花粉症
「クシュン!」
ぽろぽろぽろ
レイはクシャミをすると紅い瞳から一滴の涙が流れた。
「悲しくないのに涙?どうして・・・・クシュン!」
ぽろぽろぽろ
またクシャミをして涙を流した。花粉症であるがレイは知らない。
「嬉しい時にも涙がでる・・・けど今は嬉しい時じゃない・・・・クシュン!」
ぽろぽろぽろ
「・・・・こんな時は博士に相談」
原因不明の病気と思い、リツコに相談する為にネルフに向かった。
ネルフ、リツコの研究室
「これで完成ね。ふふ、また素晴らしい発明をしてしまったわ」
不気味に口元が歪んでいる。
「・・・・博士」
「まったく自分の才能が恐いわ」
「・・・・・博士」
「くくくく、どうして私は天才なのかしら」
「・・・・・博士」
「ああっ!また発明を思いついたわ」
「・・・・・博士」
「早速取りかからないと、あら?レイいつ来たの」
一人別の世界にイッていたリツコはレイにようやく気がついた。
「さっきからいました。博士が顔にシワをよせて笑っているところ・・・・あふうっ」
リツコはくわっと切れ目になるとレイの頬をつねった。
「誰が顔にシワがあるって?」
「い、いたい・・・・・・」
「誰なの?」
つねる手に力が入る。レイは涙がこぼれ出た。
「み、見間違いなの・・・・・き、綺麗です」
「当然でしょ!視力がおちてきたんじゃないの」
つねってた手を離すと、イスに座りコーヒーを口に含む。レイはつねられてヒリヒリする頬をさすっていた。
「で、何かようなの?」
「クシャミをすると涙がでるんです。楽しくや悲しくないのに・・・・クシュン!」
リツコの前で豪快にクシャミ当然、ツバが飛ぶ。
「こらっ!手をしなさい」
「す、すいません」
リツコは顔をハンカチで拭くと、レイの目を見た。
「花粉症ね」
「かふんしょう?」
「そうよ。別に重大な病気じゃないから安心しなさい」
レイは言われるとほっ安堵のため息をついた。
「なおります?」
「時間が経てばなおるけど、このリツコ印の薬を飲めば完璧よ」
机にドン!と置かれた薬のビン、ラベルにネコマーク中身はカプセルであった。
「・・・・・・・」
「どうしたの?一発でなおるわよ」
レイは戸惑った、信用していいのだろうかと。
「・・・・・・・」
「むっ信用していないわね。改造するわよ」
「い、いただきます」
素早くビンを手に取りふたを開けた。
「今飲んだらダメよ。食後に飲まないと、食堂で何かを食べてきなさい」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
「ふふ、いいのよ。何たって私は・・・・」
レイはリツコが言い終わるのを待たずに部屋を出ようとしていた。リツコは目が光るとポケットに入れておいたリモコンを押した。
すると・・・・
ガシ!ガシ!ガシ!ガシ!ガシ!
天井から落ちてきた何かがレイの体を固定した。
「な、博士」
「ふふ、私が言い終わる前に居なくなると思ったわ。こんなこともあろうかと、拘束装置は開発済みよ、レイ」
不気味にほほ笑みながらレイに近づくリツコ。
「う、動けない」
もがくが拘束装置は完璧で外れない。
「ふふ、当然よ。なんてったって莫大な予算で開発したから脱出のプロでも不可能よ。さあて今日は最後まで言わせてもらうわよ」
キラーンと不気味に輝く眼鏡、口が歪み、リツコの顔はレイの耳に近づいていく。
そして・・・・
「妹レイの為に姉の私は良いことをしたわ〜流石に美人の姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね。姉ね姉ね。姉ね姉ね。姉ね。姉ね。姉ね姉ね。姉ね姉ね。姉ね。姉ね。姉ね姉ね。姉ね姉ね。姉ね。姉ね。姉ね姉ね。姉ね」
今までのウップンをはらすが如く耳元で叫んだ。
「あうううううう〜〜〜〜・・・・・」
レイはウソの情報が耳に入るたびに目がまわりそして沈黙した。
「ふうう、満足したわ。さあ今日は帰りましょう〜〜」
額の汗を拭き取るとスキップしながら帰るリツコであった。
「?ここはどこ?」
「私は?」
「・・・・・・綾波レイ」
「エヴァンゲリオン零号機パイロット」
「・・・・・・・」
「・・・・浮いている」
「・・・・姉?・・・誰が・・・・」
「・・・あれはウソ・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・ここは?」
眼を覚ましたレイ、辺りを見回し思い出した。
「そう、ウソを吹込まれたの・・・・・姉はウソ、お母さんが正しい・・・・訂正」
ポケットに薬のビンを入れるとフラフラしながら食堂に向かった。
食堂、メニューの前でどれにするか悩んでいた。
(・・・・薬の前のご飯どれがいいのかしら・・・・・)
「・・・・クシュン!」
悩んでいる間にもクシャミ、涙がでる。
ぽろぽろぽろ
(・・・・わからない)
トコトコトコ
食堂に向かうある人物はレイの姿に気がついた。
(おや?あれは綾波じゃないか。ごはんなのかな)
シンジである。お腹が空いたので食堂にやって来たのであった。
(どれにするか悩んでるみたいだ・・・・・!!!)
