Lovely Fighter

 今日はバレンタインデー、別にチョコをあげる相手はいないけど、お菓子会社の戦略に乗せられてチョコを買ってしまったわ。

「ア、アスカご飯のおかわりは?」

「うん、ちょっと貰うわ」

 朝ごはん、アタシの茶碗を見てシンジが話しかけてきたわ。今日のイベントを知っているから話しかけた時に言葉に詰まってるわ。

「あら〜シンちゃん優しいわね〜お姉さんにもおかわりちょうだい」

「あ、はい。大盛りでいいですか?」

「んもう〜大盛りだと太っちゃうでしょう、アスカと同じでちょっとでいいわよ」

「はい、わかりました」

 何が「ちょっとでいいわよ」よ、いつもは大盛りおかわりするでしょうが。

「ミサトさん、どうぞ」

「ありがと、これは美少女プリティーお姉さんからのお礼よ」

 げっ!ミサトがシンジに渡した可愛い箱は誰が見ても・・・

「バレンタインよん、いつもお世話になっているから奮発しちゃったわ、美味しいわよ〜〜」

「あ、ありがとうございます」

 やっぱりチョコだったわ。ミサトはアタシを横目で見て笑っているわ。

「アスカはシンちゃんに渡したのかしら?」

「わ、渡してないわよ」

「あちゃ〜それはゴメンね〜本当は一番で渡したかったのよね」

「そ、そんな事ないわよ。ごちそう様」

 ムカつくわミサト、アタシは顔が真っ赤なのがわかったから部屋へ戻ったわ。

「ア、アスカ〜」

 シンジの声が聞えているけどそれも無視よ。









「あ〜〜もう、ムカつくわね〜」

 ベッドに仰向けになって昨日買ったチョコを見つめたわ。可愛くて美味しくてちょっと高級なチョコ、渡しそびれちゃったじゃない。

「どうしようかな〜渡すのやめちゃおうかな〜」

 天井を見つめるとシンジの顔が思い浮かんでくる・・・

「日頃のお礼も兼ねているだから渡さないとね・・・」

「アスカ〜」

「何よ?」

 部屋の外からミサトの声が聞えたわ。

「入るわよ」

「ちょ、ちょっと待って」

 急いでチョコを枕の下に隠したわ。

「あら、何を慌てているの?」

「慌ててなんかいないわよ、何か用なの?」

「これをあげるわよ」

「何?」

 ミサトから貰ったのは板?

