涼
毎日、毎日、飽きずに晴れが続くわね〜暑くてたまらないわ。
「ミサトさん、お盆休みだからってゴロゴロしすぎですよ」
シンちゃんは朝から洗濯物干し、偉いわねえ〜
「そうよ、ダラダラしすぎよ」
・・・そういうアスカもゴロゴロしているじゃないのよ。
「ミサトさん、お昼はなにが良いですか?」
「そうねえ〜」
暑いと食欲もなくなるんだけど、食べないと身体が持たないからねえ〜〜
ん?テレビで観光地の特集をやっているわね。そうだ!
「よし!シンちゃん、アスカ出かけるわよ!」
「ええ?!お出かけ」
「どこへ行くんですか?」
んっふっふ〜テレビ見て閃いちゃった。
「お昼を食べに行くのよ」
「お昼を?何を食べるの?」
アスカは食べる事となると目を輝かせるのよね。
「それは行ってのお楽しみよ。さあ準備、準備」
準備と行っても、普通に着替えるだけだから時間かからないわ。
「おっまたせ〜〜」
「アスカ、早いね」
「当然でしょ、お腹ペコペコなのよ」
「クエクエ」
おっとペンペンを忘れていたわね。ペンペンも喜ぶ所よ。
「さあ出発よ〜」
目的地まで車で約一時間、飛ばすわよ。
「ミサトさん、安全運転ですよ」
「はいは〜〜い」
シンちゃんに釘刺されちゃった。安全運転で行きますか。
助手席にはペンペン、後部座席にはシンちゃんとアスカ、みんなが乗るといつもこのなのよね。全てはアスカの陰謀よ、まあ二人が仲良くなるから問題ないんだけどね。
「シンジ〜こっち向いて」
「え?」
カシャッ!
「デジカメ持ってきてたんだ」
「ええ、せっかくのお出かけだもん、楽しい思い出として残しておくのよ。ミサト〜ペンペン、撮るわよ」
うんうん、楽しんでいるわね。夏休みはこうでなくっちゃね。ステアリングを握る手もアクセルを踏む足も自然と力が入っちゃうわ。
グオオオオオオオ!!
「飛ばすわよ〜〜」
「ミ、ミサトさんっ安全運転」
「ミサト〜〜行っちゃえ〜〜」
「クエックエ〜〜!」
「シンちゃん、男の子が安全なんて気にしちゃだめよ。飛ばしてこそ男のロマンよん」
「そ、そんなのロマンじゃないですよ〜〜〜」
「お〜〜〜ほっほっほっほ〜〜〜何人たりとも私を止められないわよ〜〜〜」
シンちゃん、気絶しない程度にスピード出すから安心してねん。
「ミサト、飛ばしすぎたら捕まるわよ」
「大丈夫よ、ネルフの特権で速度無制限よ」
こういう時はネルフ職員で良かったと思うわ。
「・・・ミサト、恐ろしい子」
「クエクエ」
「は〜〜い、到着」
うふふ、予定より三十分も早く着いたわ、記録更新ね。
「ちょっとシンジ、大丈夫?」
「き、気持ちわるい・・・」
もうシンちゃんだらしないわね。でもアスカに手を握ってもらっているから計画通り!
「さあ、少し歩くわよ」
「ここはどこよ?山奥までつれて来て、こんな所にお店なんてあるの?」
「ええ、あるわよ。期待しててね」
「クエックエ」
駐車場から約十分くらい歩くけど、山奥の涼しさで気持ちいいわ。シンちゃんも車酔いがさめるでしょ。
「ほらシンジ、しっかり歩きなさい」
「う、うん」
「シンちゃん良かったわね。アスカに手を握ってもらって」
「な、何言ってんのよ。こ、これはバカシンジがちゃんと歩けないから仕方なく握ってあげているのよ」
「うんうん、アスカは優しいわね。素敵なレディーになれるわよ」
「バ、バカ!当然な事言われても嬉しくないわよ」
ふふ、真っ赤になっちゃって可愛いわね。おっそろそろ見えてきたわ。
「ほら、あれを見てみなさい」
「「あっ」」
「クエ」
私が指さした先には、高さ十数メートルから、流れ落ちる大きな滝。涼むにはベストな場所なのよね。
「うわ〜〜すっご〜〜い、初めて見たわ」
「うん、凄いね。空から落ちてきているみたいだよ」
「クエクエ」
「ほら、滝の近くにお店があるでしょう。そこで食べるわよ」
「わお〜〜お昼、お昼〜〜」
お昼にはちょっと早いけど、アスカが待ちきれないようだからお店に入りますか。
「いらっしゃいませ」
「げっファースト、アンタこんなところで何してんのよ」
あら、お店にはレイが三角巾とエプロンをして立っていたわ。どうしてこんな所にいるのかしら?
