映画観賞
「早く来なさいよ、始まっちゃうじゃない」
「まだ大丈夫だよ」
シンジ歩くのが遅い!上映時間に間に合わなかったらどうするのよ。アタシの手に握られている映画のチケットが二枚、早く映画館に入りたいのにシンジはゆっくりと歩いている。
「大丈夫じゃない!色々買うものがあるでしょうが」
「上映まで30分あるから十分間に合うよ」
どうしてアタシがシンジと映画を観に来ているかって言うと・・・ミサトから昨日チケットを貰ったのよね。ミサトはリツコ、マヤと観る予定だったけど急な仕事で観に行けなくなったから貰ったのよ。け、けっしてシンジと行けるからラッキーとか思ってないんだからね。・・・って何言っているのかしらアタシは。
さあ入場してまずは・・・
「シンジ、パンフレット買って」
「ええ〜僕が?」
「当然じゃない、アタシにお金を出させるつもり?パンフは一部買えば良いんだから当然シンジが買うべきよね」
「僕は別にいらないのに・・・」
「何か言ったかしら?」
「い、いいえ買わせていただきます」
「ジュースとポップコーン、それとホットドッグも美味しそうだわ」
「それも僕が買うの?」
「あったりまえでしょ、このアタシとデートをしてるのよ、光栄に思いなさい」
「アスカが誘ったくせに・・・洗濯物が溜まっていたのに」
「いちいち五月蝿い口ねえ、洗濯はペンペンに頼んできたでしょうが、早く買いなさいよ」
「はいはい、わかったよ」
「ハイは一回でいいの!」
ミサトからデート代を貰ったくせに。ってデートじゃないわよ、これはミサトからチケットを貰ったからなんだからね。そう、映画を観ていて急にシンジがアタシの手に触れて・・・握って・・・アタシがシンジの肩に寄り添って・・・キャーアタシったらキャー!
「アスカ〜買って来たよ。ん?顔が赤いけどどうかしたの?」
「な、何でもないわよ。早く行くわよ」
「ちょ、ちょっとパンフレットぐらい持ってよ」
「五月蝿い」
「がに股で歩くとみっともないよ」
「わ、わかっているわよ」
も〜顔が熱くなって恥ずかしいわ。
「人が多いね」
「そうね、アタシ達の席は・・・」
人気がある映画のようね。でも指定席のアタシ達は問題ないわ、流石ミサト達が取っていた席ねベストポジションだわ。
「あら、アンタの分のホットドッグは?」
「僕はお腹空いていないからいいよ」
何よそれは、アタシがお腹空いているって思っているんだ。
「じゃあ頂くわ、アンタはポップコーンでも食べてなさい。いくらアタシでもこんなに食べれないわ」
ここの映画館ってポップコーンの量が多いのよねえ。
「うん、パンフレット見るね」
「先にパンフ見るの?それじゃあ内容がわかって面白くないじゃない」
「そうかな?僕は先に見る派だね、情報を知っていると映画を理解できると思うんだ」
「ふ〜んアタシは後に見る派だわ。中身を見せないように見てよね」
「うん」
あら、あれは・・・前〜〜〜の方に座っているのはヒカリとジャージじゃない。ふふふヒカリも頑張っているわねえ、ここはコッソリと黙っておこうかしら。
「シンジ、前前」
「どうしたの?」
「ほら、ヒカリにジャージよ」
「あ、本当だ。洞木さんはともかくトウジはずっと席に座ってられるのかな」
「さあ〜もうソワソワして落ち着いてないわよ」
「そうだね」
「二人の事、そっとしておきなさいよ」
「うん」
「よろしい、口を開けて」
「何?」
「アタシはもうお腹いっぱいだからあげる」
アタシはホットドッグの残りをシンジの口に詰め込んだわ、まあ残り一口程度だったから窒息はしないわよ。
「うわっもぐもぐ」
「そろそろ上映時間だから静かにするわよ」
館内放送があって、照明が暗くなったわ。今の行動でアタシは耳まで真っ赤になっているのがわかったから丁度良かったわ。
ふ〜〜ん、話題がある映画だけあって、なかなか面白いじゃない。
ふんふん、何かダークな部分もあるけど、面白いわ。
新キャラがいるのね、このキャラは雰囲気変わったわね。
でも、面白いわ。
あっ・・・アタシの右手の甲に何か温かい感触がこれってシンジの手?
シンジがアタシの手を触ってくるなんて、何て大胆、映画館の暗闇だからできる技かしら?それとも映画にのめり込んで無意識に?アタシは手を触られて映画どころではないわ、ドキドキしてきた。
映画はクライマックス、シンジが手を握ってきたわ。ア、アタシも握り返してやるんだから、アンタもドキドキしなさい。
終わったわ・・・スタッフロールが出ているけどアタシとシンジはまだ手を握ったまま。このまま握り続けるわけ?こら早く離しなさいよ、アンタが離すまでアタシがずっと握り続けてやるわ。
映画が完全に終わって、照明が明るくなった。途中から映画の内容が全然頭に入らなかったわ。
「アスカ、話題の映画だけあるね」
「え、ええ」
握ったまま話しかけるなんて何て大胆なの、アタシは緊張してシンジの方を見れないわ。
「一回見ただけだ理解できなかったからまた見に来よう」
「え、ええ」
何爽やかな発言してんのよムカつくからシンジを見てやる為に左を向いたわ。えっ左?
左に座っていたのはシンジ、アタシの握られているのは右手、どういうこと?
「あれ?綾波じゃないか、来てたんだ」
「うん」
右を振り向いてそこにいたのは・・・
「ファースト!アンタなんでここにいるの?」
上映が始まった時は空いていたのに。
「映画を観るからいるの、時間に遅れたから静かに来たの」
「静か過ぎるわよ、気配が全然感じられなかったわ。っていつまで手握ってんのよ、早く離しなさいよ」
「映画に夢中で気づかなかったわ」
「綾波が映画って珍しいね」
「赤木博士にチケット貰ったの、仕事で行けなくなったからって」
「そうなんだ、あ〜だからこの三席に僕達がいるんだね」
そ、そうだった。チケットを貰った時に三人が行けなくなったって聞いたんだわ。
「もうすぐお昼だから三人で食べていこうか。綾波はどこが良いかな?」
「うん、どこでもいい」
「アスカは?」
「どこでも良いわよ!このバカ」
く〜〜ミサトからチケットを貰った時に、席が三人分空いている事に気づかなかったアタシに問題あったわ。
アスカちゃん、シンジ君と映画デートで距離を縮めようと計画?
手を握られるアスカちゃん、でもその相手はレイちゃんでした(^^;)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 映画観賞