大人の味

 あ〜〜あっつぅ〜〜〜

 夏休みに入ってから、暑さが格段に増したわね。

 こんなに暑いと何もしたくないわよね。炊事洗濯家事、やりたくないわ。

「な〜に、独り言いっているのよ。全部シンちゃんがやっているでしょうが」

 おわっいつの間にか口に出して言っていたわ。ミサトは寝転んでテレビを見ているわ。タンクトップに短パンってラフな格好、今年も行かず後家更新ね。

「ん?なんか言った」

「別に」

 ぐうう〜

 暑くてもお腹は減る。夕食はまだかな、まだかな〜?台所に行ってみようっと。




「シンジ〜ご飯まだ〜?」

「うん、もうちょっとだから待ってって」

「早くしてよ〜お腹ぺこぺこで死にそう」

「後五分でできるから、お皿用意しておいて」

 むっこのアタシに手伝わせるなんて、いい度胸しているわね。まあ早く食べたいから手伝ってあげるわよ。

 ふんふんふ〜〜ん

 お皿に、コップに麦茶。サラダができているわね、リビングへ運んでおこうっと。

「おっシンちゃんの手伝いね、偉いわよ」

「ミサトに言われたくないわよ。アンタも手伝いなさいよ」

「よし!麦酒を運ぶのを手伝うわよ」

「それは手伝うって言わないの!」

 まったく、自分の事しかしないんだから〜だらしない保護者だわ。

「は〜い、アスカお待たせ〜できたよ」

「わお〜〜お腹ぺこぺこよ」

 シンジが持ってきた大きなお皿には、野菜炒め?ハンバーグじゃないのね。

「おっゴーヤチャンプルじゃないの、美味しそう〜〜」

「はい、暑い夏を乗り切るにはこれですよね」

「麦酒が美味しくなるわ」

「ほどほどにしてくださいよ」

「ほいほ〜〜い」

 ゴーヤチャンプル?何それ。

「シンジ、これってなあに?」

 見たことも無い野菜がのっているわ、新種かしら。

「これはゴーヤチャンプルって言って沖縄の料理だよ。これがゴーヤでビタミンCが豊富だから夏バテ防止にいいんだよ」

「へ〜〜」

 そうなんだ、夏バテ防止にいいんなら食べないといけないわね。

「「「いただきま〜〜す!!」」」

 どれどれ、ゴーヤを頂いてみますか。

 ぱくっもぐもぐ!!!

「に、にがっ!な、なんなのよこれ〜?苦いじゃないのよ」

「この苦いのがいいんだよ」

「そうよ、この苦味が麦酒にあうのよね。シンちゃん美味しいわよん」

「ありがとうございます」

 苦味が美味しいって・・・

「あらアスカ食べないの?」

「う〜〜」

 ゴーヤ・・・なんて手強い相手なの。

「まあ、ブラックコーヒーも飲めないお子ちゃまに、苦味があるゴーヤは大人の味だったようね」

 むっムカつくわね〜

「そ、そんな事ないわよ!アタシにだって食べれるわよ」

 シンジやペンペンが食べているのに、アタシが食べれないはずないもん。

「アスカ、無理しなくていいよ。レトルトハンバーグがあるから温めてこようか?」

 えっハンバーグ?でも、ここで負けたら・・・あっペンペンが笑った。く〜〜〜負けてられないのよ〜〜〜!!

「いい、ゴーヤを食べるわ」

「いいの?」

「ええ」

 いくわよアスカ!

「ちょええええええええええ!!」

「アスカ〜静かに食べなさい」

 ミサトの声なんて聞こえないわ。今は目の前にある、コイツを倒す事に集中するのよ。

 ぱく、もぐもぐ・・・









 チ〜〜ン

「アスカ〜〜お待たせ」

 う〜〜〜このアタシが負けるなんて・・・ゴーヤ、なんて恐ろしい野菜なの。

「あら〜〜アスカ、美味しそうね」

「うるさ〜〜〜い!!」

「クエクエ」

「うるさ〜〜〜い!!」


 暑い時にはゴーヤ、苦味が良いんですが、お子様なアスカちゃんには苦すぎました(^^;)

 結局負けてハンバーグを食べてしまいましたが、また挑戦するでしょう。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 大人の味