あるお昼

うお〜〜メシや!メシイイイ!

 四時間目終了と同時にトウジの待ちに待った叫び。風物詩である。

「気合入っているね」

「まったく何しに学校に来ているのかしら?」

 シンジの席にお弁当を取りに来たアスカは毎度の事ながら呆れている。

「アスカ、天気が良いから屋上で食べない?」

 ヒカリがお手製のお弁当を持って誘いに来る。空は雲一つ無い晴天。

「ええ、シンジ行くわよ」

「うん、綾波も行こう」

 席で一人ポツンと座っているレイに声をかけた。

「ええ」

 後はお馴染みのメンバーで屋上に向かう。

「晴れていて気持ちがいいわ〜」

 アスカは空を見て背伸びをした。あまりにも気持ちがよいので午後の授業はサボりたい気分になっていた。

(サボっちゃおうかな〜)

 各自ベンチに腰掛けると、これから楽しいお弁当TIMEとなる。

「「「「「いっただきま〜す」」」」」

 ガッツガッツ

うまい!うまいの〜〜!流石はイインチョや

 トウジのお弁当はヒカリの手作りである。

「そ、そんなことないわよ。残り物よ」

 赤くなりながらご飯を一口、だがトウジのお弁当は誰がどう見ても残り物の類ではない。

「残り物がこんなにうまいんなら、いつもならもっとうまいんやろな〜〜」

(ふう、トウジはまだ気づいていないのか)

 ケンスケは一人わびしくパン。

(まったく鈍すぎるわね。バカと張り合うわ)

 シンジの作った卵焼きをほおばりながら、そのバカを見るアスカ。

「ん、何?アスカ」

「なんでも無いわよ」

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(うんうん、今日の卵焼きは上手に焼けたみたいだ)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

 シンジは自分の作ったお弁当を味わいながら、更なる精進の為に考える。

(ベ〜コン、ちょっと辛いな)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(?なんだ)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

 そんな中、シンジはある視線に気づく。

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(綾波?)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

 レイを見てみるとずっとシンジを見ていた。

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

「綾波、どうしたの?」

「なんでも無いわ」

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

「そう」

「ええ」

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

 だがずっとこちらを見つづけている。シンジはある事に気がついた。

「あれ?綾波、ご飯は」

 そうレイはご飯を持っていなかった。いつもならお弁当を持参しているのだが、今日は手ぶらで何も口にしていない。

「ダイエットしているの」

「「「「「ダイエット」」」」」

 皆の口から驚きの声。

「ダイエットって綾波、いつもと変わらないじゃないか」

「そうよ。綾波さん、普通よ」

「ほお〜綾波がダイエットとは、わからんの」

「女の子はわからないな」

 皆疑問の声を上げる。だが一人は違う。

「ぷわははははファ〜スト、太ったのね。まったく自己管理もできないなんてチルドレン失格ね」

「太ってなんか無いよ。食べないと体に悪いよ」

「問題無いわ」

 シンジはレイを気遣う。

「シンジ、そっとしておきなさい。女の子は太ると気にするのよ」

「アスカ・・・・・」

「ほお〜惣流は綾波の気持ちがわかるんかいな」

「七不思議だね」

 ニバカは危険な事を口にする。当然アスカの目が光る。

「なんですって!」

「そ、そういった意味や無いで」

「そ、そう」

「当然よ、同じ女の子ですから」

「ふ〜ん、アスカ太った事があるんだ」

 ボクッ!

あぎゃ!

 左ストレ〜ト、見事にシンジの頬にヒット。

「私が太るわけ無いでしょ!気持ちがわかるのよ!」

「は・・・はひ」

 頬をさすり、言ってはいけない言葉をまた一つ学んだシンジ。

「そう、だから気にしないで」

 そしてまた箸はご飯に戻る。だが

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(なんか視線がくるような)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

 シンジは気になりレイを見る。

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(また見てる)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

「綾波、あの・・」

「問題無いわ」

 シンジはまた目をご飯に向ける。

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(・・・・・・・)

 ジ〜〜〜〜〜〜〜〜

(見られていたら食べられないよ)

 困り果てるシンジ、レイはずっと見ている。

「綾波」

「何?」

「食べかけだけど、食べる?」

「・・・・・」

 レイは差し出されたお弁当を無言で見つめ数秒考えると、手に取った。

「ありがとう」

(やっぱり空いていたんだね)

「ちょっとファ〜スト、ダイエットしているんでしょうが」

 アスカが黙ってはいない。別の意味で。

「ダメ、お弁当が呼んでいるわ」

 意味がわからない事を呟くと、ご飯を一口。

「・・・・美味しい」

キ〜〜〜、シンジの!

「まあまあ、アスカ。綾波だってお腹が空いていたんだよ」

違うわよ!

「?」 

 気づかないシンジ、アスカはレイがご飯を一口一口、口に運ぶ毎に体を怒りで震わせていた。

いやああああ!綾波さんって大胆!

 真っ赤になって一人イヤンイヤンするヒカリ、屋上に声が響く。

「い、委員長どうしたの?」

 二人を交互に見て対処ができない。

「ふう〜平和だね」

「そうやな〜」

 トウジとケンスケは食後のお茶を飲みながら、騒がしい二人を眺めていた。


 ふう〜平和な昼休み(−−)

 レイのダイエットの目的は?

 1.太ったから

 2.さらに細くなりたい

 3.シンジの食べかけを食べたい

 文句無しに『3』!可愛い顔してすることは大胆なレイちゃんなかなかやりますね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION あるお昼