リツコ印5
「ふう〜また大発明をしてしまったわ」
リツコは研究室でコーヒーを飲むと、自分が発明した品を見つめ不気味に微笑んだ。
「大発明?大失敗の間違いじゃないの」
サボリに来ていたミサトが麦酒を飲み干し悪態をついた。
「ふふ、これを見てみなさい。発明の素晴らしさがわかるわよ」
リツコは猫印が入った袋をミサトに渡した。
「なにこれ?」
「開ければわかるわよ」
「ほいほい」
ミサトは麦酒をもう一本開けるついでに袋も開けた。
「ありゃ使い捨てカイロ?」
袋から取り出したのは、年中夏の日本では見なくなったカイロであった。
「懐かしいわね〜でも今の日本じゃ売れないんじゃない」
「わかっているわ、だから日本じゃなくて海外で売り出すのよ」
「そうなの」
ミサトがカイロを揉むと発熱し始めた。
「久しぶりね、この暖かさは」
カイロをホッペに当てると暖かさを懐かしんだ。
「ふふふ、これなら売れるでしょう」
「うん、でもカイロは他のメーカーが出しているから厳しいんじゃない」
「そうね、後発メーカーは厳しいけど、他に無い特徴があるから売れるわよ」
「特徴?値段がめっちゃくちゃ安いとか?」
ミサトは値段が頭に浮かんだ。
「違うわよ、このカイロはね」
「このカイロは?」
「半永久的に暖かさを持続するのよ」
「うそっ!?」
「うそじゃないわよ、この私の技術で完成させたのよ。うふふふ」
リツコの瞳が光った。
「値段は日本円で1000円だけど売れるわよ」
「そりゃあ売れると思うけど・・・」
「そうでしょう、売れると思ってすでに一億個作ったわよ」
「ちょ、行動早すぎでしょう」
「ふふ、人類一人一人に持たせるには遅すぎる行動よ」
「ふ〜〜ん、私にはそんな行動力が無いからちょっち羨ましいわね」
ミサトは袋の裏に書いてあった原材料を何気に見た。
「ちょ・・・これって」
「どうしたの?」
「原材料に核融合炉って」
「ええ、超小型化に成功したのよ」
「あ、危ないじゃないのよ」
ミサトは思わずカイロを放り投げた。
「ちょっと、製品を乱暴に扱わないでよ」
「乱暴って、危険な物を作るんじゃないのよ。放射能漏れしてないの?」
「大丈夫よ、問題ないわ」
「問題大有りよ、それじゃあ売れないわよ」
「売れない?」
「核と知ったらみんな買うわけないじゃないのよ」
「核だと売れないの?」
「あったりまえじゃない」
ミサトはこの部屋から早く逃げ出したかった。
「売れないなら、今まで作ったカイロどうしましょう?」
「安全に処分しなさいよ〜〜〜!」
ミサトの絶叫がネルフ中に響くのであった。
リツコさんの発明は危険すぎますね(^^;)
リツコさんの先走りした行動で作ってしまったカイロはどうするんでしょうね(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION リツコ印5