渋くて

 はあああ〜〜〜

 読書していたらお腹が空いちゃったわ。

 ちょうど三時ね、オヤツの時間だわ。今日のオヤツは何かしら?

「シンジ〜今日のオヤツは〜?」

「オヤツかい、ちょっと待っててね」

 リビングに居たシンジが台所へ行ったわ。テーブルには何かが置いてあるわ。

「柿・・・」

 皮を剥かれた柿がボールにいっぱい入っているわ。そして剥かれていない柿がまだいっぱい置いてある。

「ん〜〜〜シンジったら一人でこんなにたくさんの柿を独り占めしようとしていたのね。そうはこのアスカ様が許さないわよ」

 どれどれ、この柿が一番大きいわね。

「いっただきま〜〜〜す」

 パク、もぐもぐ・・・

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

「アスカ〜お待たせ、あっ」

「まずまずまず〜〜〜い!」

 な、何よこの柿は?渋くて食べられないじゃないのよ。

「それ渋柿だから、そのままじゃ食べれないよ」

「な、なんで食べられないのを剥いてんのよ。も〜〜ジュース!」

 アタシはシンジが持ってきたジュースを一気に飲み干したわ。あ〜〜生き返った。

「渋柿はそのままじゃ食べれないんだよ、渋抜きしないとね」

「渋抜き?」

「乾燥させるんだよ。吊るして干すのが一般的かな」

「へ〜〜そうなんだ」

 よく知っているわね、感心するわ。

「それよりこんなにたくさんの柿どうしたのよ?」

 まさか買ってきたわけじゃないわよね。

「リツコさんに貰ったんだよ」

「へ〜〜」

「これも貸してくれたんだ」

「何よそれ?」

 窓の近くに置かれていた箱、怪しい物体だわ。

「美味しい干し柿を作れるBOXだって、寒風にさらすのが良いんだって」

「へ〜〜」

 干し柿って寒風にさらすんだ、確かに今の日本じゃできないわね。

「リツコさん、このBOXを商品化するみたいだよ」

「商品化?」

「うん、僕にモニターになってくれだって」

 だから、柿を貰ったのね。リツコったら、そういうのには頭が回転するわね。

「柿を剥いたら紐で結んで吊るすんだよ」

「へ〜〜」

 ちゃんと取扱説明書まで付いているわ。

「吊るしたらスイッチを入れて三日は待つみたいだね」

「え〜〜そんなにかかるの?」

「うん」

「リツコの事だから10分でできるとかじゃないの?」

「リツコさんが言うには、三日は待ったほうが良いって」

「アタシはすぐに食べたいのに〜〜」

 も〜〜三日なんて待てないわよ。

「そんな事だろうと思って、ほら」

「あっ」

 シンジが持ってきたオヤツって・・・

「干し柿じゃない」

「うん、リツコさんが作ったのを貰っていたんだよ」

「へ〜〜リツコも良いところあるじゃない」

 見た目は悪いけど、なんだか美味しそうだわ。

「「いただきま〜す」」

 ぱく、もぐもぐ

「美味しい〜〜」

 甘いわ、さっきの渋柿がこんなに甘くなるなんてウソみたい。

「たっだいま〜〜」

「あ、お帰りなさい」

 ミサトが帰ってきたわ、どこ行っていたのかしら?

「あら、柿じゃない。一つ貰うわね」

「あっそれは」

 ミサトったらボールに残っていた渋柿を取ったわ。ふふ渋くてビックリするわよ。

「もぐもぐ、ん〜〜〜美味しい!ビールが欲しくなるわね。シンちゃん麦酒ちょうだい」

「だ、ダメですよ。晩御飯まで我慢してください」

「ん〜〜シンちゃんのいぢわる〜ぅ」

 ミサトって味覚変じゃないの?

「あらアスカ、干し柿食べてんの、こっちのも美味しいわよ」

「そっちは渋柿でしょ」

「あら〜〜大人の女性は渋柿を美味しく食べれるのよ」

「そんなわけないでしょうが」

「んふ〜〜食べたら美人になれて出るとこは出る!引っ込むところは引っ込むでボンキュッボンよ。シンちゃんもメロメロね」

「な、なんでシンジが出てくるのよ」

「あらあら真っ赤になって可愛いわね」

「ば、バカ!何言ってんのよ」

「ミサトさん、渋柿は食べたらダメですよ。冷蔵庫に入れてきますよ」

「ちょ、ちょっと待って」

 べ、別にミサトの言う事なんて信じてないんだけど、シンジがメロメロって関係ないんだけど、一つくらいなら食べてもいいかな。

「ひ、ひとつ貰うわ」

「渋いから食べられないよ」

「い、いいのよ。別にアンタの為に食べるわけじゃないんだからね」

「はあ、僕の為?」

「シンちゃん、女性にはね、やらなければならない時があるのよ」

「はあ」

「アスカは今がその時なのよ」

「その時?」

 アスカ、いくわよ・・・

 ぱく、もぐもぐ・・・

「んんん〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 し、渋いわ!

「アスカ、無理しちゃダメだよ」

 逃げちゃダメよ、逃げちゃダメよ。

「ん〜〜〜やっぱりダメ〜〜〜」

「アスカには、まだ無理だったようね」

 ううう、渋すぎよ〜まだ大人の女性にはなれないのかしら?








「ミサトさん、アスカにウソついたらダメですよ。渋柿を食べて美人になるなんて聞いた事ないですよ」

「あら〜〜ばれちゃった?」

「アスカは食べなくても十分に美人ですよ」

(わお〜言うわねシンちゃん、って本人には意識して言っている自覚はないのね)


 渋柿を知らずに食べたアスカちゃん、渋い顔です(^^;)

 渋柿を美味しく食べるミサトさんの味覚は異常です(^^;)だから凄いカレーが作れるんでしょうね。

 ミサトさんに騙されたアスカちゃん、でもシンジ君はアスカちゃんの魅力?に気付いています。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 渋くて