雨
「あ〜あ、どうしよう」
マナはスーパーマーケットの入り口で途方にくれていた。先ほどまでは晴れていたのに買い物を済ませ、出てみると空は薄暗く雨が落ちてきていた。
「もうっ全然天気予報当たらないじゃない!」
やむことが無い空を見上げ天気予報を恨むが、それで晴れる訳でもない。
「・・・・・しょうがないやむまで待つか」
入り口マナは買い物袋を両手に持ち、雨をやむのを待った。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
5分待つが一向にやまない。それどころかどんどんひどくなる一方である。
「・・・・何よ!全然やまないじゃない!」
腹を立てるがどうしようもない。雨音はどんどんひどくなる。
「・・・・む〜〜、しょうがない濡れて帰ろ。?」
覚悟を決め走り出そうとした瞬間、隣にある人物が立っていた。
「・・・綾波さん?」
「・・・・」
立っていたのはレイ、その手には買い物袋があった。
「綾波さんも買い物に来てたんだ」
「ええ」
そっけない返事にマナは少しムッとするがレイはずっと前方を見ていた。
「入る?」
レイの右手には傘、どうやらマナを入れてくれるらしい。
「え、ええ、ありがとう」
「行きましょ」
レイはマナを傘に入れるとスーパーを出た。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
雨音が聞こえる中、無言のまま二人は歩く。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
無言のまま歩く。だがいつも明るいマナはこの雰囲気が馴染めない。
(・・・綾波さんって暗いけど優しいわね。入れてもらったけど家まで付いて来てもらうのは、あつかましいから綾波さんの家に行って傘かりよう)
「ごめんね〜綾波さんの家に着いたら傘かしてね」
「・・・・家には行かないわ」
「へ?」
レイの言葉にマナは疑問に思った。
(家に帰るんじゃないの?どこに行くのかしら?まっまさか!)
ここはとある部屋の一室、レイとマナはここにいた。
「綾波さん、ここは?」
「・・・・」
だが返事は無い。レイの手がマナの肩に伸びる。
「憂い奴なのね。ちこう寄って」
「あ、綾波さん!」
レイはマナを抱きしめると腰の帯びを掴んだ。
「それ」
「いつの間に着物に!?」
マナは帯を引っ張られてクルクル回り始めた。
「なによ〜これ?」
「くるしゅうないわ」
クルクルクル
レイの手は休まずに帯びを取りつづける。
「あ〜れ〜」
そしてマナは帯を取られ着物がはだけた格好になった。
「綾波さん!何てことするの」
怒るがレイは普段の表情。
「こうするのよ」
「きゃ〜」
レイは素早い動きでマナに抱きついた。そして・・・
「まだ時間はあるわ」
「いや〜〜〜」
(あ、あ、あ、綾波さんってこんな趣味があったのね。イヤよ私はノ〜マル、シンジが好きなのよ)
一人顔を真っ赤にしているマナ。
(どうしよう、スキをついて逃げなければ)
「どうしたの?」
ブツブツ呟いているマナ、レイは何事かと尋ねる。
「え、あ、その、綾波さん私達は女の子なんだから、その、あの、健全に・・・」
「?何言っているの」
マナは赤くなりながら喋るがレイはイマイチ意味がわからない。
「だから、こ、これから行くんでしょ?」
「ええ、碇クンの家に」
「へ?」
「碇クン家」
「あ、あははははははは、そうねシンジの所へね。私はちゃ〜んとわかっていたわよ、綾波さんがノ〜マルだって。あはははははは」
「?」
突然の笑いに呆然となるレイ。一人早とちりをして照れ隠しで笑いつづけるマナ、ちょっと異様である。
(ふ〜う、どうやら私の貞操は守られたわって、綾波さんがそんな事するわけ無いじゃない!とんだ早とちりだったわ)
「綾波さんはどうしてシンジの家にいくの?」
「ご飯、呼ばれたの」
買い物袋には野菜や材料が入っている、どうやら頼まれ物らしい。
「へ〜、シンジの料理かいいなあ〜」
明らかに自分も誘って欲しいという意思表示である。
「・・・アナタもどう?」
レイは知ってか知らずか誘う。
「え?いいの?ありがとう」
「・・・・・」
レイは返事はしなかったが頬を少し赤らめ照れていた。
「それでご飯は何?」
「碇クンに頼まれた物買ったけど、わからないわ」
「ふ〜ん、まあ何であれシンジの作るものは美味しいわよ」
「ええ」
二人は雨の中、足元は濡れながらシンジのご飯、シンジの家に歩いた。
今回は以前後書きで書いたようにマナとレイのお話です。共通の話題が無い中、唯一の同じなのはシンジですね。
マナは妄想で一人イヤンイヤンしています(笑)対し冷静なレイ。今回のレイは天然ではありません。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 雨