勝負
買い物はやっぱり夕方に限るね。
売れ残りが安くなっているから家計が助かるよ。
「シンジ〜お菓子お菓子〜」
「高いものはダメだよ」
「いいじゃん、美味しいものは高いのよ」
アスカが持って来たのはチョコレート、ちょっとの量なのに高いなあ。
「じゃあそれだけだよ」
「え〜〜ポテチは?」
「チョコだけで予算オーバーだよ」
「ポテチも買ってよ〜」
「アスカのお小遣いでなら良いよ」
「え〜〜?」
アスカが持ってきたチョコレート一個でホテチ三袋分だもな。
「チョコがいいかい、それともポテチにする?」
「う〜〜〜ん・・・」
悩んでいるなあ、美味しそうなチョコを取るか、それとも量が多いポテチを取るのかな?
「ポテチにする」
食べ盛りだから量で決めたね。
「じゃあチョコを戻しに行こうか」
「う〜〜シンジのケチ〜〜」
はは、悔しがっているけど勘弁してね。ミサトさんの稼ぎが少ないからなあ。
「おっカレーが安いや」
レトルトのカレーが安売りしているぞ、買っていこうかな。
「カレー買うの?」
「うん」
レトルトカレーは簡単だから良いんだよね、疲れて家事をしたくない時は大助かりだ。
「ええと、ミサトさんは辛口、僕は中辛、アスカは甘口と」
僕はそれぞれの辛さを三パックずつ計九パックをカゴに入れた。
「ちょっと〜〜どうしてアタシが甘口なのよ〜」
「甘口しか食べれないだろ」
「アタシが食べていたのは中辛だったでしょう」
「あ〜あれは甘口だよ」
アスカは中辛が良いって言っていたけど、食べれないから僕は甘口を出していたんだよね。
「うそ?いつの間にすり替えていたのよ」
「すり替えてないよ、ずっと甘口だったよ」
「そ、そんな・・・アタシがお子様の甘口を食べていたなんて・・・」
「そんなにショックな事じゃないだろう」
甘口を食べていただけで落ち込むなんて珍しいなあ。
「いいえっ!これは一大事よ。アタシが甘口を食べていた事を世間が知ったら泣いて残念がるわ」
「誰だよその世間ってのは?」
「アタシのファンよ」
「はいはい、アスカは甘口ね」
「まて〜〜い!アタシは甘口じゃないわよ」
「えっ、甘口じゃないの?あ〜〜超甘口だったね。僕とした事がウッカリしてたよ」
ぎゅう〜〜〜〜
「あいたたた〜どうして頬をつねるんだよ?」
「大人のアタシがどうして超甘口なのよ〜大人だからミサトと同じ辛口に決まっているでしょうが!」
「ふ〜〜ん、甘口だね」
無理しちゃって、どうせ食べれなくなって僕が食べる事になるんだよね。
「だ〜か〜ら〜辛口だって言っているでしょうが!」
「わかったよ、辛口だね」
これ以上言っても無理だからアスカ用に辛口を一つ買っていくか。
「ふっ辛口?アスカって子供なのね」
ん?聞いた事がある声だぞ。
「ファ〜スト!」
「やあ綾波も買い物かい」
「うん、今の時間帯が安いから」
綾波も買い物上手だなあ。
「ちょっとファースト、今の台詞はどういうことよ?辛口がお子様だっていうの」
「ええ、辛口はお子様が食べるものよ、私は超辛を食べているわ」
「綾波、凄いね。辛さに強いんだ」
「うん、コクがあって美味しいの」
超辛は僕も前に食べた事あるけど、水を何杯も飲んだんだよね。
「ふん、アタシだって超辛くらい食べれるわよ」
「そう・・・」
「なによ、その目は?ウソじゃないわよ、ちゃんと食べれるわよ」
「そうなの、私は超辛の500倍を食べているわ」
「ご、500倍?ウソ言っているんじゃないわよ」
500倍は超辛の中で一番の辛さ、食べれる人は滅多にいないんだよね。
