終わらない夏
「シンジッ!泳ぎに行くわよ」
「えっ?」
アタシの発言に洗濯物をたたんでいたバカシンジが、気の無い返事で答えたわ。
「聞いてた?泳ぎに行くのよ」
「泳ぎに行くって、もう九月だよ」
「アンタバカァ〜?泳ぎに行くのに九月がいけないって誰が決めたのよ?」
「誰もいけないって言ってないよ」
「じゃあ文句無いわよね。さっさと用意しなさい」
「え?」
またアタシの発言にバカシンジが気の無い返事で答えたわ。こらっ!アタシのブラを持ったまま止まってないの!
「聞いてたの?さっさと用意をしなさい」
「まだ洗濯物をたたんでないよ」
「そんなの帰ってきてからでいいでしょ、さっさと水着を用意しなさい!」
「わかったよ〜」
「よろしい」
シンジは重たい腰を上げて自室へ戻って行ったわ。よしっアタシも準備をしようっと。
ふんふんふ〜〜ん。
タオルに下着に、水着!
水着はこの前買った、ちょっと大人のセクシー水着、肌の露出が大胆なビキニよ。これでシンジを悩殺しちゃおうかしら。
これを着たアタシを見たらシンジはどう思うかしら?
「シンジ、この水着どうかしら?」
「ちょ、ちょっと大胆すぎるよ」
「ふふ、こんなの普通よ」
「これは困ったなあ」
「何が困ったの?」
「魅力あるアスカが、水着を着たら皆がアスカを見るじゃないか」
「そ、そうなの?」
「うん、そうなったら僕が困るんだよ」
「どうして?」
「アスカを見ていいのは僕だけなんだから」
「シンジ」
「アスカ」
や、やばすぎるわ。シンジが暴走したらどうしよう。きゃ〜〜〜〜!!
「アスカ〜〜何騒いでるの?準備できたよ」
あっ叫び声が聞えていたみたいだわ。
「今行くわ」
アタシはバックを持って部屋を出たわ。
「お待たせ、行きましょう」
「どこへ泳ぎに行くの?」
「ネルフよ。あそこならタダでしょう」
「うん」
ネルフの施設ならタダだからいいのよ。それに使用する人もほとんどいないから、シンジと二人っきりで・・・
「アスカどうしたの?顔がにやけているよ」
「な、なんでも無いわよ。さあ行きましょう」
さあ準備もできた事だしネルフへゴーよ。
やっぱり、誰も居ないわ。
ネルフのプールへ着いたアタシとシンジ、周りは静まり返っているわ。
「じゃあ着替えてくるね」
「ええ」
シンジが更衣室へ着替えへ行ったわ。アタシも着替えてこよう。
ふんふんふ〜〜ん。早く着替えてプールに行こうっと。
あら?更衣室から鼻歌が聞えるわ。誰か居るのかしら?
「げっアンタは!?」
「やあアスカ君、こんなところで会うなんて奇遇だね」
「カヲル!ってアンタ、ここは女子の更衣室よ。なんでアンタが居るのよ!?」
変態と思っていたけど、ここまで変態だなんて、驚きだわ。
「ふふ、僕がここに居るのは当然だよ」
「なに馬鹿なこと言っているのよ。男のアンタがここに居たら変態よ。さっさと出て行かないと殲滅するわよ。
「ふっ、アスカ君、君は勘違いしているね。今の僕は男じゃないよ」
「えっ?」
男じゃなかったら変態?
「今は女性さ、カヲル-XXさ」
「カヲル-XX!ですって」
お、思い出したわ、カヲル-XX。女の子のカヲル、クラスのバカ男子達から幻の美少女と言われ、眼鏡の生写真の値段がアタシを抜いて一位のカヲル-XX。
「ア、アンタがなんで今頃ここに居るのよ?」
「ふふ、泳ぎたくなってね。プールは良いねえ、リリンが生み出した至高の施設だよ」
女の子になっても言動は同じなのよね。ってアンタもプールって、まずいじゃない!アタシの作戦が台無しだわ。
「おや、どうしたんだい?汗が吹き出ているよ」
「な、なんでもないわよ。ねえカヲル、泳ぐの別な日にしない?」
「どうしてだい?」
「今日はアタシ一人でプールを独り占めしたい気分なのよ」
「ふっ、すぐバレるウソだね。シンジ君も来ているんだね」
げっ!
「な、ななななな、シンジなんて来てないわよ。アタシ一人よ」
「ふふ、大丈夫。今日は邪魔をしないから二人で遊んで良いよ。僕はゆっくり泳ぎたいんだ」
「そ、そうなの」
ふ〜〜こいつがシンジにちょっかいを出さないなら問題ないわね。二人っきりになれないけどいいかな。
「長居をしたらシンジ君を待たせてしまうよ。早く着替えようじゃないか」
「そ、そうね」
シンジはもう着替えていると思うわ。早く着替えて行かないといけないわ。
「フンフンフ〜〜ン」
アタシの隣で女の子のカヲルが着替えている、肌が白くて綺麗だわ。出ているところは出ているし、へこんでいるところはへこんでスタイル抜群だわ。
「おや?どうしたんだい。僕に何かついているのかい」
「な、何でもないわよ」
今は女性なんだから裸くらい隠しなさいよ。こっちが恥ずかしいわ。
「お先に失礼するよ」
「ええ」
着替えるの早いわね。って!!
「ちょっと待て〜〜!」
「何かな?」
「アンタ、海パン一丁って何考えてんのよ」
胸丸出しじゃないのよ。
「おっと、僕とした事が、男性用の水着を持ってきてしまったよ。でも問題ないよ」
「問題大有りよ!」
シンジが見たら、出血多量で死んじゃうじゃない。
「困ったなあ、これしか水着を持ってきてないよ」
「アタシが予備を持ってきてるから、貸してあげるわよ」
「それは嬉しいねえ」
去年買ったやつを持ってきておいてよかったわ。
「はい、これよ」
「ありがとう。ちょっと胸が苦しいなあ」
な、なんですって!アタシより胸が大きいっていうの?
「一人で泳いでいなさいよ。邪魔するんじゃないのよ」
「わかっているよ」
水着に着替えた、アタシとカヲル。さあプールに行くわよ。
「シンジ、お待た・・・シンジッ!!」
アタシが見た光景はシンジが仰向けに浮かんだまま鼻血を出して失神していたわ。プールサイドには裸のファーストが立っている。
「ちょ、ちょっとファースト、アンタなんで裸で立っているのよ」
「水着忘れたの」
「忘れたって・・・」
「裸のままで泳ごうとしたら、碇クンが居て、私を見たら鼻から血を噴出して倒れたわ。鼻血を噴水が綺麗だったわ」
「ふっ僕より上手がいたなんて、好意に値するよ」
な・・・なんで〜〜いっつも邪魔が入るのよ〜〜〜!!
シンジ君と二人っきりでプールと計画するアスカちゃん。でもアスカちゃんの計画は上手くはいきませんね(^^;)
女性化したカヲル君にちょっと天然のレイちゃんによって計画は崩れ去りました。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 終わらない夏