大掃除

 クリスマスが過ぎると十二月は後残りわずか、年の瀬は日が経つのが早く感じる。一般家庭では来年の準備で大忙しだ。

「よし!」

 シンジは気合を入れた。

 右手には雑巾が入ったバケツ、左手には掃除機と年末の大掃除に主夫シンジは命をかける。

「アスカ、大掃除だよ」

 リビングではアスカが寝転がりTVを見ていた。

「え〜?やよ、面倒くさい」

 振り向きシンジを見ると面倒くさくあくびをした。

「ダメだよ。一年の汚れを落とさないと新年が迎えられないよ。はいこれ」

 そう言うとはたきと雑巾を手渡す。

「う〜シンジがやってよ」

「僕は家中の掃除で忙しくなるんだ。自分の部屋は自分でやって」

 シンジは台所やリビング、洗面台なの共同使用場を掃除、アスカは自室を掃除する。普通なら逆と思いたくなるのだが葛城家ではシンジが家事の全てを取り仕切っている。

「そんな事より遊びに行かない?」

 頑として掃除をやりたくないようだ。

「ダメ!」

「う〜〜」

 だが一言で却下、アスカは唸りながら渋々自室に戻っていった。

「次は・・・・」

 

 

 次のターゲットはまだ自室で惰眠を貪っている、保護者の自覚無しのミサト。

「ミサトさん起きてください!大掃除ですよ」

「う〜〜〜ん、もう飲めないわよ〜〜〜」

 寝ぼけているようだ。シンジはそんな事はお構いなしにミサトをユサユサとゆらす。

「起きてください、もう十時過ぎていますよ」

「もう少ししたら起きるから〜〜」

 布団のなかから眠たそうに呟いたが・・・・

「ダメです!早く掃除をしないと年が明けますよ」

 ガバッ!

 無理やりに布団を剥ぎ取った。ミサトはコロコロと転がりパジャマが捲れあがり、お腹があらわになった。

「うひ〜〜〜〜シンちゃんのエッチィ〜〜〜〜〜〜チラッ」

 恥ずかしくないのだが恥ずかしい素振りをすると胸元を開きチラッシンジに見せた。

「はいはい、わかりました。はたきと雑巾です、良いですか?ちゃんとしないとビール抜きですよ」

 ガ〜〜〜ン!!・・・

 ミサトは衝撃を受けた。いつもなら起こしに来てお色気作戦でからかうとシンジは赤くなり部屋をでていくのだが今日は通じない。それもそのはず主夫シンジは大掃除に命をかけているのでそんな事(ミサトのお色気)には興味が無かった。

「う、ううう・・・・・私の奥義が破られるなんて・・・・シンちゃん大人になったわね」

 膝を抱えて座ると涙を流す。

「何を泣いているんですか、ゴミは燃えるゴミと燃えないゴミにきちんと分けてくださいね」

「はい〜・・・・・・」

 

 

 シンジはサッサと部屋から出ると、まずはリビングの掃除に取りかかった。

「よし!」

 最初ははたきで高いところの埃を落とす、そして低いところの埃を払い散乱している小物、本類(主にアスカ、ミサトの物)をまとめ掃除機をかける。雑巾で拭く事も忘れない。

「ふう〜さて次」

 次は台所に向かった。シンジの聖域というべき台所、念入りに掃除をおこなう。

「おっと忘れてた」

 もう一つの冷蔵庫を開けると、くつろいでいるペンペンに雑巾を渡す。

「ペンペン、部屋を掃除するんだよ」

「クエ」

 ここは葛城家の女性とは違い、文句を言わずに雑巾を受け取ると素早く掃除を始めた。

「さてと・・・・」

 時計を見ると十二時を少し回っている。小腹も空いてきた、シンジは掃除を中断すると昼食の準備に取りかかる。

 

「アスカ〜ミサトさん〜お昼ですよ」

 ドタドタドタ

 二人は走ってきた。こういう事には行動が早い葛城家の女性。

「「「いただきま〜〜す」」」

 短時間で作ったので簡単なものだがそこはシンジ、味は保証付き。

「う〜〜〜ん美味しいわ〜、労働の後のご飯は良いわね」

「掃除は終わったんですか?」

「えっ、まだだけどちゃんとやっているわよ」

 一瞬ミサトの動きが止る。

「本当ですか?」

「ほ、本当よ」

「ふ〜〜ん、アスカは?」

 疑いの眼差しでミサトを見るがミサトは眼を逸らしお茶を飲む。

「ちゃ、ちゃんとやっているわよ」

 急に振られご飯が喉に詰まった。

「本当?」

「本当よ!」

「なら良いけど」

 アスカもまた眼を逸らしてお茶を飲み干す。

「それじゃあ、片付けが終わったらゴミを取りに来ますからね」

「「え、ええっ!!?」」

 おもわず二人は立ち上がった。

「「ごちそうさま〜〜〜」」

 そして一目散に自室に戻っていった。

(やってないのか・・・・)

 お茶を飲みながら思った。二人の部屋を見に行くと部屋は朝来た時のままであり、結局はシンジが手伝う事になった。

 イヤ、シンジが全ておこなったと言った方が正しい。一応はアスカ、ミサトは手伝ったのだが掃除して出てきた昔の本類を読みふけって邪魔になるだけであった。

 

 

 

 

 

オマケ

 レイのアパート、シンジに言われたとおりに大掃除を始める。

「大掃除・・・・・」

 サッサッサッサ、フキフキフキフキ

 ほうきをかけ、雑巾がげ。

「・・・・・・おしまい」

 いつもの掃除と変わらなかった。


 年末の大掃除はシンジ君の大活躍の場ですね。アスカとミサトは掃除を最初はしたと思いますが昔の雑誌を読みふけっていた事でしょうね。

 皆さんはどちら派でしょうか?

 シンジ派、掃除をする。

 アスカ、ミサト派、以前の本、雑誌をついつい読みふける。

 オマケはレイの部屋は変わりないですからね(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 大掃除