「ウソじゃないわ、目の前で食べてあげてもいいわよ、お子様アスカ・・・ウフフ」
あ、綾波〜目がちょっと怖いよ。
「そ、そういうんなら食べてもらおうじゃないのよ」
「ええ、お子様アスカが普通の超辛を食べる目の前でね、ウフフ」
「キ〜〜〜〜!アタシは大人よ、アタシだって500倍を食べれるわよ」
ア、アスカ挑発にのったらダメだよ。
「そう、よかったね」
「冗談だと思っているわね。ようし、こうなったら勝負よ!どちらが500倍を先に食べれるか勝負よ」
「いいわよ、それで勝者には?」
二人とも熱くなっているなあ。
「一ヶ月間、学校帰りにパフェを奢るってのはどう?」
「良いわね、その勝負受けたわ」
辛口を食べて勝利者には甘いパフェか、二人ともまだまだ子供なんだね。
「ふ〜〜ん、それでご飯はレトルトカレーになったの」
「はい、せっかくお腹を空かせていたのにスミマセン」
ミサトさんがテーブルに置かれたカレーを見ながら麦酒を飲み干した。仕事から疲れて帰ってきたのにレトルトだから悪い事したなあ、ミサトさんだけ別メニューにすればよかったかな。
「いいわよ、レトルトも大好きよん。それより・・・」
「それより?」
「二人の勝負に興味があるわ」
確かにミサトさんの言うとおりだ。アスカと綾波は向き合って座っている、目の前には超辛500倍のカレー、これから激しい戦いが始まろうとしている。
「ファースト、謝るんなら今のうちよ」
「それは貴女じゃないの?」
「アンタよ!」
「貴女よ!」
食べる前からヒートアップだな。ちなみにカレーは綾波が肉を食べれないからシーフードカレーだ。アスカも同じ条件にするのでシーフードだ。
「まあまあ、二人とも熱くならないの。この勝負はこの葛城ミサトが公平にジャッジするわよ」
あ〜あ、ミサトさんも気合が入ってるよ。ってすでに酔っているよ。
「ミサト頼んだわよ」
「お願いします、葛城三佐」
「よし、ルールを説明するわ。単純明快、先に食べきったほうが勝ちよ」
誰でもわかるルールだ。
「それじゃあ、いくわよ〜レディ〜〜」
「「ゴ〜〜!」」
2人の手がスプーンに伸びた、ほぼ同時だ。そしてカレーをすくって口の中へ・・・
パクッ!
パクッ!
「か、から〜〜〜い!みじゅみじゅみじゅ、みじゅ〜〜〜!」
アスカは一口食べた途端、火を吐いたぞ。それほど辛いんだ500倍って。
「アスカ水だよ」
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!
「まだみじゅ〜みじゅ〜〜からいからいからいからい〜〜!」
一杯飲んだだけじゃ辛さは消えないか、これは結構飲まないといけないなあ。
「からい〜からいよ〜〜」
大騒ぎのアスカをよそに綾波は黙々と食べているぞ。
「エビが美味しいわ」
ちゃんと味わっているよ。
「綾波は辛くないの?」
「平気よ、それよりお子様には無理だったようね」
「みじゅ〜〜〜」
これはもう結果を見なくても勝者は綾波だってわかるな。
「うふふ、これで一ヶ月はパフェが食べれるわ」
アスカも無茶な勝負を挑んだなあ〜一ヶ月間パフェを奢り続けるのか、お小遣いがなくなるぞ〜
シンジ君が疲れている時はレトルトカレーで手抜き・・・アスカちゃんは甘口に大激怒(笑)子供なのに辛口を要求しています。
そんな子供のアスカちゃんはレイちゃんの挑発に乗って超辛で勝負を挑みましたが、結果は当然レイちゃんの勝利でした。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 勝負