こどもの日

 今日は五月五日の子供の日、しかし主夫のシンジには関係なかった。

 快晴の中、ベランダで汗を流しながら洗濯物を干していた。

「こどもの日くらいは家事をしないでゆっくりしたいなあ…」

 洗濯物を干しながら、風になびいている鯉のぼりを見て呟いた。

「やっと終わった」

 汗を拭いてリビングに戻った。

「シンジ〜見て見て〜」

 リビングで何かを作っていたアスカは完成品をシンジに見せた。

「鯉のぼり?」

 お世辞にも上手と言えない鯉のぼりらしき工作、アスカにとっては自信作なのか満足気である。

「そうよ、鯉のぼりよ。上手でしょ?」

「え、あ、うん」

 一瞬戸惑ったが、返答しだいでは明日の陽を拝めない。

「んっふっふ〜そうでしょう〜今にも泳ぎだしそうな力作よ」

 自作した鯉のぼりを手に持って泳がせると部屋中を走り回った。

「アスカ、走ると危ないよ」

「平気よ、平気っあ!」

 ド〜〜ン!

 クッションに足が乗った瞬間に滑り、顔から床に突っ込んだ。

「うええ…痛い〜〜」

 額が真っ赤になり涙目になった。

「ほら、走ったら危ないだろ」

「こんなところにクッションがあるのが悪いのよ!」

 クッションはアスカの品である。

「ほら額を見せて赤くなっているよ」

「う、うん」

「怪我は無いかな?」

 アスカの前髪を上げると怪我が無いか見つめ始めた。

「痛くない?」

「う、うん」

「血は出てないけど」

「う、うん」

 シンジに額をジッと見つめられてアスカは顔が真っ赤になっていた。

「顔全体が真っ赤だけど、本当に大丈夫?」

「だ、大丈夫よ。な、何もなかったら早く手をどけなさいよ」

「ちょっと待って」

「な、何よ」

「うん、大丈夫」

 シンジは微笑むと額から手を離した。

「び、びっくりするじゃないのよバカ」

 シンジの笑顔にちょっと腹が立ち頬をつねった。

「もう良いかしら?」

「おわっミサトさん!?」

「ミ、ミサト!」

 廊下から顔だけ出して声をかけてきたのはミサトであった。

「い、いつ帰ってきたんです?」

「さっきよ、良い雰囲気だったから声かけるの待ったのよん。もうちょっと待っていたほうが良かったかしら」

「な、何で待つ必要なんかあるのよ」

「そりゃあ、私の口から言っちゃっていいのかしら〜?ねえシンちゃん」

 ニヤニヤして袋をテーブルに置き座った。

「な、何を言うんですか?」

「シンジ相手にしちゃダメよ」

「私は相手にされずに続きをするのね、さあどうぞどうぞ」

「も〜〜バカミサト!あっち行きなさいよ」

 転ぶ原因になったクッションを投げつけた。

「ふふ、相変わらずからかい甲斐があるわ。はい、そんな二人にお土産よ」

 袋から取り出したのは柏餅だった。

「あ〜美味しいそう〜」

 柏餅を前にして瞳が輝きだすアスカ、先ほどからかわれていたのをすでに忘れている。

「いっぱい買ってきたんですね」

「ええ、いっぱい食べて大きく育ちなさいよ」

「う〜〜ん、美味しい〜」

 すでにアスカは食べ始めていた。

「アスカ、早いよ」

「シンジが遅いのよ」

「シンちゃんもアスカに負けないくらい食べてね」

「あ、はい!」

 シンジも柏餅を食べ始めた。

「むむっシンジになんか負けるもんですか」

 アスカは両手で柏餅を持つと交互に食べ始めた。

「ふふ、慌てなくても柏餅は逃げないわよ。お茶用意してくるわね」

 普段お茶を用意しないミサトは子供の日なので立ち上がりリビングへ向かうのであった。


 こどもの日、シンジ君に休みは無い?そんなシンジ君にアスカちゃんからは鯉のぼりのプレゼント。

 ミサトさんからはからかわれましたが、ちゃんとお土産を用意していました(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION こどもの日