連休

「ねえ〜ミサト〜、ゴールデンウィークに入ったんだから、どっか連れて行ってよ〜」

 遅い朝ごはんを食べているミサトさんにアスカが話しているよ。

「う〜〜ん、どうしようかしら?どこも混んでいるしねえ〜」

「混んでいてもいいから〜」

 アスカの大きな声がベランダで洗濯物を干している僕に聞こえるよ。

「疲れるからねえ〜」

「じゃあ疲れないところへ連れて行ってよ〜」

「しょうがないわね〜シンちゃんはどうする?」

 洗濯物を干し終えて台所へ戻ったら、ミサトさんが質問してきた。

「僕は良いですよ」

 ここで断ったらアスカに殺されるからね。

「じゃあ癒される場所へ行きましょうか」

「えっ?本当」

「ええ、今から行くから準備しなさい」

「わかったわ、すぐに準備するわ。シンジも早く準備するのよ」

「わかったよ」

 アスカが光速で部屋に戻っていった。僕は食器を洗ったら準備しようっと。

「ミサトさん疲れてないんですか?」

「大丈夫よん、食器は私が洗っておくからシンちゃんも準備しなさい。それとお昼はコンビニで買うとして、タオルを準備しておいてね」

「タオルですか?」

「ええ、癒されるわよ。ペンペンも連れて行くからペンペンの分も頼むわ」

「はい、わかりました」

 食器洗いはミサトさんに任せて僕は準備をしよう。










「ミサト〜まだ〜」

 リビングで準備を終えたアスカが、今か今かとミサトさんを待っている。そんなに慌てなくてもいいのになあ。

「お待たせ〜行きましょう」

「遅いわよ〜待ちくたびれたわ」

「あらあら〜行く前から疲れたの?行くの止めましょうか?」

「う、ウソよ。疲れてなんかないわよ、シンジ!ペンペン!行くわよ」

 ははは、大慌てだよ。

「ん?何か言った?」

「いいや、何も言ってないよ」

「早く行くわよ」

「うん」

 戸締り良し!車に乗って出発だ。








「それで、どこへ行くの?」

「滝を見に行くわよ」

「滝?」

「ええ、森林の中にある滝よ。マイナスイオンたっぷりで癒されるわよ」

「へえ〜滝なんてあるんだ〜」

「そんなに知られて無い場所にあるからゆっくりできるわよ」

「楽しみね」

「期待しててね、さあ飛ばすわよ〜」

「ミサトさん、安全運転ですよ」

「んっん〜〜聞こえな〜〜い」

 運転すると人が変わるなあ。











「さあ着いたわよ」

「静かだから滝の音が響くわね」

 森林の中に滝がポツンとある。誰もいないから僕たちの貸切だ。

「クエクエッ〜」

「あっペンペン」

 抱っこしていたペンペンが滝を見るなり、僕の手を離れて滝へ走っていったよ。

「クエックエ〜」

「ペンペン気持ちよさそうだね」

 水も冷たいし森林浴もできるから癒されるなあ。

「シンちゃん、シート敷きましょうか」

「はい」

 僕とミサトさんでシートを敷いて、アスカは・・・

「ペンペン良いわね〜アタシも!」

 アスカは靴と靴下を脱いで川に入っていった。だからミサトさんはタオルが要るって言ったんだね。

「お〜〜う、冷たくて気持ち良い〜」

 全身を震わせながら微笑んでいる。

「アスカ喜んでいますね」

「ええ、連れて来てよかったわ」

 僕とミサトさんはシートに座って、アスカとペンペンを見ている。楽しそうだね。

「ここはね、私が昔修行をした場所なのよ」

「え、修行?」

「ええ、滝に打たれて必殺技を特訓したわ」

 必殺技って・・・一応聞いておこうかな。

「その必殺技って何ですか?」

「その名も、廬山昇龍覇!流れ落ちる滝を逆流させる事に成功したわ」

 ミサトさん興奮しながら話しているけど、誰が聞いたってウソだとわかるよね。

「クエクエクエクエ!」

「あっペンペン凄い」

 ペンペンが滝を昇っている。ああっ?!

「クエ〜〜〜!」

 ペンペンの姿が龍に見える、これは幻か本当か?

「流石ペンペン、私の弟子ね」

 逆だと思うんだけどなあ。

「ペンペンやるわね〜アタシも」

「アスカ〜走ったら危ないよ〜」

 川の浅瀬を走り出したアスカ、着替えを持ってきてないんじゃないかな?転んだらどうするんだろう。

 ツルッ!

「きゃっ!」

「あっアスカ」

 バッシャ〜〜ン!

 あ〜あ、滑って顔から浅瀬に突っ込んだよ。

「アスカ大丈夫?」

「ふええ〜いったぁ〜〜い、顔打った〜」

 川から上がってきたアスカは全身びしょ濡れ、僕はタオルをアスカに渡した。

「アスカ、着替えは持ってきたの?」

「持ってきてな〜い」

「着替えも持ってくるように言えば良かったわね、失敗したわ」

 ミサトさんもすっかり忘れていたようだ。

「アスカ、それじゃあ風邪引くわよ。脱いでこれを着なさい」

 ミサトさんは自分が着ていたシャツを脱いでアスカに渡した。

「シンジッ!あっち向いてなさいよ、見たら殺すわよ」

「わ、わかったよ」

 見たら殺される、多分川が真っ赤に染まると思うね。

「陽が照っているからすぐに乾くわよ」

「うん、へっくちゅい」

「アスカ、大丈夫かい?」

「平気よ、それよりまだ見たらダメだからね」

「わかっているよ」

 そんな事言ったって、時間が長く感じるんだよなあ。






「もう良いわよ」

 なんか一時間以上経った様な気がするけど気のせいだね。

「ジロジロ見たら殺すからね」

「わかっているよ」

 ミサトさんの大きめのシャツを着たアスカ・・・シャツだけなんだよね。

「シンちゃん、輸血パックは用意して無いから気をつけてねん」

「き、ききき気をつけます!」

「あ〜〜もう、スケベシンジ!興奮するんじゃないわよ」

 そ、そんな事言ったって・・・これじゃあ癒されるどころか疲れるような気がしたよ。

「ちょっち早いけど、ご飯にしましょう」

 途中のコンビニで買ったお昼ご飯、シンプルにお茶とオニギリだ。

「ん〜美味し〜」

 女の子座りをして鮭オニギリを頬張るアスカ、何か普段より可愛く見える。

「シンちゃんどしたの?そんなにアスカが気になるのかしら?」

「い、いやその、ミサトさんの大きめのシャツが似合っていて可愛く見えるなあと思って」

「な、何言ってんのよ」

「あら〜良かったわね。アスカにそのシャツあげるわよ」

「い、いらないわよ」

「そう、裸にシャツってのは男のロマンよ。ねえシンちゃん」

 裸にシャツ、裸にシャツ、裸にシャツ!!

 ブッ!

「シンジッ!」

「シンちゃん!」

 想像しただけで、鼻からなにか赤い水が噴出して・・・僕は気絶していくのでありました・・・それでも満足かも・・・


 GW、家に居るのはつまらないアスカちゃん、ミサトさんに滝へ連れて行ってもらいました。

 でもへっぽこなアスカちゃん、転んでずぶ濡れです(^^;)シンジ君は逆に干からびてしまいますね(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 連休