夏休み
「今日もいい天気だなあ〜」
カーテンを開けた窓から朝日にシンジは微笑んだ。
「ふんふんふ〜〜ん」
台所のテーブルに並べられた、トースト、目玉焼きにサラダ、一人分なので作るのが早い。
「クエクエ」
「やあペンペンおはよう」
ペンペンが起きてきた、シンジはペンペン用の朝ごはんに生魚を用意した。
「今日は洗濯物がよく乾くぞ」
シンジはご飯を食べ終わると、食器を洗い、自室へ戻った。
「よいしょっと」
自室から布団を持ち運び、ベランダに干していった。午前中だが額にはもう汗がにじみ出ていた。
「次は洗濯だ」
脱衣所に行き、洗濯物を纏めると洗濯機へ入れてセットした。
「これでよし!」
タオルで額の汗を拭きリビングへ戻っていった。
「今日はここまで終わらせようっと」
テーブルに夏休みの宿題を広げると静かに問題を解いていく。
「ふあああ〜〜」
「おはようアスカ」
午前10時、アスカが起きてきた。まだ眠いのか足元が定まらずにユラユラと身体が左右に揺れていた。
「ん、おはよ」
アスカはパジャマ姿のままシンジの隣に座ると、テレビのリモコンを取りチャンネルを替えていった。
「アスカ、着替えて顔を洗ってきなよ」
「ん〜〜良いじゃん、夏休みなんだから」
「夏休みだから、キチンとした生活をしないといけないんだよ」
「はいはい、偉いわね〜〜お腹空いた〜〜〜ご飯〜〜」
「・・・」
聞く耳を持たないアスカにシンジは呆れるのであった。
「ふあああ〜〜」
「おはようございますミサトさん」
「ん、おはよ」
ミサトが起きてきた。
まだ眠いのか足元が定まらずにユラユラと身体が左右に揺れていた。
「ん、おはよ」
ミサトはタンクトップに短パンのままシンジの隣に座ると、新聞を取りパラパラと捲っていった。
「ミサトさん、髪の毛ボサボサですよ」
「ん〜〜良いじゃん、たまの休みなんだから」
「たまの休みでもキチンとしてください」
「はいはい、偉いわね〜〜お腹空いた〜〜〜ご飯〜〜」
「・・・」
2人の同居人に溜め息を付き呆れると、朝ごはんを用意する為に立ち上がった。
「はい、お待たせしました」
「「サンキュー」」
2人ともリビングから動かないので、シンジが2人分の朝ごはんをリビングへ運んだ。
「「いただきま〜〜す」」
ご飯はシンジが朝食べた、トースト、目玉焼きにサラダと同じものである。
「ん〜〜シンちゃんのご飯はいつ食べても美味しいわね」
「ありがとうございます」
「おっシンちゃん、麦酒がないわよ」
「朝からはダメですよ」
「ん〜〜シンちゃんのいけずぅ〜〜」
「はいはい、天気が良いですから布団を干してくださいね。アスカもだよ」
「え〜〜めんどくさい〜〜シンジが干してよ〜〜」
「僕は忙しいんだよ、ちゃんと干すんだよ」
「む〜〜シンジのけち」
アスカは頬を膨らまし、シンジに舌を出した。
ピンポーン
呼び鈴に気がつくとシンジは玄関に向かった。
「おはよう碇クン」
「やあおはよう」
