パワーアップ
「あ〜〜もうっ!」
リビングでアスカの声が響いた。
「どうしたの?」
同じくリビングで洗濯物をたたんでいたシンジが顔を上げた。
「携帯の電池がなくなったのよ、早すぎるわよ」
アスカが見せた携帯電話の電池マークが赤になっているので、もうすぐ電池が切れる。
「早いかな?僕のは結構持つよ」
「アンタはあまり使わないでしょうが、アタシは頻繁に使うからすぐになくなるのよ」
「使いすぎじゃない?」
「アンタが使わないだけでしょう」
シンジが携帯を使う率は低い、一日一回電話をするかしないかである。対してアスカは一日に電話、メール、情報収集と頻繁に携帯を扱っていた。
「そうなの?」
「そうなのよ、あ〜〜充電するの面倒だわ〜」
愚痴を言いながらコンセントに充電器をセットする間にもメール受信のメロディーが流れている。
「またメール、委員長から?」
「そうよ、あっ美味しいパンを見つけたんだ」
「内容はそれだけだろ」
「そうよ、返事書かなきゃ」
アスカは寝転がりながら返事を打ち始めた。
「マメだねえ〜だからすぐに電池がなくなるんだよ」
「女の子はマメなのよ」
メールを打ち終え送信すると、テーブルに置いてあるポテトチップに手を伸ばした。
「あっそう言えばリツコさんが電池を開発していたみたいだよ」
「電池?」
「うん、売り出して大儲けを考えているようだったよ」
「何で早く言わないのよ、バカ!」
「すっかり忘れていたよ」
アスカはシンジの近づくとデコピンをして頬をふくらました。
「リツコの事だから絶対に携帯の電池も開発しているはずだわ、行くわよシンジ!」
「どこへ?」
「アンタバカァ〜リツコのMAD研究室に決まっているでしょうが」
「あっそうか」
シンジは手をポンと叩くと頷いた。
「さあ、行くわよ〜〜」
二人は準備をするとネルフへ出かけるのであった。
「リツコ居る〜?」
「あら何かようかしら?」
アスカがドアを開くと休憩中であったリツコがコーヒーを飲みながら出迎えてくれた。
「携帯の電池ちょうだい、開発したんでしょう」
「よく知ってるわね」
「シンジに聞いたのよ」
「言ってまずかったですか?」
アスカの横暴な態度にシンジは気まずそうに言った。
「いいえ、私の品を必要としてくれるのは嬉しいわ、アスカこれよ」
リツコは白衣のポケットから電池を取り出すとアスカに手渡した。
「普通みたいね」
アスカは渡された電池を見回すが普通の電池と変わりないように見えた。一つ違うのはリツコのトレードマークである、ネコシールが張ってあることだけであった。
「普通だけど中身は違うわよ。1度充電すると、一日連続二十四時間通話しても一年持つわよ」
「凄い!そんなにもつの!?」
「ええ、そうよ。アスカなら約二年、シンジ君が使ったなら百年は充電しなくてすむわよ」
「シンジもある意味凄いわね」
シンジが携帯を使わない事にアスカは苦笑した。
「なんだよもう〜」
「ふふふ、でもね。これにはまだ解決しなければならない問題があるのよ」
リツコはコーヒーを飲むと溜め息をついた。
「問題?値段が高いの?」
「値段は五千円前後にしようと思うのよ」
「五千円なら安いんじゃないの?」
アスカも五千円なら買ってもいいと思った。
「ええ、値段は問題無いのよ。問題なのは充電時間なのよ」
「充電時間?長いの?」
「ええ、フル充電に二年かかるのよ」
「は、二年?」
驚いた、初めて聞く充電時間である。
「これを解決しないと売れないのよね」
「そ、それは重大な問題ね。それでこれは充電してあるの?」
アスカは貰った電池を見た。
「残念だけど、それも後十分てところかしら」
「そうなの・・・」
アスカは肩を落とした。
「この問題を解決しないと発売はまだ先なのよ」
「それで解決できる見込みあるの?」
「残念だけど、研究が必要だわ」
「そ、そうなの。が、頑張ってね」
アスカは電池を静かに机に置くとシンジと一緒に研究室を出て行くのであった。
携帯電話を頻繁に使うアスカちゃん、電池がすぐ無くなるのが悩みの種。でもそんな悩みがリツコさんの発明で無くなろうとしていましたが、充電時間が長すぎました(^^;)
リツコさんの大儲けにはまだまだ開発が必要です。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION パワーアップ