初日の出

 ふあああ〜〜

 眠たい目を擦りながら目覚ましを止めたわ、ええと時間は午前五時、今から初日の出をシンちゃんとアスカを連れて見にいくのよね。

 初日の出なんて見ても何の得にもならないけど今日は違うわ。連れて行ったらいっくらでも飲んでいいってシンちゃんがOKしてくれたのよね。

 さあ顔を洗って準備をしますか。

「ミサトさん、あけましておめでとうございます」

「おめでと〜〜ん、早いわね」

 洗面所ではシンちゃんがすでに顔を洗っていたわ、流石早起きねえ。

「今日も晴れて良かったですね」

「そうね〜これならばっちり御来光が拝めるわね」

「はい、それじゃあアスカを起こしてきますね」

「お願いねん」

 シンちゃんアスカを起こしに行ったけど起きるかしら?後から顔洗ったら見に行ってみましょう。








「アスカ〜起きないと初日の出見れないよ」

 シンちゃんがアスカの部屋の前で困っているわ、やっぱり起きてこないのね。

「シンちゃん、アスカは?」

「後五分って言って起きないんですよ」

「はあ〜困ったものねえ」

 自分が見に行きたいって言ったのに起きてこないとは、まだまだお子様ねえ。

「わかったわ、私が起こしてくるわ」

「お願いします」

 シンちゃんは部屋に入れないから私が代わりに入って起こさないとね。

「アスカ〜〜もう時間過ぎているわよ、起きなさい」

「後五分〜zzz」

「もう五分過ぎたわよ、シンちゃんも困っているわよ」

「困っていいでしょ〜〜zzz」

「初日の出見るんでしょ」

「見なくていい〜〜」

「見なかったら後悔するわよ」

 後からどうして起こしてくれなかったのよ〜って怒られても困るのよね。

「じゃあ連れてって〜〜zzz」

「・・・はあ〜〜」

 呆れるわねえ〜育て方間違ったかしら?

「お願い〜〜zzz」

「はいはい、今日だけ特別よ」

「ありがと〜〜zzz」

「よいしょっ」

 私はアスカをパジャマのままおんぶすると部屋を出たわ。

「あっミサトさん、アスカは?」

「このままおぶって行くわよ。シンちゃんは悪いんだけど私の部屋から車のキーを取ってきてちょうだい」

「あ、はい」

 私はそのまま玄関へ・・・ううっ重いわね〜私のガラスの腰が砕けそう。ってうおおおお!葛城ミサト十七歳、若さで持ちこたえるわよ。

「鍵持ってきました」

「ありがと、アスカのサンダルを持ってちょうだい」

「はい」

「zzz〜」

 アスカったら幸せそうな寝顔をして、私がどんだけ苦労してると思っているのよ!









 アスカを後部座席に乗せてシンちゃんは助手席ね。

「ちょっち手間取ったわね、行きましょうか」

「はい、お願いします」

 行き場所は都市が見渡せる高台で良いわね。

 新年最初の運転、安全運転で行くわよ。

「ミサトさん、大変でしたね」

「ええ、まさかここまで起きないなんて驚いたわ」

「低血圧なんでしょうか、なかなか起きないんですよ」

「シンちゃんも大変ねえ」

 高台へ行くまでシンちゃんと会話、時々バックミラーで見るアスカの寝顔はまさに熟睡中ね。

「ははは、困ってますよ」

「まあアスカがシンちゃんに甘えてるって証拠ね」

「え?」

「この子は今まで大人ばかりに囲まれて過ごしていたから気を許せる相手がいなかったのよ」

「はい」

「シンちゃんと出会って、気の張り詰めが無くなったっていうか、十四歳に相応しい表情を表してきたわ」

「そうなんですか」

「ええ、だからシンちゃんには迷惑かけているけど感謝しているわ」

「そんな感謝だなんて」

「いいえ、感謝しているのよ。今だってアスカはパジャマを着て車の中で寝ているのよ。昔じゃ考えられなかったわ、それだけリラックスしているのよ」

「・・・」

「これからもアスカをヨロシクね」

 なんかお嫁に出すような言葉だけど、シンちゃん会えたおかげでアスカも普通の女の子に戻った感じがするわ。

「はい、わかりました」

 そうこうしている内に高台に着いたわ、車を停めて。

「アスカ〜着いたわよ」

「う〜〜ん」

「一人で出てきなさいよ」

「う〜〜ん、シンジ〜〜手〜かして〜〜」

「あ、うん」

 またまた甘えちゃって、シンちゃんに手を引っ張ってもらって外に出たわ。

「いつ来てもいい眺めね」

 仕事に疲れた時にここに来たら、疲れなんて一発で吹き飛んじゃうのよね。

「アスカ〜起きなよ〜そろそろ初日の出が見れるよ」

「うん〜〜〜」

 ふふまだ手を繋いでいるわ、可愛いわねデジカメで撮っちゃおう。

「ほらアスカ、初日の出だよ」

「うん〜綺麗ね」

 アスカ本当に見ているのかしら?まあ綺麗って言っているから見ているのよね。

「シンちゃんアスカ、そこに並んで写真を撮るわよ」

「はい、アスカ〜ミサトさんが写真撮ってくれるって」

「う〜〜ん」

 都市を背にして撮ったら綺麗よね。ってアスカがパジャマ姿だからちょっと変かしら?まあ手を繋いでいるだけでおいしいわ。

「撮るわよ〜〜」

「どうぞ〜〜」

 ハイチーズ!

「今度は3人で撮りましょう」

 車から三脚を取り出して・・・

 ピントを合わせて・・・

 タイマーをセットして・・・

「さあ今年最初の良い笑顔をして〜〜〜」

 カシャ!











「「ただいま〜」」

 うんうん、無事に初日の出を堪能したわ。アスカはまだ寝ているのかしら?

「ほえ?ただいまって初日の出は?」

「今見てきたでしょ」

「え?アタシ見てないわよ」

『見てきたよ、綺麗だったよ」

「綺麗って・・・あれアタシパジャマ着ている」

 はあ、ずっと寝ていたのね。

「ほらこれを見て」

 私はデジカメを見せたわ。

「本当だ、いつの間に行ったの?」

「今行ってきたのよ」

「アタシ見てな〜〜い、もう一度連れてってよ〜〜」

「初日の出は一回だけよ。見るなら来年よ」

「そんな〜〜」

「アスカ、テレビでなら見れるよ」

 そうね、テレビならニュースで流れるわね。

「そんなの見ても感動しないの〜〜」

 ふふふ、元日からアスカらしいわね。今年も楽しく騒がしくなりそうだわ。


 初日の出を見る為に起きようとするアスカちゃん無理でした(^^;)

 せっかくシンジ君とミサトさんが連れて行ってくれたのに寝ていました、見るのはまた来年です(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 初日の出