レイがやって来た、リビングへ招き入れる。
「あらレイ、珍しいわね」
「おはようございます」
「アタシが呼んだのよ」
「アスカが?」
ミサトは驚いた、滅多に無いことである。
「それで、持ってきたんでしょ」
「ええ」
レイはバックから一枚のDVDを取り出した。
「映画鑑賞よ、ファーストにオススメの恋愛映画を持ってくるようにメールしておいたのよ」
「へ〜〜そうなんだ」
シンジはレイにジュースを出すとレイが持ってきたDVDを見た。
「ポケモン?」
「ええポケモン、面白いの」
「ポ、ポケモン〜?アタシは恋愛映画ってメールしたでしょう、どうしてポケモンなのよ」
「アニメが安かったからよ、五枚一週間レンタルで500円」
「安いからってポケモンはないでしょうが、他のは?」
アスカはバッグを奪い取ると中身を見た。
「全部ポケモンよ」
「まったく、中学生にもなってポケモンってアンタも、まだまだ子供ねえ〜」
溜め息を付くアスカであった。
「まあまあ良いじゃない、私は好きよ。レイ見ましょう」
「はい」
ミサトはDVDをプレイヤーにセットした。
「まったく、まあ暇だし、せっかくファーストが借りてきたんだから見てあげるわよ」
テーブルに頬杖を付き渋々見るアスカであった。
「ははは」
シンジはその光景を見ると、洗濯物を取りに洗面所へ向かうのであった。
「あ〜〜〜そこよ!そこ、そこで電撃よ〜〜〜」
「ちょっとアスカ、落ち着きなさいよ」
「大丈夫!アタシが付いているかぎり負けるわけないわ」
「アスカ、テレビが見えない・・・」
小ばかにしていたアスカが、一番興奮してテレビにかじりついているのであった。
「盛り上がっているね」
「だって敵がもの凄く強いのよ、でも負けないんだから」
洗濯物を干しに来たシンジがアスカの姿を見て微笑んだ。
「あ〜〜〜面白かった、思わず手に汗を握ったわ」
それからアスカ達はご飯を食べるのを忘れてDVDを全て見たのであった。
「あ〜〜お腹空いちゃったわ〜〜シンジ〜〜ご飯は?」
「はいはい、できているよ。綾波も食べていきなよ」
「ありがとう、碇クン」
「おっ!ソーメンじゃない、これがまた麦酒と合うのよね」
大きなステンレスボールに入れられた素麺、水と氷も入っておりアスカ達の食欲を誘った。
「「「「いただきま〜す」」」」
「あ〜〜美味しかった、シンジ〜お風呂は?」
「沸いているよ」
「それじゃあ私はそろそろ帰るわ」
「レイ、今日は泊まっていきなさい」
「でも」
「麦酒飲んじゃったから送っていく事ができないわ、今から帰っても遅くなるわよ」
「綾波そうしなよ」
レイは迷っていた。
「泊まりなさいよ、今からお風呂だから一緒に入るわよ」
「着替えを持ってきてないわ」
「アタシのを貸してあげるわよ」
「ありがとうアスカ」
「シンジ、覗くんじゃないわよ」
「別にアスカの貧疎な身体なんて覗きたくないよ」
シンジはアスカに聞えないように言ったのだが・・・
「逝ね!!」
ドゴッ!
