柏餅

 今日は五月五日、子供の日だ。

 ベランダには先週ミサトさんが買ってきた、長さ一メートルの鯉のぼりが泳いでいるよ。

 鯉のぼりは三匹、父鯉、母鯉、子鯉だ。三匹とも泳いでいる、けど母鯉だけは激しく暴れている。

 それはアスカが、鯉を穿いて人魚ごっこと称して遊んでいたら破ったんだよね。

 ミサトさんは怒って、アスカは悪く思ったんだろうね、自分で裁縫をして直したんだけど、ちょっと形が変になったんだ。

 アスカの指全部にバンソウコウが貼ってあるのを見たら苦労の後があるってミサトさんは許してくれたよ。

 今日は良い天気だなあ、布団を干したいけど今日一日は鯉のぼりの独壇場だ。




「う〜〜〜ん、美味しい〜〜〜」

「クエクエ〜〜」

 アスカとペンペンは鯉のぼりには興味が無し、目の前にある柏餅に夢中だ。花より団子だね。

「シンジッ!ぼ〜〜〜と突っ立っていないでお茶入れてよ」

「はいはい」

 アスカにお茶を入れてあげると、僕も柏餅を一つ口に入れた。餡子の甘さが口に広がっていく。

「美味しいね」

「たくさん買っておいて良かったわね」

「うん」

 テーブルにはたくさんの柏餅が乗っている。アスカと買いに行ったら食べきれないくらいに買いすぎたんだよね。でもこの調子だとアスカが全部食べちゃうかな。

「アスカ、ちょっとは遠慮しないとミサトさんの分が無くなるよ」

「平気よ、まだまだあるじゃない。それよりお茶おかわり!」

「はいはい」

 そんなに食べたら太るよ・・・って言いたいんだけど生命の危険があるからやめた。

「ん?何か言ったの」

「別に、はいお茶だよ」

「ん、あんがと」

 でもアスカが柏餅を食べるペースが早いから本当に無くなっちゃうよ。

「ごちそうさま!美味しかった〜〜〜」

「あ〜〜〜アスカ〜〜〜」

 僕は驚いた、ちょっと鯉のぼりを見ていたら、たくさんあった柏餅が無くなっていた。

「ミ、ミサトさんの分はどうするんだよ!?」

「大丈夫よ、問題ないわ」

「問題大有りだよ〜ミサトさんがガッカリしちゃうよ」

「だ〜か〜ら〜問題ないって〜」

 問題ないって言っているけど、もうすぐミサトさんが帰ってきちゃうよ。

「たっだいま〜〜」

 帰ってきた、今から買いに行っても時間がかかちゃうぞ。

「は〜〜い、お土産よん」

「あっこれは!?」

 ミサトさんのお土産は柏餅だった。

「ねっ問題なかったでしょ」

「あ、うん」

 アスカはウインクをして僕に話しかけた、どうやらミサトさんにメールをしていたらしい。食べ物に関しては抜かりがないなあ。

「シンちゃん、私にもお茶をちょうだい」

「麦酒じゃなくていいんですか?」

 帰ってきたらいつも麦酒なのに珍しいなあ。

「今日ぐらいはお茶にしとくわよん」

 はは、子供の日だから遠慮しているのかな?明日は今日飲まなかった分以上を飲みそうだなあ。

「シンジ〜アタシにもお茶〜」

「アスカは食べすぎだよ。何個食べたんだい?」

「ええと・・・三個かしら」

 ・・・皿に乗っている葉っぱの数から、どうして三個と言えるのか不思議だ。

「こらっ!数えないでお茶を早くいれなさいよ」

「はいはい」

「あらアスカ、三個以上食べた形跡があるじゃない」

「な、ないわよ。ほら」

「クックエエエ〜」

 うわっアスカが葉をペンペンの口に無理やり詰め込んで証拠隠滅を図ったよ。

「ほら、三個でしょ」

「「無理やり・・・」」

「な、何よその目は!?こ、子供の日なんだから子供を信じなさ〜〜〜い!」

 はは、いつもは大人って言っているのに、こんな時だけ子供かあ、アスカらしいね。僕はお茶を注ぎ、鯉のぼりを眺めて楽しいひとときを過ごしたよ。


 子供の日、アスカちゃんは食べる事が重要です(笑)女の子ですから鯉のぼりは関係ないのでしょうね。

 シンジ君は子供の日でも主夫をしています(^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 柏餅