シンジはレイの顔を見て立ち止まった。
(な、泣いている!どうしてメニューを決めるだけで泣いているんだろう??はっそうか、お金がピンチなんだ)
勘違いするシンジ。
(ピンチなら言ってくれればいいのに、何も言わないなんて)
涙がこぼれる。
(ここはおごらないと男じゃないよな!うん)
涙を腕で拭くと走った。
「綾波〜〜」
「碇クン」
「綾波、好きなのを選んで良いよ」
「え、でも・・・・」
「大丈夫、僕のおごりだから」
じわっとレイの瞳に涙が浮かぶ、シンジは『遠慮しているんだな』と思い、涙が込み上げてくる。
「気にしないでどれでもいいよ」
「・・・・じゃあ、ニンニクラーメンチャーシュー抜き」
レイの好物だ。
「い、いつものじゃないか、遠慮しているんだね。この最高級Aセットでも良いんだよ。肉は抜いてもらうから」
勘違いは続く。
「う、うん、じゃあそれにする」
レイはシンジの迫力に頷いた。
「良かった」
シンジはニッコリすると注文して席についた。
「綾波困った事があったら僕に言ってね。できるかぎり力になるから」
クシャミをして涙を流すレイに勘違い中のシンジ。
「うん」
「ご飯はちゃんと食べてる?」
「うん」
この言葉にシンジの心が衝撃を受けた。
(ちゃんと食べてるって・・・・・僕を気遣っているんだ。綾波・・何て優しいんだ)
「辛くなったら、いつでもご飯を食べにおいで沢山用意するから」
「うん、ありがとう」
そして注文した料理を食べる二人。シンジはレイの食べる姿をずっと見つづけた。
(お腹が空いていたんだ。お金がなかったんだな)
レイは確かにお腹が空いていた。だがお金が無かったのではない。朝から食べていなかったからである。
「?碇クン食べないの」
「食べたかったら食べて良いよ」
レイの前にだした。
「ダメ、碇クンが食べないと」
(綾波〜〜何て優しいんだ)
感動しっぱなしである。
(綾波が苦労するなんて信じられない)
「ごちそうさま」
レイは食べ終わりポケットから薬を取り出そうとした。
「綾波!!」
立ちあがり叫ぶシンジ、当然レイは驚く。
「な、何?」
「一緒に暮らそう!」
爆弾発言、レイは眼を真ん丸くした。
「苦労する綾波なんて見なくないんだ。父さんとミサトさんに許可を取るから家にきて」
「碇クン・・・・・」
「頼む!綾波」
頭を下げるシンジ、レイは数十秒考え、首をたてに振った。
「うん」
「ありがとう、綾波。夕食は豪華にしないと」
ニッコリ笑うシンジにレイは涙を流しほほ笑み返した。
(碇クンありがとう・・・・・・クシュン!)
花粉症でシンちゃんをGET!まてりあ(仮名)さんのリク。
よしはらさんのレイをガッシリと捕まえといて「こんなこともあろうかと、拘束装置は開発済みよ、レイ」と言ってここぞとばかりにお姉さんを連呼するリツコさんというアイデア。
二つを合わせて描きました。
こうして同居人が一人増え、騒がしくなる葛城家、続きはどうなるでしょうか?(続きません)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 花粉症