七夕

「シンジ、早く用意しなさいよ」

「はいはい、今用意するよ」

「ハイは一回でいいの」

「はいはい」

「もうっ」

 今日は七夕、アスカに頼まれて笹と短冊を買ってきたんだよね。今年はどんな願い事を書こうかな?

「さあ〜〜てアタシの願い事は・・・」

 アスカが楽しそうに短冊に願い事を書いているよ。

「ふんふんふ〜〜ん、これで願いが叶うわね」

「願い事は何なの?」

「ふふふ、知りたい〜?」

「うん、知りたい」

「しかたないわね〜見せてあげるわ」

 願い事を書いた短冊を見せてもらったよ・・・

「ブランド物が欲しいって・・・すっごく個人的な願いだね」

「良いじゃない、欲しいんだもん」

「七夕の願いって、みんな幸せであるようにとか、健康でありますようにとか書くものじゃないかなあ」

「はいはい、シンジは真面目ねえ〜そういうのはシンジの願いで書いてね、はい」

 ・・・アスカから短冊を渡されたよ。僕が真面目な事を書こうかな。

「クエクエ」

「ん、ペンペンも書くの?」

「クエ」

 ペンペンが台所からやって来た、どんな願い事を書くのかな。

「クエクエ、クワクワ」

「凄い!達筆じゃないか」

「クワ!」

 筆ペンを渡したら、流暢に『皆が健康でありますように』って書いたよ、僕よりも字が上手だね。

「ペンペン、アンタ字書けたの?凄いじゃない」

「クワ」

「凄いね、アスカより上手だよ」

「五月蝿い!筆ペンだから下手なのよ」

 シャープペンでも下手じゃないか・・・とは口が裂けても言えないよね。ペンペンは僕に短冊を預けるとまた台所へ戻っていった、昼寝をするんだね。

「ケーキをたくさん食べたい、お小遣いアップ、洋服が欲しいっと、願いがいっぱいあって困るわね」

 用意した短冊がアスカの欲望に消えていくよ。僕も書こう。

「健康でありますように、平和でありますように・・・」

「シンジ〜アンタって本当に真面目ねえ〜自分の欲しい物でも書きなさいよ」

「真面目って言われても・・・」

 僕が欲しい物って・・・

「あら〜〜今日は七夕だったわね」

 ミサトさんが部屋から正装して出てきた、今からネルフに行くんだよね。

「はい、ミサトさんも書きますか?」

「うん、一枚書くわ」

 ミサトさんに短冊と筆ペンを渡した、どんな願いを書くのかな。

「宝くじ当たれ!!よし!これで当たったも当然ね」

 うちの女性陣は・・・

「じゃあ行ってきま〜〜す」




「ほらシンジ、ミサトだって個人的な願いを書いているのよ。アンタもガンダムのプラモが欲しいとか書けばいいじゃない」

 確かにプラモは欲しいけど、今欲しい物は・・・

「フライパンが欲しい」

 今使っているのは、古くなったから新しいのが欲しいんだよね」

「主夫業が身についているわね。しかたない、アタシがアンタの願いを考えてあげるわ」

「え?」

「ん〜〜〜そうねえ〜〜美しくて、可愛くて、頭が良い彼女が欲しいってのはどうかしら?」

「へ?」

 アスカは何を言っているんだ。

「へ、じゃないわよ。美しくて可愛くて頭が良くてスタイルが良くて気立てが良くて心優しい彼女が欲しいかどうかって聞いてんのよ!」

「何か増えているけど」

「増えていいじゃない、本当の事なんだから!欲しいの?欲しくないの?」

「そ、それは欲しいけど」

「よし、じゃあ短冊に書きなさい」

「わ、わかったよ」

 何でアスカがムキになっているんだろう。

「書いたよ」

「は〜い、よく書けました。これで願いが叶うわよ」

「叶う?こんな理想的な女の子っていないんじゃないかな」

「シンジ、アンタ死にたいわけね」

「ど、どうしてさ?」

 アスカの目が恐いよ。

「死にたくないなら、願いを祈ることね」

「わ、わかったよ」

「よろしい〜」

 今度は微笑んだ、何かわかんないアスカだなあ。本当に願いが叶うのかな?

「叶うに決まっているでしょ、バカシンジ」


 願い事を書くアスカちゃん、叶いそうになさそう(^^;)

 アスカちゃんが考えたシンジ君の願い事は、叶うと良いですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 七夕