お年玉

 初日の出が昇る、元日に晴天いい年になりそうだ。

 一体世界中でどれくらいの人が新年の朝日を見るのだろうか?

 ここ日本、葛城家では。

 シンジの場合

「うわ〜綺麗だ。良い一年になりますように」

 ベランダから朝日を拝む。

 アスカの場合

「zzzzzzz・・・・・うへうへうへ〜〜〜・・・zzzzzz」

 内容はわからないが、良い初夢のようだ。

 ミサトの場合

「ZZZZZZZZ・・・・・・・来なさい!!いくらでも飲めるわよん・・・・ZZZZZZZZ」

 ・・・・・・・本人にとっては良い初夢だろう。

 ペンペンの場合

「クエクエクエ」

 シンジの横で朝日を拝んでいた。

 

 

 そしてお正月は少し遅めの朝食、おせち料理である。

「シンジ・・・おはよう」

「アスカ、あけましておめでとう」

 アスカは眠たい眼をこすりながら起きてきた、昨日夜更ししたようだ。

「そうだったわね。今日はお正月ね。シンジおめでとう」

 ボサボサの頭を掻きながら、一応日本の形式の挨拶を済ませ顔を洗いに行く。

 そして

 

シンちゃん!アスカあけましておめでとう〜〜

 少し遅れてミサトがハイテンションで起きてきた。その様子に二人は少し戸惑う。

「あ、あけましておめでとうございます」

「お、おめでとう。ミサト!どうしてそんなにハイなのよ?」

 当然の疑問だ。いつもなら起こしに行かないと起きないのに、いや起こしに行っても起きないミサトが起きている。それも一人で。

「だって〜今日はお正月よ。気がねなく飲めるじゃないのよ」

「「・・・・・・」」

 二人は『やはりそうか』と思っていたが、やはり当たった。

「さあさあ、立ってないで食べましょう」

 自分は作っていないのに、さも作ったように手招きする。相当飲みたいようだ。

「おっと忘れていたわ。はいこれは私からのお年玉よん」

 ミサトは部屋に戻ると、ぶあつくなったお年玉袋を渡す。その厚みに二人は驚いた。

「ミ、ミサトさん。こんなに良いんですか?」

「まさか強盗したんじゃないでしょうね?」

「何よ〜私をそんな風に見ていたわけ?これでも作戦部長なのよ。さあ開けちゃって」

 胸を張り自身満々だ。二人は『こんなに貰っていいのか?』と思いつつ内心は喜んでいた。そして中身を見た。

「「・・・・・・・・・・・・・」」

「どう?奮発したわよ」

 二人は言葉が一瞬でなかった。そして・・・

「ミサト、何よこれは?」

「そうですよ、ミサトさん」

 アスカはワナワナと怒りがこみ上げお年玉袋の中身を付きつけた。シンジはどうしていいかわからない。

「何って、アスカにはシンジ君の生写真、シンジ君にはアスカの生写真よ。最高のお年玉でしょう」

 世間一般ではお年玉の中身といえばお金。だがミサトのお年玉の中身は大量の生写真だ。それも学校のヒトコマ、ネルフでのヒトコマ、自宅でのヒトコマ、明らかに盗撮である。

ふざけるな〜〜〜!!

 お年玉を貰えるにしても、金額に期待していなかったアスカだがこうくるとは思わなかった。

「ミサトさ〜〜ん」

 シンジも臨時収入を期待していたのにガッカリ、だが少し嬉しい。

「え〜〜?いらないの〜?せっかく喜んでもらえると思ったのに・・・・」

 ミサトは喜んでもらえると思って写真をお年玉に選んだ。が二人は喜んでいないので少し落ちこんだ。

「ふん!こんなもので喜ぶわけないじゃないのよ。いい事?お年玉は日本の伝統なのよ。今日はこれで勘弁してあげるけど明日はちゃんと用意するのよ」

 そう言うとアスカはしっかりとお年玉(生写真)を握り締め自室に戻った。

「とほほ・・・・・明日も用意するのね」

 涙を流すミサト、お金は持っていなかった。

「ミサトさん、泣かないでください。変わったお年玉ですが嬉しいですよ」

「本当?シンちゃん優しいのね〜」

 涙を拭きながらビールを飲み干す、本当に泣いていたのであろうか?

「は、はい。それじゃあおせちの準備をしますね」

 シンジはお年玉(生写真)をしっかりと持って台所に向かった。

 

 

 その頃アスカの部屋は

「う、うわ〜〜なんて姿なの・・・・ポッ」

 シンジの着替えの写真におもわず耳まで赤くなるアスカ。

「これはこれでいいかも」

 

 台所のシンジは

「す、凄い・・・・・・カア〜」

 アスカの入浴中の写真に頭から湯気が出てくる。

「い、いいのかな本当に貰って」

 

 二人にとって最高のお年玉であろう。


 あけましておめでとうございます\(^O^)/

 お正月の楽しみお年玉。でもその常識を覆すミサトのお年玉いかがでしたか?

 アスカは怒っていましたが本当は嬉しいんでしょうね。シンジは当然嬉しい!

 今年も「jun16 Factory」をよろしくね〜〜

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION お年玉