GW

「ねえ〜ミサト〜、ゴールデンウィークなんだから、どっか連れて行ってよ〜」

 朝のワイドショーを寝転んで見ているミサトさんの身体を揺すりながらアスカが話しかけているよ。

「え〜また〜?連れて行ってあげたでしょう」

「まだまだ遊び足りないのよ〜」

「勘弁して〜明日から仕事だからゆっくりさせてよ〜」

 ゴールデンウィークは今日で休みだ。僕達は良いけど、ミサトさんはきついよなあ。

「アタシだって明日から学校よ」

 アスカ、仕事と学校じゃ全然違うよ。

「シンちゃ〜ん、悪いんだけどアスカ姫をどこかへ連れて行ってちょうだい」

「あ、はいわかりました」

 僕は書き終えた家計簿を閉じた、どこへ行こうかな。

「む〜〜ミサト〜アタシが邪魔みたいじゃないのよ?」

「アスカ、ミサトさんは疲れているんだよ。遠くへは行けないから近場に出かけよう」

「しょうがないわね〜我慢してあげるわ。それでどこへ行くの?」

 ええと、どうしようかな?近場で混んでなくて、空いている所と言えば…

「公園に行こう」

「はあ〜?アンタバカァ〜?このアタシが公園なんかで満足すると思っているの?この天才美少女に相応しい場所に連れて行きなさい」

 仁王立ちで威張られてもなあ〜

「公園には今日、美味しい移動アイスクリーム屋が来るんだよ」

「えっ?そうなの」

「うん、チラシが入っていたんだ」

「しょ、しょうがないわね〜行き場所に困っているんなら、公園でも良くってよ?」

 ちょっと意地悪してみようかな。

「でも、アスカ姫に公園なんて合わないんじゃないかな?他が良いんじゃない」

「そ、そんなことないわよ。たまには庶民が行く公園なんかも良いんじゃないかしら?」

「気に入るかな?」

「き、気に入るわよ」

 はは、ミサトさんが顔を隠して笑いをこらえているよ。

「でも〜〜」

「も〜〜ごちゃごちゃ言わないの!公園に行くったら行くの!着替えてくるからアンタも準備しなさいよ」

 よっぽどアイスが気になるんだろうね、部屋に戻ったよ。僕も着替えてこようかな。

「ふふ、流石アスカの扱いになれているわね」

「そんな事ないですよ、ミサトさんもゆっくりしていてください」

「ありがと、これお昼ごはんとアイス代よ」

「ありがとうございます」

「良いのよ、アスカの子守お願いねん」

「はい、わかりました」

 お金の心配はしなくてすむぞ。

「シンジ〜準備できたの?」

「ちょっと待ってって」

「も〜〜早くするのよ」

「うん」

 僕は部屋へ戻って急いで着替えたよ。











「ん〜〜気持ちいい〜」

 近場の公園は広いけど人が少ないから良いんだよね。今日は家族連れがちょっと多いかな。

「ええと〜」

「アスカどうしたの?」

 アスカが公園を見回しているんだけど。

「アイスクリーム屋よ、アンタも探しなさい」

 来るなり早いなあ。

「ええとアイスクリーム屋は向こうの広場だよ」

 チラシに場所が書いてあったからね。

「よし行くわよ!」

「わあ、待ってよ」

 ダッシュとは、よっぽどアイスが食べたいんだね。





「はあはあはあ」

「遅いわよ」

「アスカが早すぎるんだよ」

 僕がアイスクリーム屋に着いた時、アスカはもうアイスを注文し終わり食べていた。

「お金払っておいてね」

「うん」

「美味しい〜〜」

 アスカはカップに四つのアイスを入れてもらったのか多すぎだよ。

「僕は何にしようかな?」

 種類が多いから迷うなあ。

「これと、これと、これと、これをカップでください」

「ええっ?何でアスカが僕の分を選ぶの?」

「遅いから選んであげているのよ」

 それは違う、アスカが食べたいのを選んでいるんだ。きっと食べられるんだよなあ。まあ良いけどね…

「わかったよ」

 僕はお金を払った。美味しいアイス屋だけあって値段が高いなあ。

「一口貰うわよ」

「あ、うん」

 やっぱり取られたよ。

「う〜〜ん、美味しい〜〜」

 二人でベンチに座ってアイスを食べる、晴れているから更に美味しいよ。

「美味しい、美味しい〜」

「アスカ満足しているね」

「うん、すっごく冷たくてすっごく甘いもん」

 うんうん、連れて来て良かったなあ。

「ねえシンジ、アタシのアイス食べる?」

「良いの?」

「良いわよ、ほらあ〜〜んして」

「ええっ?」

「何照れてんのよ〜アタシが食べさせてあげるのよ感謝しなさい。ほらあ〜〜ん」

「う、うん」

 アスカも僕も顔が真っ赤だ。食べさせてくれるんなら…あ〜〜ん

 僕は恥ずかしいので、目を閉じて口を開けた…

 ぱくっ

「冷たくて美味しい」

「げっファースト!」

「あ、綾波!」

 聞き覚えのある声で眼を開けたら、そこには綾波が居た。アスカも驚いている。

「ごちそうさま」

「ど、どうしてアンタがここにいるのよ?」

「葛城三佐から電話があったの、碇クン達が公園に居るって」

 ミサトさんが電話したんだ。

「ミサトの奴〜余計な事を〜〜」

「どうして余計なの?私が邪魔なの?」

「五月蝿いわね〜」

「そう、碇クン葛城三佐からの伝言があるの」

「ミサトさんから?」

 何だろう?

