プレゼント
「シンちゅぁ〜〜ん、誕生日おめでと〜〜」
むぎゅっ!
「あ、ありがとうございますっ」
「こら〜〜朝から何やってんのよ!」
ミサトが起きてきたら、いきなりシンジの顔を胸に埋めさせたわ。
「何ってシンちゃんの誕生日だからサービスよん。次l交代する?」
「し、しないわよバカッ!シンジもいつまで顔埋めてんのよ、さっさと離れなさいよ」
「ミ、ミサトさんの力が強くて動けないんだよ」
「嘘言いなさい!にやけてんじゃないのよ」
顔は見えないけど口元がにやけて見える。アタシは無理やりシンジを引き剥がしたわ。
「あら〜〜力が強いわねえ」
「五月蝿い!早くご飯を食べて仕事に行きなさいよ、遅刻するわよ」
「お〜〜怖い怖い〜〜シンちゃんこれは私からのプレゼントよ」
「あ、ありがとうございます」
ミサトがラッピングされた小さめの箱をシンジにあげたわ。
「デジカメだあ」
「最新型よ、これでじゃんじゃん私の美しい姿を撮ってねん」
誰が美しい姿よ、撮ったら壊れるにきまっているじゃない。
「アスカはシンちゃんにプレゼント渡したの?」
「プ、プレゼントなんて無いわよ、バカ!」
アタシはご飯を急いで食べると部屋に戻って学校へ行く準備を始めたわ。
「ふふ、素直じゃないわねえ〜」
「聞こえているわよ!」
あ〜もうっ!ミサトが変なことするから、渡しにくくなったじゃないのよ!机の上に置いてあるプレゼント・・・学校で渡すチャンスあるかしら?アタシはプレゼントをカバンに入れて学校へ向かったわ。
「アスカ、もう行くの?もうすぐ後片付けが終わるから待ってよ」
「先に行くの!」
シンジと一緒に登校したら、何時渡すか考える事ができないでしょうが。
「あらアスカおはよう、今日は早いのね」
「おはよう、ちょっとね考え事がしたかったから早く来たのよ」
教室にはヒカリが一人いたわ、委員長の仕事なのかしら?花瓶の花を替えていたわ。
「考え事?」
「他愛ないことよ」
ヒカリに話してもねえ〜
「ふふ、何を考えているか当ててみましょうか」
「当たりっこないわよ」
「ずばり!碇君にいつ誕生日プレゼントを渡すか考えていたでしょう」
「ど、どうしてそれを!?」
ヒカリってもしかしてエスパー?
「ふふふ、やっぱり」
「どうしてアタシがシンジへプレゼントをいつ渡すかわかったの?」
「顔に書いてあるわよ」
「うそ?」
アタシはカバンから手鏡を取り出して顔を見たけど・・・書いていない。
「書いてないじゃない、だからどうしてわかったの?」
「だって、碇君のプレゼントを買うのに付いて行ったじゃない」
「あっ、そうだったわね」
アタシとしたことがすっかり忘れていたわ。
「朝、渡せばよかったのに」
「それがね、寝ぼけてて渡すの忘れていたのよ」
朝一がシンジに渡せるチャンスだったけどねえ〜その後のミサトの行動をヒカリに話したわ。
「それで怒って早く登校したわけね」
「うん、渡すタイミング逃したのよ」
今日の夜は絶対にミサトをしばくわ。
「碇君と一緒に登校してくる途中で渡せば良かったのに・・・」
「あっ!」
確かにシンジと登校すれば、登校途中は二人っきり、プレゼントを渡せた・・・
「アスカ?」
「ふっ過ぎた事は仕方ないわ」
あ〜〜アタシのバカバカ〜、へっぽこすぎ。
「おはよう、アスカどうしたの?頭抑えて、頭悪いの?」
「こら〜〜そこは頭痛いの?でしょうが、悪くないわよ」
「綾波さんおはよう、今日は早いのね」
「うん、ちょっと」
いつもはチャイム寸前で来るファーストが珍しく早く来るなんて雨が降るんじゃない?
「諸君、おっはよ〜〜」
「おはよう霧島さん」
今度はいつも遅刻するマナが来たわ。地震が起こる前触れなんじゃない?
「霧島さん、今日は早いのね」
「うん!今日はシンジの誕生日でしょう、プレゼント渡すから早く来ちゃった」
ビクッ!
