いんだけどさ〜部屋の掃除をしてくれない?」

 本当に悪いですよね。

「何か言った〜?」

「いいえ言っていませんよ」

「そう〜それじゃあお願いね」

「あっちょっと、掃除をするって言っていませんよ〜〜〜〜〜」

 問答無用にミサトさんに手を引っ張られて部屋に連れて行かれちゃった。






「うわっ凄い・・・」

 足の踏み場も無い部屋の現状、リツコさんやマヤさんの部屋が可愛いくらいだ。

「そんじゃ〜お願いね〜」

「あっちょっとどこへ行くんですか?」

「大事な用があるのよ〜」

 嘘だ!僕にはわかる、その顔は今から飲みに行くって顔だぞ。

「大事な用って、ミサトさんが居ないとどれが要るか要らないかわからないじゃないですか」

「あ〜〜適当に捨てちゃって良いわよ、シンちゃんの判断でお願いねん」

「適当って・・・重要な書類を捨てちゃったら大変じゃないですか」

「重要な書類なんてないわよ、あるのは始末書よ」

「・・・」

 開いた口が塞がらないよ。

「ひ、一人じゃ掃除に凄く時間がかかりますよ」

「大丈夫よ〜シンちゃんならできる、できるわ!シンちゃんは出来る子ですもの、お姉さんはわかるわ!シンちゃんを信じるわ!じゃあね〜〜」

 あ、逃げた。

「ミサトさ〜ん、待ってくださいよ」

 ガシッ!

 逃がさないぞ、ミサトさんの腰にしがみ付いたぞ。

「いや〜〜んシンちゃんのえっちぃ〜〜〜〜」

「そんな事じゃ騙されません!」

「ちっ免疫が付いてきたわね」

「何度も騙されてきましたからね、今度という今度は一緒に掃除をしてもらいますよ」

 セクシーな声を出しても関係ないぞ。

「それじゃあ、アルバイト代の事アスカに言っちゃおうかな〜〜」

「えっ!?」

「アスカが聞いたら、どうなるかしら?三万円がどこかへ行っちゃうわよ〜〜」

 ど、どうしてミサトさんがアルバイト代のことを知っているんだ?

「アスカ言っていたわよ〜欲しい洋服があるんだって」

 ぼ、僕を脅している。でもそんな脅しに負けてたまるか!負けてたまるか・・・負けて・・・

「それじゃあ、お願いね〜〜〜」

 ミサトさんの腰をしがみ付いていた僕の腕の力が抜けていく・・・脅しに、脅しに負けた〜〜〜〜〜!

「トホホ・・・これからは低の悪いアルバイトだよ」

 ミサトさんの事だからアルバイト代は当てにならない、奉仕活動だよ・・・


 リツコさんの研究室とマヤさんの部屋の掃除を手伝うシンジ君、終わったあとは嬉しいお礼が待っていました。良いアルバイトです(^^)

 嬉しいシンジ君に悪が忍び寄り強引に魔の部屋に連れ去りました。徹底的に抗戦するシンジ君でしたが負けてしまいました(^^;)


 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION お礼