「みんなでお昼ご飯を食べなさいって言っていたわ。だから来たの」

「そうなんだ、わかったよ」

 確かにミサトさんから貰ったお金は金額が多かった、綾波の分もあるんだね。

「じゃあパンを買いに行こうか」

 そろそろお昼の時間だし、近くに移動パン屋もあるんだよね。僕達はパン屋に向かった。

「良いにおいね」

 アスカがお腹を押さえた、食欲をそそるパンのにおいだね。

「綾波も好きなの選びなよ」

「うん」

 僕は何を食べようかな。ホットドックににしようかな、ピザパンも美味しそうだな。

「碇クン、イチゴジャムパンにするわ」

「それだけで良いの?」

「うん、小食だから」

「飲み物は何にする?」

「カフェオレにするわ」

「アタシはチョココロネとメロンパンとカレーパンと〜〜」

「アスカ、多すぎだよ」

 僕より選んでいるよ。

「食べ盛り、育ち盛りなのよ。良いじゃん」

 ダメじゃないけど、お金足りるかな?










「「「いただきま〜〜す」」」

 芝生にシートを広げてお昼ご飯だ。

 シートの上に並べられたパン、ほとんどがアスカの分だね。

「う〜〜ん、美味しい」

「アスカって何でも美味しく食べるよね」

 見ているこっちが楽しくなるね。

「美味しいもん。ファースト、アンタそれだけで足りるの?」

「うん」

「足りるようには見えないわね〜アタシのサンドイッチ食べて良いわよ」

「チョココロネが良い」

「えっ!?これはダメよ、アタシが楽しみにしてるもの」

「一口でいいからちょうだい」

 綾波がアスカのチョココロネをジッと見つめている。食べたいなら買えば良かったのに、遠慮していたのかな?

「わかったからそんなに見ないでよ、一口だけよ」

「うん」

 ぱくっ

「あっ!チョコがいっぱい入っているほうを〜!」

「ご馳走様、美味しかったわ。お礼にイチゴジャムパンを一口あげるわ」

「アンタの食べかけじゃないのよ」

「イチゴジャムがたっぷり入っていて美味しいわよ」

 綾波が食べかけたイチゴジャムパン、確かにたっぷりとイチゴジャムが入っている。

「お、美味しそうじゃない。そんなに言うなら一口食べてあげるわよ」

 ぱくっ

「美味しいでしょう?」

「ま、まあね」

「アスカ、良かったね」

「うん、イチゴジャムパン侮っていたわ」

 綾波もアスカも満足しているね。

「シンジのホットドック貰うわよ」

「あ〜〜僕が楽しみにしていたのに」

「男の子のくせに五月蝿いわね〜一口貰うだけよ」

 その一口が大きいんだけどなあ、三分の二は食べられたよ。

「美味しい〜」

「碇クンのアンパン、一口貰うわ」

「うん、良いよ」

「ちょっと、アタシの時は文句を言って、ファーストの時はどうして良いのよ」

「だってアスカはいつも僕のを取るじゃないか、綾波が取るのは珍しいからね」

「む〜〜アタシが食いしん坊って言いたいわけ?」

「そうよ、アスカって食いしん坊さんね」

「何ですって〜!?アンタのカフェオレ飲んでやるわ」

「じゃあ私はアスカのイチゴ牛乳を飲むわ」

「あ〜〜アタシのイチゴ牛乳〜〜」

 はは、二人とも仲が良いなあ。デジカメに撮って後でミサトさんやリツコさんに見せたら喜ぶよ。

「こらシンジ〜アンタなに撮ってんのよ!」

「仲が良い瞬間を思い出にね」

「仲なんて良くないわよ。撮ったの見せてみなさいよ」

 無理やりアスカにデジカメを撮られたよ。

「何よこれ〜?アタシの華麗な姿じゃないじゃないなよ。こんなの消去よ!」

「折角撮ったのに」

「もう一度撮らせてあげるわよ、さあアタシの美しさを撮りなさい」

「アスカ、ポーズ付け過ぎだよ」

 パンを持って微笑んでいるアスカ、カメラ目線が凄いよ。

「早くしなさいよ」

「わかったよ」

 ここにケンスケが居たら喜びそうだな。

「撮ったの見せてよ。うん、なかなか良い感じに撮れているじゃない」

「碇クン、私も撮って」

「綾波も?」

 カフェオレをストローで飲んでポーズを取っている。

「おおっファーストもなかなかやるわね」

「じゃあ撮るよ」

「うん」

 この画像、学校で売ったら凄く売れるだろうな。

「見せて」

「うん、これで良いかい?」

「うん、ありがとう」

「シンジ、次はアンタを撮るわよ」

「僕を?僕はいいよ」

 撮られるのは好きじゃないんだよね。

「いいから、パンを男らしく食べているところを撮るわよ」

「男らしくって、どんな食べ方だよ」

「食いちぎる瞬間を撮るわよ、早くしなさい」

「わかったよ、こう?」

「碇クン、パンを食いちぎるの上手」

 へんな写真撮影会になったなあ〜でも二人が喜んでくれるなら、良いゴールデンウィークの最終日になったなあ。


 GW最終日、アスカちゃんは出かけたいのですが、ミサトさんはお疲れ気味(^^;)

 シンジ君に頼んで公園へ連れて行ってもらいました。アスカちゃんはアイスに大満足、レイちゃんも加わって楽しいGW最終日になりました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION GW