「うえっ!!」
アスカの蹴りがシンジの鳩尾に入り沈黙した。
「シンちゃん、口は災いの元ね」
麦酒を飲みながらシンジの口から出る魂を見続けるミサトであった。
「ふんふんふ〜〜ん」
「お風呂、広い」
「背中洗ってちょうだい」
アスカはスポンジとボディーシャンプーをレイに渡すと椅子に座り背中を向けた。
「え?」
「えじゃないわよ、泊まるんならそれなりの労働をしてもらわないとね」
「・・・」
アスカの理不尽な発言に、レイは黙ってボディーシャンプーをスポンジにつけた。
ゴシゴシ、ゴシゴシ
「ちょっと強く擦ったら肌が痛むじゃないのよ。アタシの肌が痛んだら世界の損失になるのよ」
「どのくらいの強さがいいの?わからないわ」
「じれったいわね、かしてみなさいよ」
アスカはスポンジを奪い取り、レイに背中を向けさせた。
サッサッサ
「こうよ、わかった?」
「・・・わからない」
「あ〜もうっ、こうよこう!」
サッサッサ
「わかった?」
「あともう少しでわかりそうな気がするわ」
「物覚えが悪いわね〜」
サッサッサ
「わかったでしょ」
「ええ、背中を洗ってくれてありがとう」
レイは自分のスポンジにボディーシャンプーをつけると、左腕を洗い始めた。
「あ〜〜〜騙された〜〜」
「ふふふ」
アスカはスポンジを握り締め悔しがるのであった。
「も〜〜洗い終わったら洗ってよね」
「わかったわ」
「アスカ、背中を向けて」
「ちゃんと洗いなさいよ」
「ええ」
サッサッサ
「ん、なかなか上手じゃない」
サッサッサ
「ん、ん〜〜〜きゃ、どこ触ってんのよ」
「胸」
泡で滑って手元が胸先に行ってしまったようである。
「もう感じちゃったじゃないのよ」
「アスカの胸、形が良いわね」
「ふっふ〜〜ん、そう思うでしょう〜アタシの自慢よ」
アスカは胸を張って強調した。
「特にここが」
「ああんっ」
「ここも」
「ああんっ」
「もう一つ」
「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ!!」
アスカの悩ましげな声が浴室に響くのであった。そのころリビングでは・・・
「ぐ、ぐふっ・・・」
「シンちゃん、出血多量で死なないようにね」
「は、はひ」
鼻元を押さえた指の間から血が流れ落ちるのであった。
「あ〜〜いいお風呂だったわ、シンジ〜ジュース」
いつもより長風呂だったのか、アスカの肌はいつもより桜色に染まっていた。
「碇クン、顔色が悪いわよ」
「だ、大丈夫だよ」
シンジはふらつきながら台所へ向かった。
「アスカ、さっきの声もの凄かったわよ、お姉さん感じちゃったわ」
「な、なにバカな事言ってんのよ」
「ええ、アスカの声は凄かったわ、それにアスカのブラジャー、大きくて肩紐が落ちるの」
レイはパジャマの前ボタンを開けると手をいれて肩紐を直した。
「お、お待たせ」
シンジが足元をふらつかせてやって来た。
「遅いわよ」
「ご、ごめん。なんか目が霞んじゃって・・・」
「碇クン大丈夫?」
「う、うん。はうわっ」
近づくレイの身体からシャンプーの香りがシンジの鼻に入る。
「どうしたの?顔が真っ赤、風邪を引いたの?」
「か、風邪は引いてないよ、うん」
「変な碇クン」
「は、はは、ははは。ぼ、僕お風呂入ってくるよ」
「シンちゃ〜〜ん、美少女の後だからって飲んじゃダメよん」
「の、飲まないですよ」
「シンジ〜〜変な事したら殺すわよ」
「し、しないよ〜〜〜」
「アスカ、変な事って何?」
「アンタは知らなくていいの」
シンジは顔を真っ赤にすると洗面所へ向かった。
「さあ、お風呂に入ってサッパリした後にする事はゲームよ!」
アスカは携帯ゲーム機を用意し、一台をレイに渡した。
「さあ、勝負よ!」
「うん」
ゲームはアスカが好きな格闘ジャンルであった。
「ふ〜〜さっぱりした」
シンジがお風呂からあがってきた。
「別なところもスッキリしたんじゃないの?」
ミサトが意地悪く笑う。
「し、してないですよ〜」
「ふふふ、冗談よ。さあて私は入ってこようかしらん、シンちゃんの残り湯でハアハアしちゃおんっ」
「ミ、ミサトさん」
「ふふふ、2人とも疲れて眠っちゃったから、風邪引かないように毛布をかけてあげてね」
「はい、わかりました」
静かな寝息を立てている2人を微笑んで見たシンジは毛布を用意するのであった。
主夫シンジ君は普段の生活と同じです(^^;)
アスカちゃんやレイちゃんは楽しい夏休み、思い出がたくさんできます。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 夏休み