マナの言葉にファーストの肩がわずかに動いたのがわかったわ。アンタもシンジにプレゼントを渡すために早く来たのね。
「ねえアスカ、シンジはまだ来ないの?」
「まだよ、朝食の後片付けをしてから来るから遅いわよ」
「え〜〜〜、つまんないの。アスカはもうシンジにプレゼント渡したの?」
「わ、渡してないわよ」
「どうして?朝一番で渡すと思ったのに、じゃあシンジはまだプレゼントを貰ってないのね。よし私が一番に渡しちゃおう〜」
「それは残念ね、ミサトがすでに渡したから一番じゃないわよ」
「ミサトさんが渡しちゃったんだ、残念〜じゃあ二番目に渡そう〜〜」
に、二番目に渡すですって、アタシだって次に渡したいわよ。
「霧島さん」
「およ、レイさんどうしたの?寝癖が付いているよ」
「二番目にプレゼントを渡すのは私なの」
むっファーストの奴、ラッピングされた紙袋をアタシ達に見せたわ。
「それじゃあ、私とレイさんでどっちが先にシンジへプレゼントを渡すか勝負しよ」
「ええ、碇クンが登校してきたら、先にプレゼントを渡したほうが勝ちね」
ちょ、ちょっと何二人で勝負してんのよ、アタシがいるじゃないのよ。
「アスカ、ちょっと」
「え、何?」
ヒカリに教室の隅へ連れて行かれたわ。
「黙っていたらダメでしょう。アスカが一番碇君に近い位置に居るんだから、二番目に渡さなきゃダメよ」
「で、でも・・・」
「でもじゃないの、このままじゃ碇君を二人に取られちゃうわよ」
「う・・・うん」
でも・・・その、あの・・・
「あ〜〜もう!指をモジモジして乙女チックなアスカなんてアスカらしくないわよ!ちょっと付いて来なさい」
「ええ?」
ヒカリに手を引っ張られて、ファーストとマナの前に連れて行かれたわ。
「碇君に二番目にプレゼントを渡すのはアスカよ!さあアスカ、プレゼントを出して」
えええっ?!ヒカリ、暴走してる?
「「アスカが渡す?」」
二人がアタシを見たわ。な、何よ文句ある?
「アスカが二番目に碇クンへプレゼント・・・無理ね」
「ど、どうしてよ?」
「入手した情報によると、碇クンのお母さんの誕生日は私と同じ誕生日。つまり私は碇クンのお母さんと同じだと思っても過言ではないわ」
ただ誕生日が同じなだけでデタラメ言ってんじゃないわよ。
「ちょ〜〜おと待った〜〜私だって裏情報によるとシンジのお母さんの声と私の声質が同じ!つまり私がシンジのお母さんよ!
あ〜〜もう無茶苦茶だわ。
「霧島さん、今日が貴女と決着をつける日なのね」
「そうね、レイさん親友の貴女を倒すのは辛いけど、これも運命なのよ」
いつの間にか勝負になっているし、わけわかんないわ。
「アスカ、二人に負けちゃダメよ」
ヒカリも何か勘違いしてるし。
「おはよう、みんな早いね」
「シンジッ」
シンジが登校してきたわ、ちょっと早いんじゃない。
「シンジ〜〜私の愛を受け取って〜〜」
「碇クン、私がお母さんよ」
二人がプレゼントを持って走り出したわ、出遅れた。
「シンジ〜私のプレゼントを受け取って〜」
「二番目に受け取ってくれるのは私のなの」
「二人ともごめん、二番目のプレゼントは決まっているんだ」
えっ?シンジがアタシの方に来たわ・・・
「アスカ、朝はゴメンね」
「あ、別に気にしてないけど」
今よ、今のタイミングでプレゼントを渡すのよ!
「シ、シンジッこれ、誕生日プレゼント!」
「ありがとうアスカ」
「あ〜〜〜アスカ、ずる〜〜い。シンジ〜次は私のプレゼントを受け取って〜〜」
「碇クン、私のプレゼントを受け取って」
んっふっふ〜二人で三番目を争っていなさい、アタシが二番よ!
シンジ君の誕生日、せっかくプレゼントを用意していたアスカちゃんですが、ミサトさんに邪魔をされて一番にプレゼントを渡せませんでした。
でも、ライバルであるレイちゃんマナちゃんには勝ちました。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION プレゼント