おめでとう

「ファースト、ちょっといいかしら?」

「何?」

 実験の後にジュースを飲もうと自販機にお金を入れた時、後ろから声をかけられたわ。

「今から時間ある?」

「無いわ、ジュース飲むから忙しいの」

 声をかけてきたのはアスカだったわ、私は目線を自販機に戻してボタンを押したわ。

「それは忙しいって言わないのよ!いいから時間あるでしょう」

「オレンジジュースにしよう」

 ぴっ!

 ボタンを押したわ。

「こら!人の話を聞きなさいよ」

「聞いているわ」

「こっち向きなさいよ」

「面倒だからイヤ」

「キ〜〜〜!あ〜〜もう!」

「びっくりするじゃない」

 アスカが自販機と私の間に割り込んできたわ、顔が間近にあって驚いたわ。

「時間あるでしょ!?」

「お腹が空いたから帰るの」

「い〜から来なさい!」

「ジュース、まだ飲んでいないの」

「ええい、こんなもの!ゴクゴクゴクゴク〜〜」

「私のオレンジジュースが・・・」

 飲んでいたジュースを奪い取られてアスカに飲まれてしまったわ。

「さあ来るのよ!」

「アスカ」

「何よ?」

「間接キッス・・・ぽっ!」

「女の子同士でしょうが、赤くならない」

「冗談よ」

「こっちまで恥ずかしくなるじゃないのよ」

「行くわよ」

「どこへ?」

「黙って来る!」

 アスカに手を引っ張られてネルフ内を歩きまわされたわ。
















「食堂?」

「ええ、入りなさい」

 食堂へ連れて来られたわ、ご飯を奢ってくれるのかしら?それとも奢らされる?

「アスカ、ごめんなさい」

「はあ?どうして謝るのよ」

「今日は、そんなにお金持って無いから素うどんしか奢れないわ」

「奢る〜?アタシは奢ってもらう気なんてないわよ」

「ああっ叩かないで、今日は持ち合わせがないの!だからカツ丼の大盛りは奢れないわ」

「だから奢ってもらう気はないし、叩かないわよ」

「叩かないの?」

「どうして叩くのよ」

「だって奢らないと叩かれるって聞いたから・・・」

 そう、再起不能にされるって噂を。

「誰に聞いたのよ、そんな出鱈目を!?」

「ある情報筋からよ」

「だから誰よ?」

「知らないわ」

 教えたら消されるから言わないわ。

「あ〜〜もう、早く入りなさいよ」

「奢らなくていいの?」

「奢ってもらう気なんてないわよ」

「そう、わかったわ」

 私はアスカに付いて食堂に入ったわ。












「やあ遅かったね」

「碇クン」

 食堂には碇クンが居たわ、会いたかった。

「綾波、そこに座ってよ」

「うん、ご飯を食べるの?」

「ご飯じゃないよ、今日は綾波の誕生日だろ」

「誕生日・・・」

 今日は私の誕生日だったみたい。

「ほら、ちゃんとケーキを用意したのよ。シンジ、火を点けてちょうだい」

「うん」

 美味しそうなイチゴケーキがテーブルに載っている、碇クンがローソクに火を点けているわ。

 2人からのお祝いの歌、そして私はローソクの火を吹き消したわ。

「おめでとう綾波」

「ファースト、おめでとう」

 2人からのお祝いの言葉、そして私はプレゼントを受け取ったわ。

「さあ食べましょう。シンジ、切ってちょうだい」

「うん」

 食いしん坊のアスカは早速ヨダレを垂らして、碇クンがケーキを切っているのを見ているわ、私の誕生日なのに。

「はい、綾波の分だよ。これはアスカの分」

「ありがとう碇クン」

「あ、ちょっとアタシの分、イチゴが少ないわよ」

 アスカの分は確かにイチゴが少ないわ、それに比べて私のイチゴが多いわ。

「今日は綾波の誕生日だろ、我慢しなきゃ」

「え〜〜?そんな〜〜」

 アスカ、ちょっとガッカリしているわね。

「アスカ、イチゴあげる」

「えっいいの?」

「いいわよ、たくさんあるからお腹いっぱいになるわ」

 アスカも私と同じでイチゴが好きだから食べたいのよね。

「サンキュー」

「綾波悪いね」

 ふふ、アスカ大喜びね。忘れていた誕生日だけど、憶えててもらって祝ってもらえるなんて嬉しいわ。


 レイちゃんの誕生日、レイちゃんは忘れていたようですが、シンジ君とアスカちゃんは憶えててくれました(^^)

 ささやかな誕生パーティーですが記念になります。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION おめでとう