「絵馬よ、バレンタインにピッタリでしょう」

「絵馬って何?」

「単純に説明すると絵馬に願い事を書いて神社に奉納するのよ」

「ふ〜ん、絵馬にバレンタインって変じゃない?」

「変って?」

「だって西洋のイベントなのに絵馬が出てくるのよ」

「まあね〜これも日本企業の戦略なのかしらね?企業は売り上げてハッピーでカップルは
ラヴラヴが深まってハッピーなんじゃないのかしら」

 日本人って単純ね。

「チョコを買った時に貰ったのよ、近所の神社でも祈願できるみたいだから二人で行ってくるといいわよ」

「い、行かなくていいわよ」

 は、恥ずかしいじゃないのよ。

「そんな事言ってたらダメよ。シンちゃん超が付くほど鈍感だから、積極的にいかないとレイにとられちゃうわよ。

「そ、それは・・・」

「こういうイベントも思い出になるわよ、行ってらっしゃい」

「う、うん」

「よしよし、私はもう一眠りするから鍵を閉めて行ってね。それとあんまりチョコを隠しておくと溶けるわよん」

「しまった!」

 ミサトに言われて枕の下からチョコを取り出したわ、溶けてないでしょうね?箱を振って中身を確認したわ。

「良かった〜溶けてないわ」

「んっふっふ〜溶けたら溶けたでアスカの愛が熱いのよね」

「五月蝿〜い、さっさと寝ろ〜〜」

「お〜〜怖いっ」

 枕を投げつけて部屋から追い出したわ、も〜〜本当に行かず後家なんだから。

「・・・」

 貰った絵馬に説明書が着いてある。何々・・・この絵馬にカップルで願い事を書くと幸せになります。

「日本人が喜びそうなイベントね」









「シンジッ!神社へ行くわよ。五分で用意しなさい」

「はあ、神社?何しに行くの?合格祈願?」

「良いから早くしなさい」

 こういう事は急ぐべきね。

「ちょっと待ってよ、洗い物を済ませるから」

「そんなのあと、あと、行くわよ」

 アタシはシンジの手を取って家を出たわ。







「神社に行くって、正月に行ったじゃないか」

「何回行っても良いでしょうが、神様も嬉しがるわよ」

 家から五分歩いた所にある神社、まだ朝早いから人は居ないわよね。

「ほらダラダラ歩かないの」

「アスカが早すぎるんだよ」

「だから引っ張っているんじゃないのよ」

 周りからはアタシがシンジを引っ張っているように見えるけど、ちゃんと手を繋いでいるのよ。

「ねえ神社になにがあるの?」

「行ったらわかるわよ」

 ポシェットにはミサトから貰った絵馬とシンジに渡すチョコが入っているわ。お願い事を書いてお参りをしたらチョコを渡そう。

「ゲッ!」

「人が多いね」

 神社に着いたら驚いたわ。初詣のときみたいに多いじゃないのよ。それもカップルだらけだわ。

「今日は催し物があるのかな?」

「あるから来たのよ、こっちよ」

 絵馬をかける場所は知っているわ。

「多っ!」

「凄い絵馬の数だね」

 みんな考える事は同じね、これじゃあ願い事を叶える神様も大変ね。アタシはポシェットから絵馬とペンを出したわ。

「シンジ書いて」

「え?何を」

「願い事よ」

「願い事って?」

「色々あるでしょうが、他の絵馬を見てみなさい」

 本当に鈍感よね。

「あ〜なるほどね」

「理解した?」

「うん、ペンと絵馬をかして」




「はい、アスカ」

 何て書いたのかしら?『いつも笑顔でいられますように』

「じっくり読まないでよ」

「ふふ、シンジらしいわね。アタシは・・・」

 『幸せでありますように』

「どうアタシの願いよ」

「ふふ、お互い普通の願いだね」

「普通でいいのよ。こんなに多かったら普通の願いが優先的に叶えられるのよ」

「ははそうだね」

 それに本当のお願いは・・・








「シンジは何をお願い事したの?」

 お賽銭を入れてお願い事をしたアタシとシンジ、シンジが何をお願いしたか気になるわ。

「アスカは何て願い事をしたの?」

「アタシが先に質問しているのよ。質問を質問で返さないでよ」

「じゃあ僕が答えたらアスカも答えてくれる?」

「え〜と」

 だってアタシのお願い事は・・・

「ダ〜〜メ」

「え〜〜ずるいよ」

「女の子のお願い事を聞くのは失礼よ。これをあげるから我慢しなさい」

「あ、チョコ」

「どう、これで我慢できるでしょう?」

「うん、ありがとう」

 ふふ喜んじゃって単純ねえ〜

「開けて良いかな?」

「帰ってからにしなさい、洗い物もまだだったでしょう」

「そうだった、忘れていたよ」







「「ただいま〜〜」」

 ミサトの返事はなかったわ、寝ているのね。

「開けて良いわよ」

「うん」

 リビングでシンジがワクワクしながら箱に結んであるリボンを外していったわ、美味しいんだから驚きなさいよ。

「「あっ」」

「と、溶けてる」

「溶けているわね・・・ま、まあ冷蔵庫で冷やせばいいわよ」

「そ、そうだね。形は崩れていても味は変わらないよ」

 形が崩れているチョコ、もっと早く渡すべきだったわ、トホホ・・・


 バレンタインデー、シンジ君にチョコを一番にあげたのはミサトさんでした(笑)

 でもミサトさんのお陰で、シンジ君とアスカちゃんはデート?に行く事ができました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION Lovely Fighter