「アルバイト」
「アルバイト?私は何も報告を聞いて無いわよ」
私の知らないところで、チルドレンがアルバイトしていたなんて司令に知れたら、減俸ものだわ。
「私が知っているから問題無いわよ」
「リツコ!」
お店の奥から出てきたのは、金髪のMADリツコじゃないのよ。
「どういう事?」
「ここは私が経営しているお店、レイは夏休みの間、アルバイトとして雇っているのよ」
「経営?いつの間にそんな事していたのよ」
「研究室に閉じこもってばかりじゃ、楽しく無いから経営しているの。けっこう儲かるわよ」
引きこもりと思っていたら・・・行動力あるわね。
「へ〜〜儲かっているんだ〜〜ファースト、時給はいくらなの?」
「時給は・・・・よ」
「え〜〜〜すっごい!アタシもバイトしちゃおうかな」
時給代凄いじゃないの、私もしたいわ。
「レイはここの看板娘だからね。アスカも働きたいのなら良いわよ」
「ホント?」
「ええ、アスカも看板娘になってくれたら売り上げが倍増するわ。なんならシンジ君も看板娘として雇ってあげるわよ」
「ぼ、僕はいいですよ」
「そう、残念ね」
シンちゃんの看板娘姿・・・ちょっと萌えるわね。
「え〜〜シンジはしないの?」
「うん、家事が大変だからね」
「な〜〜んだ、それならアタシもしな〜〜い」
そうよね、シンちゃんがやらなかったらアスカもやる意味がないわよね。
「碇クン、やらないの?」
「うん、ゴメンネ綾波。ここまで来るのに時間がかかるし、家事をやらないといけないからね」
「そう・・・」
レイごめんね。シンちゃんがいないの、家の機能が麻痺しちゃうのよ。
「それでミサト、何しに来たの?」
「ちょっと、ここはお店でしょ、食べに来たに決まっているでしょうが」
「あらそうなの、レイ、案内して」
「はい、わかりました」
まったく、リツコは時々変な事言うからわかんないわよね。
「うわ〜テーブルに水が流れている。これなになに〜?」
「流し素麺、ここは流し素麺が名物なの」
店の庭には、流し素麺用のテーブルが並んでいたわ。滝を見ながら食べる素麺は良いわよね。
「それじゃあレイ、素麺十人前お願いね」
「はい、わかりました」
「ちょ、ちょっとミサト。十人前って食べきれないんじゃない?」
「平気よ。素麺ならチュルって入っちゃうわよ」
「そう、なら問題ないわね」
「アスカが全部食べそうだね」
「なんですって〜アタシはそんな大食いじゃないわよ」
「はは、冗談だよ」
「クエクエ」
ふふ、シンちゃんも元気になって良かったわ。
「お待たせしました」
「待ってました〜」
レイが持ってきてくれた素麺、さあ、流すわよ。
「あら、レイが流してくれるの?」
「はい、サービスです」
素麺を一口、一口、流すのは面倒だから、これはいいサービスね。
「おいしっ!」
「クエクエ」
「これは麦酒が欲しくなるわ」
「ミサトさん、ダメですよ」
飲酒運転はダメだから我慢しますか。
「どう?満足してくれたかしら」
リツコがやって来たわ、経営者として気になるようね。
「ええ、美味しいし景色はいいし涼しいし最高よ」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。そんな貴方達にサービスがあるわよ」
「なんなの?」
「流しのスピードを変えてあげるわよ」
「スピード?」
「ええ、円周を流れる水のスピードに物足りなかったら、これよ」
ポチ!
ゴゴゴゴゴゴ!!
げっリツコが持っているボタンを押したら地響きがしてきたわ。
「ちょ、ちょっとリツコ速過ぎるわよ」
流れるスピードが速くて素麺が残像に見えるじゃないのよ。
「と、取れないじゃないのよ。あっ箸が折れちゃった」
アスカが箸を入れたら水圧で折れたわ。
ゴオオオオオオ!
「リ、リツコさん止めてください」
「あら、私とした事がウッカリしていたわ」
「クエ?」
「停止ボタンを作っていなかったのよ」
ちょっとそれって・・・
「赤木博士、うっかりしすぎ」
「ふふレイ、科学者は常に先のことを考えておくものよ」
「それは?」
「逃げましょうレイ」
「了解しました」
に、逃げるって!
「言い忘れていたけど、加速をし始めると光速になるまでスピードアップするわよ」
「そ、そんな流し素麺があるかあ〜〜〜!」
ドオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!
やっぱり爆発したわ〜〜〜〜
「げ、ゲホ・・・シンちゃん、アスカ、ペンペン・・・生きてる?」
「え、ええ・・・」
「い、生きています」
「ク・・・クエ」
リツコの奴〜〜なんで流し素麺に加速装置なんてつけるのよ。MADの考える事はわかんないわ。
夏バテ気味?ミサトさん。お昼は喉の通りがいい素麺。でも家で食べるのにはちょっと物足りません。
ドライブがてらにリツコさんが経営しているお店へ、でもやっぱりリツコさんのお店、アクシデントがありました(^^;)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 涼